北九州中3殺傷 容疑者を週内にも鑑定留置へ 福岡地検小倉支部
毎日新聞 / 2025年1月14日 5時0分
北九州市小倉南区のファストフード店で中学3年の男女2人が殺傷された事件で、殺人容疑で再逮捕された無職の平原(ひらばる)政徳容疑者(43)について、福岡地検小倉支部が本格的な精神鑑定を実施する方針を固めたことが関係者への取材で判明した。地検支部は裁判所に鑑定留置を請求し、週内にも開始される見通し。
福岡県警は平原容疑者の刑事責任能力に問題はないとみているが、裁判員裁判が想定される公判では責任能力が争点になる可能性がある。地検支部は平原容疑者の当時の精神状態などを調べるため、起訴前に鑑定留置を裁判所に請求する必要があると判断した模様だ。
事件は2024年12月14日午後8時25分ごろ、小倉南区徳力(とくりき)1のマクドナルド店舗内で発生。塾帰りなどに同店に立ち寄った同級生の2人がレジの列に並んでいたところ、相次いで無言で刺された。先に男子生徒(15)が腰を刺されて1カ月の重傷を負い、直後に腹を刺された女子生徒(15)は失血により亡くなった。
県警は事件発生5日後の同19日、平原容疑者を男子生徒に対する殺人未遂容疑で逮捕。今月9日に女子生徒への殺人容疑で再逮捕した。殺人未遂容疑については刺した行為を認める一方、殺意は否定し、殺人容疑は「認めない」と全面的に否認しているという。県警は、平原容疑者は2人と面識はなかったものの、事件当日に何らかの身勝手な理由で2人に狙いを付けたとの見方を強めている。
一方、平原容疑者の逮捕前の行動には不可解な点も指摘されていた。県警などによると、現場から約1キロ離れた住宅で1人暮らしをしていた平原容疑者は事件前、窓から火を付けた爆竹を投げたり、拡声器を通して叫び声を上げたりしていたといい、24年5月と10月には周辺住民らから県警に苦情が寄せられていた。
また、福岡県弁護士会北九州部会によると、平原容疑者は逮捕後、弁護人が選任されない状況が続いていた。刑事訴訟法は、容疑者が精神上の障害やその他の事情で弁護人が必要か判断できない場合、裁判所が職権で選任できると規定。小倉簡裁は逮捕から5日後、この規定に基づいて弁護士2人を職権で選任した。
捜査関係者によると、平原容疑者は取り調べ中に声を荒らげることもあったという。【河慧琳、井土映美】
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