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ほぼ欠陥機! 『エヴァンゲリオン』に登場した数少ない実在航空機が激ヤバだった

マグミクス / 2024年9月6日 7時35分

ほぼ欠陥機! 『エヴァンゲリオン』に登場した数少ない実在航空機が激ヤバだった

■ニミッツ級の甲板にロシア機が…!

『新世紀エヴァンゲリオン』は1995年から96年にかけて放送され、その舞台は当時から見て近未来の2015年でした。この設定により、作品内では既存の戦車や戦闘艦、またはそれらを基にした改良型の兵器が多数、登場します。

 一方で、同作における航空機の扱いには特徴があります。それは、実在する航空機がほとんど登場しない点です。戦闘や輸送のシーンでは航空機が頻繁に使われますが、これらの機体はほとんどが架空のもので、実在する航空機が登場するエピソードはわずか1回だけでした。それはエピソード8「アスカ来日」です。

 架空のニミッツ級航空母艦「オーバー・ザ・レインボー」の艦上を舞台にストーリーが展開されたため、いくつかの艦載機が登場し、そのうち飛行したものは「加持リョウジ」が搭乗し去っていく垂直離着陸機、ロシア(ソ連)製ヤコブレフ「Yak-38」だけでした。この機体については軍事マニアの「相田ケンスケ」がその名前を叫んでいます。

 Yak-38を簡潔に表現するなら、「ソ連版超劣化型ハリアー」となります。ここでいう「ハリアー」とは、1969年の実用化以降2024年現在も運用が続いているイギリス製戦闘機のことで、いわゆる垂直離着陸戦闘機の先駆けに位置付けられる機体です。その劣化型と評されるYak-38は、「垂直離着陸以外に特筆すべき性能がない」低性能機でした。

 Yak-38は1977年に実用化されました。歴史上たった3機種しかない実用垂直離着陸戦闘機のうちのひとつですが(他はハリアー、F-35B)、成功度は疑問視されます。原因はその垂直離着陸方式にありました。ハリアーは1基のエンジンと推力偏向ノズルを用いて通常飛行と垂直離着陸を実現しています。かたやYak-38は、同様の機能を有するメインエンジンに加え、機体中央に縦に2基の「リフトジェット」を搭載していました。

 このリフトジェットは垂直離着陸時の最大離陸重量を増加させることを目指しましたが、結果として致命的な欠点を生み出してしまいました。リフトジェット自体が重量物であったことや機内スペースの大部分を占有することで、武装や燃料の搭載量が大幅に削減されてしまい、ほとんど性能を引き上げる効果がなかったのです。しかも通常飛行時はいっさい推力を発生させず、何も役に立たない単なる重しとなってしまいました。

 Yak-38はソ連海軍のキエフ級空母に搭載されたものの、兵装搭載量は約1t、戦闘行動半径は百数十km程度と限定的で、これはハリアーの半分しかなく、ソ連海軍内では非常に微妙な評価が下されてしまっています。

 さらに致命的な問題点として、事故の多さが挙げられます。231機生産されたうち48機が事故により喪失しました。エンジン故障や異常な姿勢を検知すると強制的にパイロットを脱出させる「自動射出座席」が装備されており、パイロットたちの多くはこの、いつ自分を放り出すとも分からない装置を嫌っていたとされます。しかし多数の墜落事故が発生したにも関わらず人命損失が8名で済んだことは、この自動射出座席のおかげであり、皮肉ながらYak-38の(数少ない)長所であったといえるでしょう。

 このような欠陥を抱えつつも、Yak-38が実用化、量産されたことは驚くべきことです。一方でソ連の技術力を誇示し、海軍の空母航空戦力を具現化したという観点からは、一定の意義があったといえるかもしれません。

『エヴァンゲリオン』作中、「オーバー・ザ・レインボー」艦載機にはYak-38のほかにも、同じくロシア製のスホーイSu-33艦上戦闘機、西側呼称「フランカーD」なども確認できます。Su-33は当時、最新鋭機でしたからまだ理解もできますが、あえてYak-38を登場させたということは、制作チームによほどYak-38好きな人がいたからなのではないでしょうか。

(関賢太郎)

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