開発中止、社員削減…ゲーム業界で「暗いニュース」が飛び交う背景
マグミクス / 2024年3月27日 7時25分
■今のゲーム業界にいったい何が起こっているのか?
昨今はゲーム業界に「暗いニュース」が増えています。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントは約900人の人員削減(レイオフ)を行っており、バンダイナムコは開発中の5タイトル以上を中止にしています。また、DeNAはゲーム事業の不調もあり270億以上の赤字と報道されています。
果たして今、ゲーム業界に何が起きているのでしょうか?
まずソニー・インタラクティブエンタテインメントのレイオフに関しては、この会社独自のものでなく、欧米の流れに沿ったものだと考えられます。
テック企業やゲーム業界のレイオフは2022年ごろから続いており、アマゾン、グーグル、マイクロソフト、エピックゲームズなど大規模企業でのレイオフが続いています。なお、マイクロソフトは巨大なゲーム会社アクティビジョン・ブリザードを買収したあと1900人のレイオフをしており、より大規模に人員削減を行っています。
コロナ禍は巣ごもり需要もあり、テック業界を含めゲーム業界でも好景気が続いていたものの、状況が変わってきました。また、ゲーム業界の雇用は流動性があるのも要因(開発段階に応じて必要なスタッフ数が変わったりする)でしょう。レイオフは金利上昇の影響だと指摘する声もあります。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントはこのレイオフで、FirespriteやロンドンスタジオといったPlayStation VR2(以下、PS VR2)タイトルを開発していた箇所の人員削減および閉鎖を行っています。
PS VR2は2023年5月時点で60万台販売されており、初代を越えるペースだったと発表されていました。しかし、現在はVRソフトを開発する会社・部門が縮小および閉鎖されているわけで、今後は注力されなくなる可能性もあります。PS VR2は2024年内にPC対応するとも発表されており、少なくともこの部門は大きく方向性を変えたのでしょう。
テック企業も同様に企業のスリム化が図られており、(欧米は特に)ゲーム業界も方向転換や事業の厳選が迫られています。
■5タイトル以上の開発中止に、270億以上の大赤字の例も
かなりの数のゲーム開発中止を明らかにしたバンダイナムコ。ヒット作もあればすぐにサービス終了となった作品もあり、選択と集中を重視しているのかもしれない 画像はバンダイナムコ公式サイトより
そして、海外のみならず日本国内でも暗いニュースが目立っています。
バンダイナムコホールディングスは開発中だった5タイトル以上を開発中止し、DeNAは270億円以上の減損で赤字となっています。このほかにも、セガが『HYENAS』といったタイトルの開発を中止しており、ドリコムなど赤字となったモバイルゲーム開発会社が報告されています。
バンダイナムコは多数のタイトルをリリースしており、そのなかにはうまくいっていないと見られるものもいくつかあります。MMO RPG『BLUE PROTOCOL』は評判がいまいちさえず、『ガンダムエボリューション』は1年ほどでサービス終了となってしまいました。
また、バンダイナムコは大型新作タイトルリリースによる開発費・広告宣伝費の増加についても言及しており、開発の大規模化によって複数タイトルの制作が難しくなっているのもあるのでしょう。
なお、バンダイナムコグループは、2022年4月に全社員の月給引き上げを実施しています。平均月給は27%ほど上昇しているため、当然ながら人件費も増えているわけです。そのためにも利益を生み出す見込みがないタイトルは中止せざるを得ないと考えられます。
一方で、『鉄拳8』は1か月で世界累計出荷本数200万本を突破とヒットを記録しています。今後は好調なタイトル、あるいは売れそうなものに労力を集中していく流れになるのかもしれません。
さて、DeNAに関してはヒットタイトルが出ていないのが大きな要因だと考えられます。スマホ向けタイトルに関しても開発費の高騰が続いており、失敗すれば大きな赤字になってしまうでしょう。実際、DeNAのスマホ向けアプリゲーム『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』は1年も経たずサービス終了となっています。
ゲーム開発はある種ギャンブルなところもあり、「あたり」が出ないことはどうしてもあるでしょう。現在はスマホ向けタイトルも、人気タイトルにユーザーが集中する傾向にあります。開発費が高騰すればするほど、あたりを出すのは難しくなるでしょう。
と思いきや、2024年2月27日にはスマホ版のポケモンカードゲーム『Pokemon Trading Card Game Pocket』が発表され、途端にDeNAの株価が急騰しました。ポケモンカードゲームは世界中で大人気ですし、スマホアプリは待望されていたものなので、ヒットの可能性は非常に高いです。
このようにヒット作(になりそうなタイトル)で急に流れが変わることがあるのもゲーム業界の特徴のひとつでしょう。
なお、このような業界再編は会社の方向性が変化するので、ゲーム作品そのものに影響を与える可能性も十二分にあります。確実に売れそうな作品に注力するような傾向が出たり、それを嫌って開発者が独立する可能性も考えられます。今のゲーム業界の変化は、未来のきざしとなるでしょう。
(すすだま)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「PS Plus」1月度フリープレイ作品発表!超常的な鹿になって街を破壊する『ごく普通の鹿のゲーム DEEEER Simulator』など3タイトルが登場
インサイド / 2025年1月6日 10時50分
-
「PS5のソフト(ステルス)」おすすめ3選&ランキング あの名作が3000円台で買える!? 1位の「Black Ops」シリーズ最新作など注目タイトルをピックアップ【2025年1月版】
Fav-Log by ITmedia / 2025年1月4日 18時19分
-
ソニーも任天堂に感謝「2024年ベストゲーム」とは 当初5000本も売れなかったゲームが2024年のベストになった理由
東洋経済オンライン / 2024年12月28日 9時30分
-
「PS5のゲームソフト」売れ筋・予約ランキング 2位は「グランツーリスモ7」、1位は?【2024年12月23日】
Fav-Log by ITmedia / 2024年12月24日 11時45分
-
PS5や周辺機器が安い「PS5年末年始セール」、各取扱店にて実施
マイナビニュース / 2024年12月19日 23時51分
ランキング
-
1Xiaomi、「Redmi Note 14」シリーズのグローバルモデルを米国などで発売へ
ITmedia Mobile / 2025年1月14日 14時7分
-
2アイロボットジャパンがロボット掃除機「ルンバ」の一部モデルを最大9900円値下げ 1月14日から
ITmedia PC USER / 2025年1月14日 11時0分
-
3FRONTIERが期間限定の新年セール「スーパーセール2025」、ゲーミングPCを特価販売
マイナビニュース / 2025年1月13日 16時9分
-
4アンカー、カード型紛失防止トラッカーを自主回収 周囲の磁気カードに影響を及ぼす恐れ
ITmedia PC USER / 2025年1月14日 15時20分
-
5“EDR回避”は2025年の最新トレンド? 最新の攻撃手法を深堀しよう
ITmedia エンタープライズ / 2025年1月14日 7時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください