「クズ過ぎ」「イケメンなのが困る」 一応味方だけど問題行動だらけの人気キャラ

■クズなのに印象に残ってしまう「胸クソ」キャラたち

　アニメやマンガには応援したくなるキャラクターだけでなく、クズ過ぎて胸クソが悪くなるキャラも登場します。この記事では、一応「味方側」にいた人物のなかで、クズさが印象深いキャラ3人を振り返ります。

　荒木飛呂彦先生の『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズには、多種多様の強烈な悪役たちが登場しましたが、それよりもさらにレベルが低く、クズとしか言いようがない行為を繰り返していたのが8部に登場した東方常秀です。

　彼はヒロインの広瀬康穂に執着し、主人公の定助に嫉妬して数々のみっともない場面を見せました。スタンド能力「ナット・キング・コール」を使って、はっきりとわいせつ行為をしようとしているシーンもあり、敵キャラの岩人間たちとは別の問題児としてインパクトを残します。

　8部中盤の「ミラグロマン」のエピソードでは、自業自得でお金が際限なく増え続けるピンチに陥りますが、ここではスタンド能力を使った機転で逆転するかっこよさを見せました。

　そして、「新・ロカカカの実」を巡る終盤のバトルでは、常秀は家族の危機に何もできない自分を責め、戦いのなかで右腕を失った康穂に対して「新・ロカカカの実」の「等価交換」の力を利用して、自分の腕を康穂にささげるのです。

　しかし、「等価交換」の代償は思ったよりも大きく、右腕がほとんどなくなった常秀は「深く考えていなかった」と動揺して泣き叫び、康穂に暴言を吐いて「やっぱり返せェェェェー！！」と襲いかかりました。

　康穂から「こいつ……壊れてる」と思われてしまった常秀ですが、その後は康穂を守るためにラスボスに立ち向かっていく勇敢さ（瞬殺されましたが）を見せています。クズキャラとして有名になったのはもちろんですが、それでも「常秀のクズっぷりはなんだか憎めない」「どうしようもないクズで小者なんだけど、時折見せる常識的な面とか生きづらそうな感じとかあまりに愛おしい」「髪形キモイけど顔は美形」と一部で人気を集めました。

　冷酷非道な主人公サイドのキャラクターで人気を得たのが、『GANTZ』（著：奥浩哉）の西丈一郎です。同作は、命を落としたはずの人が謎の黒色の球体「ガンツ」に呼び出され、異形の敵と戦うというミッションを与えられるデスゲーム系の物語でした。

　何よりも自分を優先し、人が死ぬことに対して何とも思わない西は、一応は主人公サイドにいますが悪役として描かれています。しかし、作中でどんどん美形になっていったビジュアルも含め、高い人気を誇るキャラです。

　主人公の玄野たちよりも先に「ガンツ」の世界に来て戦闘をしていた西は、後から来た人たちに銃の使い方や生き残る術を教えませんでした。ターゲットを油断させて自分が点数を稼ぐために情報を共有せず、見殺しにしていたのです。

　また、彼は考え方だけでなく性癖にも難があり、「死体写真とか見てるの楽しいでしょ」といったサイコパスな発言がたびたび出てきました。奥先生いわく「純粋な悪」として描いていたそうですが、自分をいじめていたクラスメイトたちを殺すもラブレターをくれた女子だけを見逃したり、子供のタケシを守ったりと、人間らしい場面もあります。

　サイコパスではありませんが、女にだらしない姿が印象的なのが、マンガ版、アニメ版も人気のライトノベル『無職転生 ～異世界行ったら本気だす～』（著：理不尽な孫の手）に登場するパウロ・グレイラットです。

　同作は34歳の無職の引きこもり男が交通事故死し、剣と魔法の異世界で主人公ルーデウスとして転生するところから始まります。前世の経験や後悔を糧に、今度こそ本気で生きようと歩んでいく物語です。

　パウロはルーデウスの父にしてブエナ村に駐在する騎士で、剣技に秀でていますが、浮気性ですぐ欲に飲まれてしまいます。妻のゼニスが妊娠中、性欲が我慢できなかったパウロは、グレイラット家の侍女のリーリャまで妊娠させてしまい、不貞がバレたことで家庭崩壊の危機に陥りました。

　その他にも、思い込みの激しい一面もあります。いじめられていたシルフィエットをいじめっ子から助けたルーデウスですが、いじめっ子の母親がパウロに自分の子供が殴られた、と苦情を告げに来ました。するとパウロは話もよく聞かずに、ルーデウスを叱りつけ、手をあげてしまいます。

　剣士、リーダーとしては優秀ですが、家庭では問題が多いパウロに、「クズ過ぎないか」などの意見は多いです。しかし、その見た目の良さも手伝って人気はあり、「人間臭くて好き」「もはや気持ちいい」と彼のクズぶりを楽しむ声も少なくありません。

（LUIS FIELD）