「マリオ」に命を吹き込んだ声優たち 国内でも超有名声優が熱演

■ゲーム業界のスターに命を吹き込んだ”マリオ声優の歴史”

　2021年9月13日は、任天堂が誇る「スーパーマリオブラザーズ」（以下、スーパーマリオ）シリーズ31回目の誕生日です。数々のゲーム作品はもちろんのこと、昨今では2021年3月にユニバーサル・スタジオ・ジャパン内で開園した「スーパー・ニンテンドー・ワールド」の盛況ぶりも話題を呼んでいます。

　ゲーム化・アニメ化・映画化など、国内外を問わずたくさんの関係者がコンテンツ事業に携わってきた「スーパーマリオ」シリーズですが、読者の方々は”マリオ役を演じた声優”についてご存知でしょうか？

　この記事では30年以上の歴史を誇る「スーパーマリオ」シリーズにおいて、ゲーム業界のスーパースターこと「マリオ」に命を吹き込んだ声優陣を振り返ります。

　マリオに初めて声がついた作品は、1983年に放送が始まったアニメ番組『Saturday Supercade』。こちらの作品は「フロッガー」や「ドンキーコング」など当時の人気ゲームキャラクターを主役に据えており、ファミコンの『スーパーマリオブラザーズ』が発売される以前のマリオも登場しています。彼を担当したのは、「トランスフォーマー」のコンボイ役や「くまのプーさん」のイーヨー役で知られるピーター・カレンさん。『Saturday Supercade』では1年間にわたり、やや高めの声質でマリオを演じていました。

　海外ではその後、「スーパーマリオ」シリーズを題材としたテレビアニメが続々と展開していきます。1989年9月にスタートした『The Super Mario Bros. Super Show!』では、プロレスラーのルー・アルバーノさんが出演し、実写パート＆アニメパートの両方でマリオ役をワイルドに熱演。続いてゲーム版のストーリーを踏襲した1990年代初頭のアニメ作品『The Adventures of Super Mario Bros. 3』および『Super Mario World』の放送が始まると、テレビドラマや映画で活躍していた俳優のウォーカー・ブーンさんがバトンを受け継ぎました。

■「アムロ」や「星飛雄馬」を演じた声優・古谷徹もマリオ役を熱演

　一方、国内でもアニメ映画やOVA作品の誕生がきっかけとなり、佐々木望さん、古谷徹さん、故・青野武さん、故・富山敬さん……などなど、これまでに多くの声優陣がマリオ役を務めています。

　そのなかでも、古谷徹さんは取り分けて担当作品が多め。1986年のアニメ映画『スーパーマリオブラザーズ ピーチ姫救出大作戦！』を皮切りとし、「永谷園 スーパーマリオブラザーズふりかけ」のテレビCMや、昔話をモチーフとしたOVA作品『アマダアニメシリーズ スーパーマリオ』といった各媒体に参加したほか、1990年代に送り出された『マリオ運動会』、『ブーブーマリオ』（ともにアーケードゲーム）でもマリオの声を演じています。

　アムロ・レイ（機動戦士ガンダム）・星飛雄馬（巨人の星）・安室透（名探偵コナン）などなど、思春期の少年から魅力的な青年まで幅広いキャラクターを担ってきた古谷さん。もとの声質と演技プランも相まってか、彼の演じるマリオは海外の声優陣に比べて”ひょうきん者なおじさん”という印象が目立ちます。

　最後にご紹介するのは、チャールズ・マーティネーさん。『Mario’s Game Gallery』をはじめ何作かのパソコンゲーム（日本未発売）でマリオの声を担当したのち、1996年のNINTENDO64ソフト『スーパーマリオ64』で正式にマリオ役に就任。以降、2021年9月現在にいたるまで、彼は25年もの間たったひとりでゲーム版のマリオに声を吹き込んでいます。そしてマリオだけでなく、ルイージ・ワリオ・ワルイージを含む計4体の任天堂キャラクターを見事に演じ分けているのです。

　とある1本のオーディションを契機に世界的ゲームキャラクターの役をもぎ取ったマーティネーさん。マリオ関連のシリーズ展開にともなって担当作品が次第に増していき、2018年には「単一キャラクターとして100作のゲームに出演したギネス世界記録」の認定を受けることになりました。

　今回ご紹介した方々を含め、マリオのキャラクター性は多種多様な声優陣の名演によって支えられてきたと言っても過言ではないでしょう。ゆえに、米スタジオ主導のもと制作中のアニメ映画ではどのようにマリオが描かれているのか、今後の動向に注目です。

（龍田優貴）