「R指定じゃないと」「メジャー作だしな」 過激さが抑えられて賛否割れた実写化作品
マグミクス / 2025年2月2日 21時25分
■原作よりマイルドになった状態でも「グロい」という声も
毎年何本も公開されるマンガや小説原作の映画のなかには、原作にかなり過激な描写が含まれているケースも少なくありません。原作そのままの攻めた表現を貫いて、映画倫理機構(映倫)から「R15+、R18+指定」の年齢制限を受ける映画もあれば、描写をマイルドにして「G指定(誰でも鑑賞可能)」「PG12指定(小学生の観覧には、親又は保護者の助言・指導が必要)」として公開された作品もありました。
PG12指定では『寄生獣』2部作(原作:岩明均)や『ゴールデンカムイ』(原作:野田サトル)など、ギリギリの範囲で原作の過激描写を描いて話題になった例もありましたが、それよりさらにマイルドなG指定になってしまった作品には、原作ファンからの苦言が目立つのも事実です。
たとえば、2025年1月現在公開中の『アンダーニンジャ』(原作:花沢健吾)は、上映開始後さまざまな賛否のレビューが入り乱れています。否定的意見としては、監督の福田雄一さんのいつものテイストのギャグが余計、原作8巻までを2時間にまとめていることもあって話が分かりづらい、などいろいろあるのですが、なかでも多いのが「グロが足りない」という声です。
映画序盤では、原作第1話で衝撃的だった「顔の上半分が斬り落された死体」がうっすらぼかしつつも再現されていたのですが、残酷描写としてはそこがピークで、中盤以降の高校でのバトルや、終盤の主人公「雲隠九郎(演:山崎賢人)」ととあるキャラの戦いの顛末の描き方は、血しぶきが飛び散る程度に抑えられています。
それでも「グロく感じた」というレビューもあるので難しいところですが、原作ファンからは「普通におもろかったけど、グロシーン抑えられててちょっと悲しかった」「PG12程度でいいから、もうちょいグロめにして欲しい」「残酷シーンをしっかりやれば、シュールギャグとのギャップが際立ってよかったと思うんだけどな」と残念がる声が多数出ていました。
同じ花沢健吾さんのマンガ『アイアムアヒーロー』を容赦ないR15+指定のゾンビ映画に仕上げ、絶賛を浴びた佐藤信介監督は他にも多数のマンガを実写化しています。R指定作品は『アイアムアヒーロー』だけですが、2011年のPG12指定の映画『GANTZ』(原作:奥浩哉)も「ネギ星人」が爆発するシーンほか、なかなか過激な描写がありました。
一方、同じ奥浩哉さん原作、佐藤信介監督の『いぬやしき』(2018年)は、原作はなかなか過激な内容ながらG指定で公開されています。宇宙人が起こした事故で機械の身体に改造されてしまった初老男性「犬屋敷壱郎(演:木梨憲武)」と、高校生「獅子神皓(演:佐藤健)」の対決を描いており、作中で獅子神が連続殺人事件を起こし、その果てに日本全体を敵に回して大量虐殺を行うという流れは同じなのですが、全体的に残酷描写は抑えめとなりました。
TVアニメ版では第2話でじっくり描かれた最初の一家殺人事件の場面も短くなり、幼児が殺される描写もなくなったほか、地上波ギリギリの内容だった「鮫島編」は丸ごとカットとなっています。『GANTZ』や『アイアムアヒーロー』のような過激さを期待した人からは残念がる声もありましたが、グロテスクな要素が苦手な方はまず実写版から観るのがおすすめです。
ここ数年で特に「原作のようなグロさがない」ことが物議をかもしたのは、平山夢明さんの小説を実写化した『Diner ダイナー』でしょうか。殺し屋専用のレストランが舞台の本作は、原作でも細かい描写の数々でその残酷さが伝わってきますし、2017年から「週刊ヤングジャンプ」で連載が始まったマンガ版(作画:河合孝典)は小説の過激シーンをかなり忠実に描いていたため、実写映画化が決まった際は「かなりグロくなるんじゃないか」と心配や期待の声が出ていました。
ただ、2019年公開の映画はG指定で公開され、血しぶきの代わりに花が舞う演出など、監督の蜷川実花さんの色がかなり強い作品になっています。映像美や、店に売られてやってきた主人公「オオバカナコ(演:玉城ティナ)」の成長物語は楽しめますが、元殺し屋のシェフ「ボンペロ(演:藤原竜也)」や客の殺し屋たちに関する描写がマイルドになっているため「殺し屋たちのえぐい過去が映画だとあんまり伝わってこない」「グロがないと話に切実さが出ない」「原作でもマンガでもめちゃグロいのに、料理はおいしそうっていうバランスが良かったのに」「映画は別ものと考えた方がいい」など、やはり残念がる声は多々ありました。
ここまであげたG指定の映画は、残酷シーンが苦手な人にはむしろおすすめできる内容ですが、注意が必要なのは2016年の『ミュージアム』(原作:巴亮介)です。本作のポスターをよく見ると、映倫の年齢区分のマークに似せて「危険!」の文字が記載されています。
作中では「カエル男」と呼ばれる犯人が、「母の痛みを知りましょうの刑」「針千本のーますの刑」など恐ろしい殺人事件を起こしていきますが、死体は映されてもそこに至るまでの過程が描かれていないためか、特に年齢制限はありません。監督の大友啓史さんもR指定覚悟で映画を撮っていたため、この結果には驚いたそうです。
ちなみに、『ミュージアム』に影響を与えていると思われる1995年の映画『セブン』も、惨殺死体は映すも過程は見せない演出となっており、現在行われているIMAXリバイバル上映の年齢区分はG指定です。
(マグミクス編集部)
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