旧優生保護法訴訟「長かった」 最初に声上げた原告の和解成立 宮城
毎日新聞 / 2024年10月31日 18時56分
旧優生保護法(1948~96年)の下、16歳で不妊手術を強制されたとして、宮城県の飯塚淳子さん(70代、活動名)が国に損害賠償を求めた訴訟は31日、仙台高裁(倉沢守春裁判長)で和解が成立した。全国の被害者の中でも最も早期に声を上げた飯塚さん。手術から60年以上の月日が流れようやく迎えた一つの区切りだが、失った人生は戻らず、心の傷が癒えることはない。
旧法被害を巡る全国訴訟への先駆けとなった宮城の原告団。今回の和解で、原告7人全員の裁判が終結した。弁護団によると、国が慰謝料1500万円と弁護士費用150万円を支払う。また、飯塚さんが旧法改正後から国に被害を訴えてきたことを加味し遅延損害金も支払う。
この日の報告集会で飯塚さんは「いつまでも協議を続けるわけにはいかないので(和解案に)合意しました。本当に長かった」と語った。支援者からねぎらいの言葉を受けると、涙をにじませた。
飯塚さんは旧法改正後の1997年から救済を求める活動を行ってきたが、国は「当時は適法」と責任を認めなかった。長い法廷闘争の末、今年7月の最高裁判決で原告が全面勝訴。国は態度を一変させ謝罪したが、飯塚さんはすんなりと受け入れることはできなかった。「もっと早く国に被害を認めてほしかった。今も苦しいです」と複雑な胸の内を吐露した。
2018年5月の提訴から飯塚さんを支援してきた新里宏二弁護団長は「彼女の粘り強い訴えが社会を変えた」とたたえる一方、「失われた彼女の人生は戻らない」と悔やむ。「今後は自分の生活を取り戻しながら、悲劇を二度と繰り返さないための語り部となってほしい」と望んだ。【遠藤大志】
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