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町工場から万博へ...職人集団が挑む『空飛ぶトラック』が被災地を救う未来 そして1970年万博で脚光を浴びた『あの技術』のその後と今は? 2025年大阪・関西万博まで1年

MBSニュース / 2024年4月11日 13時23分

 大阪・関西万博開幕まであと1年。どのような“最新テクノロジー”が見られるのでしょうか。1970年の大阪万博で話題となった「人間洗濯機」の今は?また、国や大企業だけではなく、町工場から万博へ『空飛ぶトラック』職人集団にも取材しました。

1970年の大阪万博で“最新”とされた技術が現在は当たり前に

 高度経済成長期の日本を象徴する一大イベント「大阪万博」。「人類の進歩と調和」をテーマに77カ国が参加した万博は、海外の国々やそこで暮らす人々がまだ縁遠い時代の日本にとって、見るもの聞くものすべてが新しい刺激的なものでした。

 現在では当たり前となった電気自動車や動く歩道も当時は最新とされた技術。遠い宇宙の世界もいまや手に届くものとなっています。

 スマートフォンの元祖ともいえるのが『ワイヤレステレホン』。電気通信館で、NTT(当時・日本電信電話公社)が未来の電話機としてお披露目。固定電話が主流だった時代に、ワイヤレステレホンは来場者たちの心を掴みました。

『ワイヤレステレホン』は展示が製品開発の大きなヒントに

 あれから半世紀…。

 (記者リポート)「1970年の大阪万博で展示されたワイヤレス電話、これをきっかけにショルダーフォン、そして携帯電話、スマートフォンへと電話端末は進化していきました」

 時代と共に電話機は進化を遂げていきましたが、万博でワイヤレステレホンを展示したことが、その後の製品開発の大きなヒントになったといいます。

 (NTT情報ネットワーク総合研究所 辻ゆかり所長)「両手で操作することを想定していたんですね。ですけれども実際にお客さまにご利用いただきましたら、親指で番号を押して電話するっていう方が多かったなっていうのが発見できたことの一つです」

 万博を機に軽量化・小型化・省電力化が進み、携帯電話は誰もが利用するようになりました。

新技術『IOWN』でその場にいるような感覚

 来年の万博ではどんな未来の技術が見られるのでしょうか?

 (辻ゆかり所長)「『IOWN』という将来ネットワークを今度の万博で出させていただきます。ワイヤレステレホンからスマートフォンにこんな形で発展したように、社会情報インフラになることを願っているところです」

 IOWNはこれまでにない超高速大容量の通信が可能になるシステムです。

 この技術を使い、万博では遠く離れた場所でのパフォーマンスを、パビリオン内に3次元映像で映し出すことで、あたかもその場所にいるような感覚になるというのです。

 (NTT大阪・関西万博担当 飯村栄彦さん)「3D空間そのものがやってくるので、まるで横に一緒にいるかのような感覚っていうのが生まれる。一緒に座ってると、(机を)どんどんとすると(振動を)感じますよね?離れていても匂いですとか雰囲気を感じる。そんな五感すらも届けるような世界をパビリオンでお届けできたらなと」

 さらに、AI(人工知能)の技術で、趣味や性格などの情報をアバター(分身)に学習させることで、もう一人の自分を作り上げていきます。

 将来的には、もう一人の自分が意思を持ち、独自のコミュニケーションを始めていくことを想定しています。

 (飯村栄彦さん)「バーチャルの空間の中で、誰がそこで生活をして行動するのかというと、私の代わりのアナザーミー。生活空間の広がりみたいなものがうまれるんじゃないかなと」

話題となった『人間洗濯機』の今

 前の万博ではこちらも話題となりました。三洋電機が出展した『人間洗濯機』です。こちらは半世紀がたっても見かけることはありませんが…

 (サイエンス 青山恭明会長)「こちらがミライ人間洗濯機です」

 開発しているのはミラブルシャワーで知られる大阪の企業「サイエンス」。来年の万博に最新の人間洗濯機の出展を予定しています。

 (記者リポート)「私は身長が155cmほどなのですが、このようにすっぽりと体が収まります」

 全身を洗い乾燥までで15分。利用者の年齢をAIが推定して、肌の状態にあわせて水流を調整する機能も搭載しました。

 (青山恭明会長)「20歳ぐらいの人の悩みは油分が多いからニキビとか吹き出物。我々くらいの世代になってきたら、たるみですね。(年代ごとに)フィットする水流を全部分けているんです」

 さらに万博での実現を目指して大阪大学と共同で取り組んでいるのが、お湯につかっている間に心拍数や自律神経の状態などを計測するシステムです。

 (大阪大学産業科学研究所 神吉輝夫准教授)「データを日々蓄積していけば、どういった潜在的な病気が含まれているとか、健康状態がどんどんとわかってくる」

 来年の万博では、前回「サンヨー館」のコンパニオンだった人たちが、新しい人間洗濯機をPRするイベントも計画されています。当時のコンパニオンで現在76歳の瀧川京子さんは次のように話します。

 (瀧川京子さん)「もうね、胸が熱くなってね。あれがこんなに進化するんだと。当時のメンバーが『なまはげ会』っていうんですけれど、絶対みんなで行こうねと」
 (青山恭明会長)「これ、やってもらわないとあきませんから」
 (瀧川京子さん)「足腰鍛えて手も鍛えて笑」

大阪の町工場も万博に出展へ

 夢の技術が目白押しの万博に、大阪の町工場も出展します。大阪市港区の「ガレージミナト」は、周辺の町工場が集まって共同研究を行う拠点で、これまで様々な製品を生み出してきました。

 (ガレージミナトを運営する成光精密 高満洋徳社長)「これはSAKUGOEっていう商品なんですけど」

 野球の打撃練習に使う「SAKUGOE」という器具。野球関係者からの相談で開発したところ、地元の少年野球チームや強豪校が次々と導入して、大ヒットとなりました。

 (高満洋徳社長)「今までの製品は、ボールをこの器具に置いて打つんですけれど、例えばボールの下を打つと器具が倒れちゃうので生産性が悪い。練習で一回一回戻さないとだめ。でもこれはボールを打ったら戻るので練習が続けられる。板金屋さんが土台を作りました。鎖とか溶接部分は溶接が得意な会社。ゴム加工するところはゴム加工屋さんにお願いして。連携によって価値を高めていく」

職人集団が取り組む『空飛ぶトラック』

 そんな職人集団が来年の万博で取り組むのが、今までにない『飛行船』です。ヘリコプターなどに代わる未来の輸送手段として有効だと考えたのです。

 従来の飛行船は、下降する際にプロペラなどを使う必要があり、垂直に降りることができません。しかし、この飛行船は、内部のヘリウムガスを圧縮することで浮力を調整して、上下することができます。実現すれば道がない場所でも一度に大量のものを運ぶことが可能で、木材や被災地への支援物資の運搬などが想定されています。

 (高満洋徳社長)「長時間滞空できて、なおかつ物が運べる、『空飛ぶトラック』。世界中の課題を理解した上で、僕たちが知恵を出していくっていう、そういうことをやりたい」

 まずは簡単な模型を使って飛行に最適な仕組みを探ります。

 (高満洋徳社長)「プロペラだけ回してみようか」

 航空関係の専門家もチームに加わり、万博では飛行船の根幹となる可変浮力装置などを展示する予定で、将来的な大型機の製造につなげたいと考えています。参加する町工場は12社、金属加工などそれぞれの専門分野でプロジェクトに携わります。

 メンバーの一人で溶接職人である柊谷熔接所の柊谷篤司代表は、町工場の後継者不足が課題となる中、万博は「ものづくりの魅力」を広く知ってもらうきっかけになると期待を寄せます。

 (柊谷篤司代表)「町工場の小さいところが万博に出て、問題を解決できるところまで持っていけるんだよ、と知ってもらうことでたくさんの職人がそろえば、技術も上がるし賃金も上がる。付加価値も上がってくると思う」
 (高満洋徳社長)「万博を通して『大阪の町工場に全部相談来い』『おれらが全部解決する』と、そういったところを打ち出せたら、ビジネスにもどんどんつながっていくと思っているので」

 それぞれの未来への思いが集結する万博まで、あと1年です。

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