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市民が乗れない京都市バス…観光客で溢れるバス乗り場に悲鳴 花見で激化する京のオーバーツーリズムの現状

まいどなニュース / 2024年4月3日 7時35分

別の日の「D2」乗り場の行列の様子。大型スーツケースの市バスへの持ち込みは禁止されているのだが……(画像提供:釜玉うどんさん @fBJZQlO8fLn5EsT)

円安効果もあり、京都市内は現在、大勢の訪日観光客で溢れかえっている。さらに、桜(ソメイヨシノ)の開花に合わせ、世界中から観光客が京都に押し寄せることが予想される。

そんななか、京都市在住の釜玉うどん(@fBJZQlO8fLn5EsT)さんが、「京都市民はこれでは利用出来ません」とつぶやき、X(旧Twitter)に動画をポスト。

そこに映っていたのは、三十三間堂、祇園や平安神宮、清水寺などの人気の観光スポット「東山エリア」を経由するJR京都駅前のバス乗り場「D2」に出来た、雨のなかバスを待つ人々の長蛇の列。

「京都市民が利用できない京都市バス」

釜玉うどんさんによると、動画が撮影されたのは、桜はまだつぼみ状態だった日曜の午前10時頃。「私の感覚では、列のなかに京都市民は5%もいなかった感じでした」(釜玉うどんさん)

この乗り場は人気の観光名所を経由する路線の発着場所であり、平日でも大きなリュックやスーツケースを手にした観光客で長い列が出来ている。撮影されたのは日曜日であり、列はバス停前だけでは収まらず、別の乗り場の横、さらに地下街の入口前へと続き、全部で3列となる長蛇の列の最後尾には案内看板を持つ係員がいる…という混雑ぶりだ。

なお、当該バスは、市民や府民も通勤通学などで利用する一般的な市バス。「京都市民が乗れない市バス」として知られる京都市営バスの混雑ぶりに、驚きのコメントが殺到した。

なぜ「タクシー」や「地下鉄」を使わないのか?

「これは…すごいですね」
「京都駅から通勤、そして来月から通学する人達は遅刻確実かと」
「ここまでとは。5年前に行った時も交通インフラ駄々混みでどんびきしましたが、さらにひどくなってますな」
「キャリーバッグあるならタクシーか地下鉄使いなよ。タクシー乗る金がないならもう来んな」
「もう、ほんまにいやや。京都に帰られへん。インバウンドでしか金かせがれへんの?」
「本当、被害者は市民府民」

寄せられたコメントのなかには、「京都市民です。街中は日本人より外国人の方が多いと思う。旅行客多過ぎて花見の名所には行けへんかも」「嵐山周辺に住んでますが、バスも嵐電も外国人だらけ。錦市場も歩けません」「コレのせいでわざわざ地下鉄経由か河原町経由でバス代倍払ってんだけど」と、市民の悲鳴も見受けられるなど、京都のオーバーツーリズムは深刻な状況だ。

「市民なら自動車移動すればいい」という声もあるが、京都市では毎月16日を「ノーマイカーデー」とし、京都市民に対して市バスなどの公共交通機関を利用するよう呼びかけるなど、マイカー利用の規制を行っている。

また、他府県からマイカーで訪れる観光客に対して、多額の税金を投入して設置した「専用駐車場」に車を停めて公共交通で移動する「パーク&ライド」の活用を呼びかけている。しかし実際は、市内中心部や観光地に他府県ナンバーの車が溢れているのが現状だ。

6月導入の「観光特急バス」で混雑は緩和するか?

京都市では6月から、市バスの混雑の緩和を目指して、観光客の利用を促すPR事業費・約7500万円をかけ、JR京都駅と「東山エリア」を結ぶ「観光特急バス」を導入するという。運行は土日祝日のみで、運賃は現在の京都市営バスの運賃(230円)の約2倍超の500円(子ども250円)となる。

京都のタクシー運転手によると、京都を訪れる海外からの観光客の多くは、円安でもタクシーを利用せず、市バスで移動する傾向があるという。果たして、市バスよりも運賃が高い「観光特急バス」の導入は混雑の緩和につながるのだろうか?

「京都市交通局の限られた資源(車両台数+運転士)を利用して混雑緩和を防ぐには良い案だと思っております」と、京都の市バス事情に詳しい釜玉うどんさん。

「運賃を500円(地下鉄、バス一日券1100円でも利用可能/京都市敬老乗車証、市バス定期券での乗車は不可)とすることで、市民との住み分けができると思います。正直、現在でも東山方面に臨時バスを頻繁に出しているのですが、行列は改善されていないので、実際にどこまで混雑緩和に寄与できるかは未知数ですが…」(釜玉うどんさん)

混雑緩和には「大型荷物」持ち込み制限も重要

釜玉うどんさんは、「京都市バス」と「寺社仏閣巡り」を愛する京都市民。「市民が乗れない市バス」と言われる京都市営バスの現状について、「確かに、住民税を払っている市民が市営バスに乗れないのはおかしいと思います。しかし公共交通機関である以上、市民を優先させるということはあってはならないと考えます。市民だけ、観光客だけが乗れるバスを導入することも法律的な限界があると思います。なので、混雑は我慢します(笑)」と語る。

「令和6年度の京都市バスの車両台数は810台、利用者が多い12路線が黒字で、赤字が62路線。限られた資源内で、人が集中する路線に資源を注ぎ、赤字路線の減便は止むを得ない…。市内を一周できる環状線地下鉄の建設を!との声もありますが、地下鉄東西線建設時の莫大な借金が残っており、新たな地下鉄建設は難しいと思います。

例えば、京都駅→東山方面→京都駅のような、主要な観光路線を循環する連接バスを数分間隔で走らせれば、混雑緩和に繋がるかもしれません。また、市バスの混雑緩和のためには、運送約款で定められているサイズ以上の大型荷物の持込みを制限することも重要だと思います」(釜玉うどんさん)

京都市営バスの台数や運転士の数、そして街全体の大きさに対して、京都市内を訪れる観光客の数は今、完全にキャパオーバーの状況だ。

桜見物の後も、葵祭や祇園祭などの祭事を目当てに、世界中から観光客が京都に押し寄せる。京都市民にとっては試練の日々となる。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ かな)

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