ブルーインパルスT4機、全国初の屋外展示へ 埼玉の空自熊谷基地
毎日新聞 / 2025年2月5日 14時45分
あの名機が熊谷に舞い降りる――。航空自衛隊熊谷基地(埼玉県熊谷市拾六間)の北川英二司令兼第4術科学校長(56)=空将補=は毎日新聞のインタビューに応じ、華麗な曲技飛行で知られる飛行隊「ブルーインパルス」の実機を屋外展示する計画を明らかにした。現役機と同型の「T4」練習機で、屋外展示は全国初。3月末の一般披露に向け、設置工事が急ピッチで進められており「熊谷の新たな名物にしたい」と意気込みを語った。【隈元浩彦】
ブルーインパルスは1960(昭和35)年8月、「空中機動研究班」として発足。64年の東京オリンピックで大空に五輪マークを描き、一躍その名が知られるようになった。6機編隊が基本編成で、松島基地(宮城)の第4航空団第11飛行隊内に所属。万博、五輪といった国民的な行事で披露される美しく雄大にして精密な飛行は人気だ。また、被災地での激励フライトにも取り組んでおり、2024年の能登半島地震の被災地でも華麗な曲技飛行を繰り広げ、被災者らを励ました。
熊谷基地で展示されるのは、1996年に3代目ブルーインパルス機に就いた国産のT4機。現在も現役として使われている機種だ。急旋回などで激しいG(重力)がかかるため、通常機よりも機体寿命は短い。用途廃棄になる機体があるとの情報を聞きつけた熊谷基地が動いた。
北川司令は「どうしても欲しかった」と振り返る。「ブルーインパルスの4番機として使われた機体でした。うちの第4術科学校と同じ番号です。基地のシンボルにふさわしいと」。機体番号は「729」。米ネバダ州での初の海外遠征飛行(97年)、長野五輪開会式(98年)などにも参加した機体である。
航空自衛隊の基地だが、熊谷基地の主な役割は通信、気象の専門教育、新隊員の教育機関で、配置部隊は移動通信隊と警務隊。そのため滑走路はない。「隊員たちに空への親しみも持ってもらいたい」と北川司令は期待を寄せる。そして何よりも願っているのが「地元の人たちに、喜んでもらいたい」ということ。そのため設置場所は、基地正門近くの敷地内に決めた。柵越しに見学できる場所だ。機首は正門に向けられ、青と白にカラーリングされた機体がまさに飛び立つように見える位置関係になる。照明設備も設置され、夜間はライトアップされる。「地元に根ざす熊谷基地として新たな名所になってくれるとうれしい」
ブルーインパルスのT4機は、航空自衛隊浜松広報館(静岡)、あいち航空ミュージアム(愛知)にも提示されているが、いずれも屋内展示。屋外での展示は初となるT4のお披露目式は、基地一般開放日の「さくら祭」(3月29日)で行われる。
埼玉への愛着強く 北川司令「心強い基地に」
北川英二司令は2024年12月に着任したばかり。職種は「飛行」で、戦闘機F15の操縦桿(そうじゅうかん)も握った。日高市で中学まで過ごし、入間基地の航空祭で大空の夢を育んだという。それだけに埼玉への愛着もひとしおのようで「基地の大きな役割の一つは災害派遣。異常気象が常態化しており、スクランブル(緊急発進)と同様、24時間いつでも出動できる態勢を取っています。県民にとって心強い基地を目指したい」と意気込む。
熊谷基地は1935年に開設された熊谷陸軍飛行学校が源流で、今年は90年の節目。「そういうタイミングで着任したのは非常に光栄。併せて地域あっての基地です。地元に根ざした基地であるべく努めていきたい」と述べた。
現在の基地敷地内には、かつての帝国陸軍時代の施設として唯一、旧将校集会所の建物が残るが、北川司令は「老朽化のため取り壊すことが決まっている」ことも明らかにした。
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