「RIZIN」出場選手も目指す最高峰「UFC」が舞台のゲームがあった。試合は「ほぼ瞬殺」の謎も
マグミクス / 2020年12月30日 18時10分
■総合格闘技の頂点「UFC」を舞台としたゲーム
2003年の12月31日に開催された「PRIDE 男祭り」と「ボブ・サップ 対 曙」が瞬間最高視聴率43%を叩きだし、“民放初の視聴率紅白越え”を果たした「K-1 PREMIUM 2003 Dynamite!!」による興行戦争から、毎年恒例化されている「大晦日の格闘技」ですが、2020年の年末はいかなる闘いが繰り広げられるのでしょうか?
さいたまスーパーアリーナで12月31日に開催される「RIZIN.26」では、メインの朝倉海選手 対 堀口恭司選手によるRIZINバンタム級のタイトルマッチや、今大会がデビューとなる「K-1の申し子」である平本連選手 対 萩原京平選手、そしてさまざまな方面で物議を醸しているユーチューバーのシバター選手 対 X(2020年12月27日時点で対戦相手は未発表)など注目のカードが目白押しです。
そのような「総合格闘技」において、米国の「UFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)」が頂点にあることに異論を挟む格闘技ファンは少ないでしょう。
実際、今回のRIZINでメインに登場する朝倉海選手やデビュー戦となる平本連選手は将来的に『UFC』に挑戦することを表明していますし、堀口恭司選手の評価も2013~2016年にかけての同団体での活躍が大きいと思います。
1993年、第1回大会でのホイス・グレイシーの優勝以来、紆余曲折のなか大会を重ね、2007年には日本の「PRIDE」も買収。世界的なコロナ禍の2020年も11大会が開催され(うち8大会は無観客試合)、同団体はやはり格闘技界の頂点に君臨しています。
その『UFC』を舞台にしたゲームが、今回ご紹介させていただくプレイステーション2用ソフト『UFC2 タップアウト』(2003年・カプコン)です。その出来ばえは……総合格闘技を題材としたゲームにはなぜかゲームバランスが悪いものが多いのですが、この『UFC2』も例外ではなく、ナカナカにパンチの効いた内容となっています。
■テンポ早すぎ? どのキャラを使っても試合は「ほぼ秒殺」
『UFC2 タップアウト』で選択できるファイターたち
『UFC2』に登場する選手は2003年当時「UFC」に登場していたファイターが多く、マーク・コールマン選手やティト・オーティズ選手、日本人では“世界のTK”こと高坂剛選手や宇野薫選手など「通好み」のラインナップとなっています。
ただ、このゲームの特徴というか癖というか、どのキャラを使用してもほとんどの試合が秒殺で決着してしまいます。ダラダラと判定で決まる“塩試合”よりはマシなのかもしれませんが、タックルでテイクダウンして、関節をとるかマウントパンチで、ほぼすべての試合の決着がついてしまいます。
CPU同士で闘わせてみても、すべての試合でラウンドをまたぐことはほどんどなく、だいたいが1ラウンドで終わります。スタミナとダメージが分かれたゲージなど評価すべき点はあるのですが、あまりに早い決着は興ざめしてしまうのも本音です。
またこの手の格闘技ゲームは「エディットモード」で選手を作り、現実では実現不可能な「夢の対決」をすることも楽しみのひとつなのですが、同作でエディットできるのは予め用意された架空の格闘家のみ。柔術や空手、キックボクシングのほか、カンフーや相撲、忍術まであって、楽しそうに思えるかもしれませんが、コスチュームや顔どころか技すらも選べない不自由さもあります。
そのエディットレスラーを育てる「クリエイトモード」では、スパーリングやトーナメントを繰り返し、選手を育てていきます。しかし、レベルアップしていくと使える技が勝手に切り替わり、かえって弱くなってしまったりもします。エディットモードに関しては、他のプロレスを題材にしたゲームの方が優れていると感じます。
またこの『UFC2タップアウト』、カプコンからの発売とあって、「エドモンド本田」や「ザンギエフ」など、『ストリートファイター』のキャラクターが隠れキャラで登場するのですが、これは大きく盛り上がるかと思いきや、実践ではかなり弱い設定になっていて、「百裂張り手」や「スクリューパイルドライバー」も繰り出せず、リアルなCG描写とあいまって、違和感が残るキャラクターとなってしまった点が残念です。
現実世界の総合格闘技の試合が、この『UFCタップアウト2』のように瞬殺試合ばかりだとしたら、興行は失敗に終わると思いますが、実際の試合は「大晦日の格闘技興行」の灯を消さないためにも、多いに盛り上がって欲しいところです。
2006年に『PRIDE』が終わり、『K-1 Dynamite!!』で“ヌルヌル事件”が起こって以来、格闘技界が失速した印象というのが正直なところですが、今年こそはかつての“熱”を呼び起こすことに期待したいです。
(C) 2002 Crave. Under license from Zuffa, LLC. Published and distributed by Capcom under license from Crave.
(渡辺まこと)
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