東京五輪の今こそFC版『ハイパーオリンピック』をプレイ! 連打で手がつりそうに…
マグミクス / 2021年7月29日 7時10分
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■多くのプレイヤーが「試行錯誤」に挑んだ
1984年のロサンゼルスオリンピックの開会式で宇宙飛行士がロケットで空を飛び、会場に降り立った瞬間は今でもはっきりと覚えています。あれはまさに、人類の力強い未来を示す演出でした。
その翌年、1985年にコナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)から発売されたファミコンのカセットが『ハイパーオリンピック』です。1983年に発売されたアーケード版を移植したタイトルで、アーケード版では100メートル競走、走幅跳び、やり投げ、110メートルハードル、ハンマー投げ、走高跳びの6種目が実装されていましたが、ファミコン版では100メートル競走、走幅跳び、やり投げ、110メートルハードルの4種目となっています。
ゲームの基本は「ボタンの連打」。早く連打することでより速く走り、より遠くに飛べるという単純な仕組みであるため、アーケード版の頃からさまざまなな連打方法が試行錯誤の末に生み出されてきました。プレイヤーの間では金属製の定規をしならせてボタンをはじく行為も行われ、筐体を痛めてしまうことが多かったそうです。
ファミコン版では通常のコントローラよりはるかに大きなボタンが備えられた専用のコントローラ「ハイパーショット」が同梱されていましたが、アーケード版の教訓をふまえたものだったのかもしれません。ファミコン本体のコントローラは直付けなので、壊れたら本体ごと修理に出さなければいけないのです。同梱の判断はコナミの英断と言えるでしょう。
さて、そんな『ハイパーオリンピック』を筆者は約35年ぶりに手に入れました。もちろん「ハイパーショット」も一緒です。まだ連射機能つきのコントローラーは「ジョイボール」くらいしかなかった時代、さまざまな手段で連射速度を上げようと必死になっていた記憶がよみがえってきます。
筆者が当時試していたのは手を痙攣(けいれん)させる「痙攣打ち」、人差し指と中指で交互に連打する「ピアノ打ち」、軽く拳を握り、高速で左右に動かし爪をこすりつける「こすり打ち」の3種類でしたが、せっかく『ハイパーオリンピック』が手元にあるので、各競技ごとにどの打ち方が適しているのかを試してみました。
■ジャンプがあるときは痙攣打ち。それ以外はこすり打ち
筆者が入手した『ハイパーオリンピック』に付属のコントローラー「ハイパーショット」。連打による酷使が原因と思われるが、コントローラー前面のシールが剥がれている
まずは第一種目の100m走からいろいろ試してみます。最初に試したのはピアノ打ちで、記録は11秒98。久しぶりならこんなものでしょうか。その後もしばらくピアノ打ちを試すものの、ここで思わぬトラブルが。
……指がつりました。具体的には手の甲側にある指の筋が悲鳴をあげました。1日に何時間でも連打できていた小学生の頃とはわけが違うようです。おのれ加齢……。
仕方ないので次は痙攣打ちを試して10秒72。一気にタイムアップです。さらにこすり打ちを試したところ、1回で10秒20の記録を叩き出しました。どうやら100m走にはこすり打ちが適しているようです。
次に、第二種目の走り幅跳び。この種目は助走からジャンプをする二段構えです。とりあえずピアノ打ちを試してみましたがあっさりと手のスタミナが限界を迎えてしまったので断念。こすり打ちを試しましたが、助走からジャンプへの切り替えが上手く行かず、ファウルを連発する羽目に。
右手の動きが大きい分、左手でジャンプボタンを押すタイミングがつかみづらかったように思えます。結局一番上手く行ったのは痙攣打ちで、数回のチャレンジで7m80の記録を出せました。
第三種目は110メートルハードル。連打をしつつタイミングよくジャンプする必要がある競技です。このゲームは第一種目から順に突破していかないといけないシステムのため、このあたりからは早々やり直しは効きません。右手が持たないのでピアノ打ちは断念し、まずはこすり打ちです。
110メートルハードルの場合、こすり打ちは右手に注意が行きすぎてジャンプボタンを押すタイミングが取りづらく、すぐに転んでしまいます。そこで痙攣打ちを試したところ、やはりこちらの方がタイミングを取りやすく、無事に14秒85のタイムで突破することができました。子供の頃よりも大分遅いタイムですが、これは仕方がありません。
そして第4種目はやり投げです。まず痙攣打ちを試しましたが記録を突破できずクリアとはなりませんでした。次のこすり打ちは1回失敗したものの、無事に72m53の記録を出し、なんとかクリアできました。
おおよその感覚ですが、ジャンプがあるときは痙攣打ち、それ以外はこすり打ちが適しているようです。現在のゲームでは自動連射が簡単にできるため、ゲームでこのような試行錯誤をすることはもうないのでしょうが、35年前に夢中になったタイトルを久々に遊んでみると、ほんのわずかな時間ではありますが、子供のころに戻れたような気分を味わえました。
この、右手の重さを除けばですが……。
(ライター 早川清一朗)
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