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想定を上回る「奨学ナプキン」への需要 「生理用品が高い」「親が買ってくれない」学生へのメーカーの試み、応募が殺到

まいどなニュース / 2024年5月9日 7時0分

「エリス 素肌のきもち(多い昼用)羽つき23cm」「エリス コンパクトガード(多い昼用)羽つき23cm」。奨学生に配布されるセットにも入っており、応募時にどちらかを選択できる(大王製紙「エリス」HPより)

「生理でもプールに入れという先生がいる」「生理による体調不良は甘えだ、ズル休みだといった考えをやめてほしい」「生理の症状には個人差があることを知ってほしい」…学生からのリアルな声。教育現場であったとしても、男女差、また同性でも個人差があるため理解されていない現状が浮き彫りになる生理。

さらに、「生理の貧困」という言葉にもあるように、学生への調査(※1)で、「生理用品の購入に苦労した理由を教えてください」という質問に対し、2022年度(N=9185)は69.3%、2023年度(N=4931)は75%の人が「値段が高いから」と答えており、続く回答でも「お小遣いなど自分が使えるお金が少ないから」「親・保護者が買ってくれないから」といった金銭的な理由が挙がっています。値上がりや増税の影響も無関係とはいえず、深刻な実態や課題が多いことが伝わってきます。

そんななかで、注目を集めているのが「奨学ナプキン」です。

SNS上では「私の時代にも欲しかった」「いろいろ値上がりしていて助かる」という声とともに、現物での支給に対して、「これはいいアイデア。お金だと本当にナプキンに使われるかがわからない」という意見もありました。

大王製紙株式会社(東京都千代田区)が手がける生理用品ブランド「エリス」が、1年間生理用ナプキンを無償で提供するプロジェクト「奨学ナプキン」は、2022年に開始。スタート時は1000人対象でしたが、あまりの反響の大きさに1年目から対象を2000人に倍増。このプロジェクトの背景を取材しました。

「枚数を気にせず使えるように」「金銭的に助かった」

冒頭の学生の声は、「奨学ナプキン」に応募する際のアンケートから。生理に対する悩みや生理用品についてのアンケートに答えて応募でき、選考の上「奨学生」を決定し、選ばれると年3回に分けて1年分の「エリス」が届けられます。現在、20を超える企業・団体から賛同の声をいただいているとのこと。

1年間奨学ナプキンを受け取った奨学生たちからの感想も集まり、最終アンケート結果(※2)からは、
「生理期間中も少し前向きになれるようになった」
「枚数を気にせず使えるようになったので部活や勉強に集中できた」
「ナプキンの交換回数が増えてかぶれることが減った」
「コストを気にせず夜用のナプキンを使えるようになって生理中も熟睡できるようになった」
「物価高騰で生活が苦しい中金銭的に助かった」
といった喜びの声が。98.1%の方が奨学ナプキンをまわりの人に勧めたいと答えたそうです。 

必要十分数な生理用品を買えなかったり、ストックできる量が手元に無いとなると、必然的に同じナプキンを長時間利用したり、使い惜しみ、あえて交換しないことに。

そういった状況が肌トラブルを引き起こしていることや、日常生活にも支障をきたしていることがアンケート結果からもうかがえます。奨学生になったことで生理にまつわる心配や不安が解消され、生活の質が向上しているようにも感じました。

なぜ「奨学ナプキン」のスタートを?実施メーカーに話を聞いた 

ただいま、2024年度の奨学生を募集中の同プロジェクト(5月19日まで)。推進している大王製紙株式会社(東京都千代田区)フェミニンケアグループの担当者さんにお話を聞きました。

――奨学ナプキンをスタートするに至った経緯やきっかけは?

現在、社会的に多様性がキーワードとなる中、生理もひとりひとり異なるものです。そんななか、2022年4月にエリスの商品「コンパクトガード」「素肌のきもち」のリニューアルを機に、「だれかではなく、あなたのそばに」というブランドメッセージを発信するとともに、「#meetmyelis」というプロジェクトを発足いたしました。

その一環として、「自分に合ったナプキンを見つけてもらう機会を」、それが「エリス」であればなお嬉しいという思いとともに、若い世代を支援していきたいという願いのもと、スタートしたのが奨学ナプキンです。

――2022年度は1000名、2023年度は2000名が対象に。今年も2000名募集とのことですが、倍になったのは?

2022年のスタート時に1000名で募集を開始したところ、大きな反響をいただき、この2022年の時点で対象を2000名に増やしました。そこから2000名の募集を継続しております。2022年度と2023年度の累計で約14000件超の応募があり、総勢4000名の学生の方に「エリス」の生理用品をお届けしています。

――この2年で、生理用品の購入に経済的な理由を挙げる割合が増えていました。こういった結果も、奨学ナプキンを継続する大きな理由に?

はい、経済的な面をはじめ、ご家庭の事情など学生さんをとりまく生活環境などもふまえまして、更なる支援の輪を広げるためにも継続することにいたしました。引き続き、「生理の貧困」問題にも向き合っていきたいと考えています。

――「奨学ナプキンを勧めたい」という人が98.1%もいた最終アンケート結果については?

「少しでもお役に立っているんだな」と実感できるお声をいただいており、ありがたく思っております。

――とはいえ、まだまだ生理への正しい知識や理解の周知が至っていない現実や、男女での認識の差などが浮き彫りになっている現状も伝わってきました。

学校教育を通して、性別を問わず生理に関する知識をもっと深めていければ、大人になってもお互いに思いやりを持って接することができるのではないかと思っています。

昨今、被災地での生理用品についてのニュースが頻繁に取り上げられています。生理がある人にとっては当たり前のことでも、話題になるということ自体、知識が不足している現実があるということかと。学校教育の場からも生理についての正しい情報が伝われば良いなと感じております。

――今後、奨学ナプキン以外の取り組みなどは?

弊社の「エリス」WEBサイト上に「お役立ち情報」というページがあり、こちらをたくさんの方々が見てくださっているようです。例えば、「生理中のナプキンのかぶれやかゆみ、どうしたらいい?」「受験と生理が重なったらどうする?」「旅行と生理が重なったらどうする?」といった、学生はもちろん、生理がある方ならどなたでも気になる内容のコンテンツを公開しています。

こちらを更に充実させたり、公式Instagramの運用を通して、引き続き生理への不安や悩みに寄り添える情報をどんどん発信していけたらと考えています。

◇     ◇

今回のプロジェクトを通じて、同社のアンケートでは
「どのトイレにもナプキンが置いてある社会になってほしい」
「生理用品は生活必需品であるため購入費用を軽減してほしい」
「被災時でも十分な量を配布できるようになってほしい」
「生理についてニュースを目にする機会が増えたが、興味がない人にも理解が広まってほしい」
と、社会保障を求める声や、生理に関する社会全体の理解を求める声なども挙がっています。 

男女共同参画局が2021年に第1回調査をおこなった際、「生理の貧困」に係る取り組みを実施している(実施した・検討している)のは全国で255団体、2023年の第4回は950団体と、問題視されてからようやく増えた印象。実際に実施できているかどうかは県によって差が大きく、小中学校に生理用品を設置するところもあれば、市役所に設置、施設で配布などさまざまあり、学生にとってハードルの高さを感じる対応も。さらに期間は、通年もあれば、無くなり次第終了というところもあり、サポートは十分とはいえない状況のようです。

1回の生理期間における経血量や使うナプキンの量は、かなり個人差があるもの。頭痛や腹痛、肌への負担、生理前後の不調などそれぞれ異なる身体的な悩みを抱えながら、学校生活を送っている学生さんも多いことでしょう。

経血量についての悩みや生理時・生理前後の不調はほかの病気の兆候であることもあります。気になることがあれは、年代関係なく早めに婦人科に相談してみることも大切です。

経済面、学校生活での生理への理解の温度差など、悩ましいことも多くありますが、一人でも多くの学生さんが前向きに生理期間を過ごせるような環境をめざしていきたいものです。

<奨学ナプキン2024奨学生応募要項>
[応募期間]2024年5月19日(日)23:59まで
[応募方法]特設サイト内「応募する」ボタンより必要事項を入力、応募アンケートに答えて応募
[応募資格]生理用ナプキンの入手に困っているすべての学生本人(小学校/中学校/高校/高専/専門学校/大学/その他)
[選考方法]応募受付終了後、厳正な選考を行い、本プロジェクトの奨学生2000名様を決定。選考結果は奨学生に決定した方にのみ、「エリス奨学ナプキン2024事務局」から応募時に入力いただいたメールアドレス宛にメールにて連絡
[提供商品]
A.「エリス 素肌のきもち」、「エリス 朝まで超安心」のセット
B.「エリス コンパクトガード」、「エリス 朝まで超安心」のセット
[提供商品発送]2024年6月下旬に1回目を発送、以降4ヶ月に1度(6、10、2月)発送予定
※詳細は奨学ナプキン2024特設サイトをご確認ください。 

(※1)2023年中間アンケート調査概要
2023年4月11日(火)~5月19日(金)実施、大王製紙「生理に関するアンケート」より 
対象者:「奨学ナプキン」に当選した奨学生
調査手法:アンケート調査
サンプル数:4931名

(※2)2023年最終アンケート調査概要
2023年12月1日(金)~12月14日(木)実施、大王製紙「生理に関するアンケート」より
対象者:2023年度の「奨学ナプキン」奨学生
調査手法:アンケート調査
サンプル数:1170名

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 真弓)

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