ディスクシステム『謎の村雨城』の熱量 30年以上の時を越えてBGMが頭の中に!
マグミクス / 2020年4月14日 8時50分
■脳裏に刻まれたBGM
1986年4月14日にファミコンディスクシステムのオリジナルソフト第二弾として発売された『謎の村雨城』は、『スーパーマリオブラザーズ』のBGMを手掛けた近藤浩治氏による和風テイストのBGMが強い印象を残す作品となりました。当時、ディスクシステムを持っていた友達の家に通い詰めて遊ばせてもらった記憶を持つ、ライターの早川清一朗さんが当時の記憶を語ります。
* * *
『謎の村雨城』の記事を書くと決まったとき、不意に頭の中で、道中のBGMが流れ始めたことに驚かされました。筆者が『謎の村雨城』をプレイしていたのは33~34年前のこと。その後、ゲームボーイアドバンスで発売されたときのCMで使われていたので耳にしていた可能性はありますが、それでも記憶の片隅にずっと刻み込まれていたことに代わりはありません。『謎の村雨城』のBGMがどれほど印象的だったのか、改めて思い知らされました。
筆者が初めて『謎の村雨城』を目にしたのは、近所に住んでいた友達の家に遊びに行ったときのことでした。なんとなく自慢げな友達に連れられ、通してもらった部屋のファミコンの下に、見知らぬ四角い箱のような物体が置かれていました。そう、その友達はディスクシステムを買ってもらっていたのです。
後に筆者も購入するのですが、まだその時期は発売からそれほど時間が経っていなかったのでディスクシステムを持っていた友達はほとんどおらず、とてもうらやましかったことをよく覚えています。そして友だちがディスクシステムの電源を入れて見せてくれたのが『謎の村雨城』だったのです。
まず驚かされたのは、オープニング画面での落雷です。激しく明滅する画面は、ファミコンでは初めて見るものだったと思います。この明滅、後に発売されたゲームボーイアドバンスのファミコンミニ版やバーチャルコンソール版ではかなり抑えられているそうですが、おそらく1997年に発生した「ポケモンショック」の影響とみて間違いないでしょう。
■軽快なBGMも難易度は高め
『謎の村雨城必勝攻略法』(双葉社)
そのとき、友達の家で実際に『謎の村雨城』をプレイさせてもらったのですが、軽快なBGMに乗り、すいすい攻略……というわけには行きませんでした。マップのつながりがどうなっているのかわからず、うろうろしているうちに四方八方から押し寄せてくる敵の忍者集団に、あっという間にやられてしまった記憶があります。その後数回やらせてもらい、どうにか球を次々と投げつけてくるボスのところまではたどり着いたのですが、そこが限界でした。友達の家なので長時間プレイは出来ません。まだ攻略本も出ておらず、友達もそれほど奥へは進めていませんでした。結局その日、筆者はディスクシステムと『謎の村雨城』をうらやましく思いながら、家に帰る羽目になったのです。
筆者が『謎の村雨城』を手に入れたのは、それから半年以上経ってから。確か年末にクリスマスプレゼントで買ってもらったと思います。この頃には攻略本も出ていたのでマップ構造もボスの倒し方も分かります。とはいえやはり次々押し寄せる忍者たちはかなりの強敵で、攻略法が分かっていてもボスはなお強敵でした。特にテレポートしながら分裂する花を投げてくる、桃雨城主にはかなり苦戦させられたのを覚えています。
どうにかこうにかラスボスの謎の生命体を倒し、達成感を得た筆者は、実はすぐに『謎の村雨城』のディスクを他のタイトルに書き換えてしまいました。確か『メトロイド』か『リンクの冒険』だったはずです。
1986年の夏から1987年にかけてはディスクシステムで数多くの傑作が発売されていたので、面白そうなタイトルをどんどん遊びたくて仕方がなかったのです。先の2タイトル以外にも、『悪魔城ドラキュラ』『デッドゾーン』『ザナック』『水晶の龍』『パルテナの鏡』『ディープダンジョン』『エスパードリーム』がわずか半年ほどの間に発売された、ディスクシステム黄金の時代を迎えていたのです。
本気で『謎の村雨城』を遊んだのはほんの一時。それにも関わらず30年以上の時を超えてBGMが脳裏によみがえったのは、あのときの作り手と遊び手の熱量の高さを示しているのだと思います。
(早川清一朗)
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