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打ち切りはウソ! 『仮面ライダーアマゾン』がたどった数奇な運命 放送開始半世紀

マグミクス / 2024年10月19日 6時45分

打ち切りはウソ! 『仮面ライダーアマゾン』がたどった数奇な運命 放送開始半世紀

■『仮面ライダーアマゾン』が原点回帰にして異色作だったワケ

 本日10月19日は、1974年に「仮面ライダー」シリーズ第4作となる『仮面ライダーアマゾン』がTV放映を開始した日です。本年2024年で半世紀の時が経ちました。それまでの「仮面ライダー」シリーズにはなかった要素が加えられた、異色作となった本作を振り返ってみましょう。

『アマゾン』は原点回帰をはかった作品でした。それは単に仮面ライダーの原点というだけでなく、ヒーローものの原点に立ち戻った作品という意味です。それゆえ怪奇色の強い作風となりました。

 しかし、それだけでなく当時の流行も考慮した設定となります。放送当時、カンフーブームの中心にいた「ドラゴン」の異名を持つブルース・リーのイメージを取り入れ、「ドラゴンライダー」という仮題だった時期もありました。

 このドラゴンから着想を得て、本作主人公の「仮面ライダーアマゾン」のモチーフは「マダラオオトカゲ」という架空の爬虫類となります。ちなみに初期案ではイモ虫をモチーフにしたものもあり、かつてないモチーフを模索していたのでしょう。

 それまでと違うといえば、やはり主人公の設定でしょうか。本作の主人公は南米アマゾンの密林で育った野生児「山本大介」でした。そのため言葉も話せず、周囲から「アマゾン」と呼ばれるようになります。これまでの普通の大学生が戦いに巻きまれるパターンとは大きく異なりました。

 余談ですが、アマゾンの独特の衣装は第4話くらいで普通のものになる予定だったそうです。ところが、あの衣装がスタッフ内で好評だったことで、秋から冬の寒い時期の撮影にもかかわらず第9話まで腰みのだけの姿となりました。

 これにはアマゾン役の岡崎徹さんも「ダマされた」と打ち上げで漏らしたそうです。この影響で岡崎さんいわく、全身の体毛が伸びるのが異様に早くなった……といわれていました。それだけでなく、この姿でのバイク撮影、高所での命綱なしのアクションなど、撮影は過酷だったようです。

 本作の特徴のひとつに、怪人にあたる存在の「獣人」がいました。それまでの人間ベースの怪人と異なり、獣人は動物をそのまま巨大化したような、怪獣的なデザインとなっています。実はそこには設定面以外の事情がありました。

 これは、シリーズを重ねたことで戦闘シーンがマンネリ化したことを恐れた、東映生田スタジオ所長の内田有作さんの発案だったそうです。わざと動きづらいモノを作って、意図的に殺陣を変える目的でした。これには殺陣師だった高橋一俊さんも応えて、新しい野性味あふれるアクションを生み出します。

 このように原点回帰を目指しながらも、それまでにない設定で構築された物語が本作の見どころでした。ちなみに、それまでの定番だったオープニング最後に入るナレーションがないのは、一度外してみようということだったそうです。結果的にあった方がいいということになり、次回作『仮面ライダーストロンガー』では復活しました。

 そして『アマゾン』第1話では、シリーズ初となる放送開始直後から物語が始まり、そのままオープニングにつながるというスタイルとなっています。こうして本作は意欲的なスタートを切ったのですが、実はスタッフにも知らされていなかった重大な運命が待っていました。

■当時のTV局事情が放送を半年にした

アマゾンといえばトリッキーなアクションが印象的。「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダーアマゾン」(BANDAI SPIRITS) (C)石森プロ・東映

 本作の第1話から第4話までは、「大門勲」さんが脚本を担当しています。これは共同ペンネームで、まだ助監督だった長石多可男さんと平山公夫さん、それにプロデューサーの平山亨さんの合同名義でした。これまでのシリーズにないものを制作しようという意図だったのでしょう。

 こうしてスタッフが心血を注いで制作した『アマゾン』でしたが、思わぬ事態に見舞われることになります。それがライダーシリーズ最短となる半年、全24話での放送終了でした。これは決して人気や視聴率の低下によるものではありません。TV局側の都合が原因でした。

 もともとライダーシリーズは、地方によって放送の系列局が異なる、俗にいう「腸捻転」のまま放送されていたのです。それを解消するということで、『アマゾン』放送翌年の1975年4月にスタートするライダーシリーズからは、地方放送局の変更や時間帯の移動が決まっていました。

 これにより前番組『仮面ライダーX』は1年経たずに全33話で終了、次番組の『アマゾン』は「腸捻転」解消までの半年で終了という予定が組まれます。ちなみに『X』を延長という話もあったそうですが、結果的に1年以上の放送には耐えられないという判断をされました。

 こうして『アマゾン』は、生まれながらに半年の放送と決められていたそうです。当時の新聞のTV欄を見ると、全24話と記載されているものもありました。後年、不人気だったから、異色作過ぎたから、という打ち切り説を唱える人もいますが、すべて当初の予定通りだったというのが真実です。

 もっとも、この放送話数が決まっていたという話は、スタッフ全員が知っていたわけではありません。後年のインタビューによると、プロデューサーの平山さん、同じく阿部征司さん、内田所長などといった作品のかじ取り役である面々の全員が、放送途中で知ったとコメントしています。推測でしかありませんが、TV局側だけが承知の事実だったのかもしれません。

 この放送が半年だったということで、前番組に登場していた歴代仮面ライダーのゲスト出演ができなかったという影響を受けました。実はゲストライダーの登場は放送半年くらいが目安で、『アマゾン』も半年ほど放送してから検討しようとしていたそうです。

 つまり世界観が違うから歴代ライダーのゲスト出演がなかったのではなく、放送が半年だったから、その余裕がなかったといえるでしょう。もっとも、歴代ライダーのゲスト登場がなかったゆえ、『アマゾン』は独自色の強い作品へと昇華できたといえるかもしれません。

 なにせ半年のあいだに「ゲドン」と「ガランダー帝国」という2大組織をひとりで壊滅させたという、アマゾンは唯一無二の経歴を持つ仮面ライダーです。また、一部のファンから根強い人気があるのも、アマゾンのキャラクターとしての魅力が支えているのかもしれません。筆者もライダーシリーズでもっとも好きな作品であります。

(加々美利治)

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