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元東京電力会長、勝俣恒久さん死去 84歳 原発事故処理で陣頭指揮

毎日新聞 / 2024年10月31日 11時28分

判決を前に東京地裁に入る東電の勝俣恒久元会長=東京都千代田区で2019年9月19日午前11時53分、宮間俊樹撮影

 2011年3月に起きた福島第1原発事故当時の東京電力(現東京電力ホールディングス)会長だった勝俣恒久(かつまた・つねひさ)さんが21日に亡くなった。84歳。葬儀は近親者で営んだ。東京電力ホールディングスが31日発表した。

 東京都出身。1963年に東京大経済学部を卒業して東京電力に入社。副社長だった02年、福島第1原発1号機などを巡るトラブル隠しで引責辞任した南直哉社長の後任に就任し、電力自由化が段階的に進む中、社内に競争意識を浸透させようと尽力。08年に会長に就いた。電気事業連合会会長や経団連副会長といった経済界の要職も歴任した。

 福島第1原発事故では東日本大震災の津波で施設が全電源を失い、原子炉を冷却する機能を喪失。1、3、4号機の建屋内で水素爆発が起き、放射性物質が大気中に飛散した。国内最悪の原発事故に直面し、経営トップとして賠償や政府との調整など事故処理の陣頭指揮を執った。経営再建に向けて政府の公的資金受け入れを決めた12年6月の株主総会で会長を辞任した。

 福島県の避難者らから12年に業務上過失致死傷容疑で告訴され、原発事故を巡り刑事責任も問われた。東京地検は不起訴としたが、検察審査会の起訴議決を経て16年に業務上過失致死傷罪で強制起訴。東京地裁は19年、津波による原発事故を予見することはできなかったとして無罪判決を言い渡した。控訴審でも東京高裁は1審を支持したことから、検察官役の指定弁護士側が上告し、最高裁で審理が続いている。

 東電の株主からも賠償を求める株主代表訴訟を起こされた。東京地裁は22年、事故には個人の過失があったとして勝俣氏ら元役員4人に対し、計13兆3210億円の支払いを命じた。他の元幹部らとともに判決を不服として控訴していた。東京高裁での控訴審は11月27日に結審予定で来年にも判決が出る見通しだ。被告が死亡した場合、相続人が訴訟を受け継ぐか放棄をするかを判断する。

 元丸紅社長の勝俣宣夫氏は実弟。

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