改造車脱輪事故 2被告、起訴内容認める 札幌地裁初公判
毎日新聞 / 2025年1月17日 15時38分
札幌市西区で走行中の軽乗用車からタイヤが外れ、直撃した女児(当時4歳)が重体となった事故の初公判が16日、札幌地裁(渡辺史朗裁判長)であった。道路運送車両法違反(不正改造)罪で起訴された所有者、同罪と自動車運転処罰法違反(過失傷害)罪で起訴された運転手の2被告は「間違いないです」といずれも起訴内容を認めた。【後藤佳怜】
運転していたのはアルバイト従業員の若本豊嗣被告(51)、所有者は会社員の田中正満被告(51)=いずれも札幌市西区。
起訴状によると、2人は2023年10月28日、共謀して田中被告所有の軽乗用車のタイヤを不正に改造。若本被告は同年11月14日、タイヤの緩みがないか点検する注意義務を怠って運転して女児にタイヤを衝突させ、回復見込みのない全身の完全まひを伴う頸髄(けいずい)損傷などのけがをさせたとしている。
検察側は「ナットの締め付けが不十分だったことがタイヤ脱落の原因」と指摘。若本被告は田中被告からタイヤの異常を伝えられており、事故当日は左前輪タイヤが傾いていたにもかかわらず、ナット部分を確認せずに運転して事故を起こしたとした。
被害女児の父 危険行為に憤り
初公判終了後、被害女児(当時4歳)の父親が初めて記者会見を開いた。「両被告に安全配慮の意識があったとは到底思えない」。タイヤの異常を感じながら、幼稚園や小学校が立ち並ぶ下り坂を走行した被告の危険な行為に憤りをあらわにした。
女児は幼稚園からの帰り道、父親と手をつないでいて事故に遭った。父親は安全のためにガードレールがある歩道を歩いていたが、タイヤはそのすき間を抜けて女児にぶつかった。「何が起きたか分からなかった。救命措置を受けても意識が戻らず、やっと重い事故だと分かった」と明かす。
女児は「おしゃべり好きな家族のムードメーカー」だったという。5歳になった今も意識が戻らず、入院したままだ。家族は女児が好きな絵本を読み聞かせたりDVDを差し入れたりして、見守り続けている。
事故を巡っては、軽乗用車の所有者の田中正満被告(51)が自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で逮捕されながらも不起訴になった。父親は「無責任な趣味で人生を奪って、違法改造の責任しか問われないのは間違いだ」と強調。検察審査会への申し立てを検討しており、賛同を求める署名を募り始めた。「この状況をほかの誰かが犠牲になるまで放ってはおけない。社会全体の問題として訴えたい」と力を込めた。【後藤佳怜】
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