1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

MBC賞・山川町漁業協同組合 海のゆりかご“アマモの再生”に尽力「海、地球を守りたい」

MBC南日本放送 / 2024年10月1日 19時51分

MBC

MBCでは毎年、地域の発展に貢献し今後の活躍が期待される人たちにMBC賞を贈っています。ニューズナウではシリーズで、ことしの受賞が決まった2つの団体と個人1人の活動を紹介します。1回目は、温暖化の影響などで消えつつあるアマモの再生に取り組む「山川町漁業協同組合」です。

かつお節が特産の指宿市山川地区。この港町でカツオやマグロなど、年間およそ4万トンを水揚げしている山川町漁業協同組合です。漁業とともに取り組んでいるのが、魚の住みかとなる「アマモ」の再生です。

(川畑友和さん)「漁師として、とりっぱなしではなくて、持続可能な水産業を次の世代に残していくためにも、藻場を増やすのが1番いいのではないか」

山川町漁協青年部の川畑友和さんです。定置網漁を行うかたわら海に潜り、青年部のメンバー7人でアマモの再生に取り組んでいます。

アマモは浅瀬に生息するイネ科の植物です。アマモが密集する「アマモ場」は、多くの魚介類が産卵し、生育場所となるため、「海のゆりかご」と呼ばれています。

また、二酸化炭素を取り込むため、温暖化対策に有効な「ブルーカーボン生態系」としても注目されています。ところが…。

(川畑友和さん)「6年位前まで単年生アマモが自生していたが、水温が上がるのに伴い、アマモ自体も完全に消失」

「アマモ場」の南限地として知られる山川地区では、近年、ウニが藻場を食い荒らす「磯焼け」が進行し、海藻だけでなくアマモも姿を消しつつあります。

『魚の住みかが消えれば将来的に獲れる量が減り、水産業の衰退につながってしまう…』 川畑さんはおよそ20年前に漁協青年部を立ち上げ、アマモの再生に力を入れてきました。

「磯焼け」の原因となるウニの生息場所を移したり、海藻やアマモを移植したりしましたが…

(川畑友和さん)「ウニも密度管理をして少なくなっているのに、藻場(アマモ場)がなくなってきた。なぜ?と思いカメラを入れたら、魚が食べていた。次にでてきた(問題は)魚」

草を食べる魚は水温が下がると食べなくなりますが、温暖化により年中アマモを食べていたのです。

そこで川畑さんらは去年、新たな取り組みとして、浅瀬を仕切り網で囲い、魚の食害を受けないようにしたうえで、アマモの種を取り付けたマットを設置しました。

その結果、アマモは順調に生育。8か月で、長さはおよそ2メートルに達し、100平方メートルほどのアマモ場が復活したのです。

自生していたころのような規模に復活させるのはまだ時間がかかりそうですが、全国的にも「アマモの再生は難しい」といわれるなか、仕切り網とアマモのマットを組み合わせた新しい再生方法は、画期的な取り組みとして高く評価されています。

(川畑友和さん)「アマモ自体の持っているポテンシャルで頑張ってもらう部分にもっていくのが最終的な目標」

川畑さんたちは、子どもにも海の状況を知ってもらおうと環境教育も続けています。子どもたちは、アマモの種をマットに取り付け、アマモの再生を手伝いました。

(参加した小学3年生)「(アマモは)環境にいい、魚にもいい、すごい草だった」

(参加した小学5年生)「海が好きでアマモにも興味があった。海を守る活動をしていきたい」

青年部の取り組みに、漁協組合長も太鼓判を押します。

(山川町漁業協同組合 鮫島祐藏組合長)「尊敬でしかない、今後も続けてほしい。(青年部が)40歳を超えてきたので、次の代も組合員が減少するなかで若い人が入って引き継いでいけるように」

(川畑友和さん)「沿岸域の保全・藻場再生には体力・時間・お金もかかる。漁師だけでやるのは難しくなっている。社会の流れとしてSDGs目標14「豊かな海を」目指したいが、実現する場所・きっかけがない」

そこで、去年「山川地区ブルーカーボンプロジェクト協議会」を設立。県や企業など、官民が一体となったアマモの再生が始まり、生物多様性の保全活動に対する「自然共生サイト」に今年3月、全国の漁協では初めて環境省から認定されました。

(川畑友和さん)「鹿児島の海を鹿児島の企業でよくしていこうと。海だけでなくて地球、人類を守る、そういった部分も視野に入れながら、生意気だが活動していけたらと思う」

川畑さんたち山川町漁協の海、そして地球を守る活動は続きます。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください