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「子どもが性器を触っている」「人前で下ネタ連呼」悩む保護者...子どもの言動にどう対応すればいい? 専門家「拒否反応を示したり強い言葉で注意するのはNG」

MBSニュース / 2024年8月21日 12時0分

 家庭での性教育、何をどこまで伝えたらいいのか?そもそもどう切り出すかが難しいですが、そうした中、きっかけ作りに役立つ新たなグッズが登場しています。カードを監修した産婦人科医の宋美玄さんに、家庭での性教育のポイントについて聞きました。◎産婦人科医・宋美玄(そん・みひょん):丸の内の森レディースクリニック院長。1男1女の母。健康や性などについて医学的に正しい知識を積極的発信。

性についてどう伝えればいい?悩みを抱える親たち

 兵庫県明石市で行われた乳幼児の保護者向けの性教育セミナー。性について子どもにどう伝えていくか、悩みを抱える親たちが集まります。

 (NPO法人HIKIDASHI 大石真那さん)「肌にたくさん心地のよいスキンシップを記憶させてあげてください。プライベートゾーン、自分だけの大切な場所なので、むやみに見せたり触らせたりしない。家族であったとしても、お風呂あがりはすぐに下着をつけるとか、服を着るとかしてもらうといいんじゃないかなと」

 セミナーでは子どもが幼いうちから性について伝えるべきことや伝える方法を親たちが学びます。

 (2児の母)「もうすぐ5歳になる息子がいるんですけど、ハグとか大好きで、幼稚園の友達も男女関係なくハグしているんですよ。私が気になってきて」
 (1児の父)「娘なので、女の子のことについてどう伝えるか、難しさがあるなと思ったので。子どもも絵本なら食いつきながら、イラストも使ってわかりやすく教えられるかなと」

 いま、家庭でも性について教えたいという保護者が増えています。

「おうち性教育」のグッズ 考案者は小学生の子を育てる親

 そんな「おうち性教育」をこれから始める人向けのグッズが登場しています。通信販売大手「フェリシモ」が開発した「性とからだとこころを知るカード」。カードは15枚あり、「赤ちゃんはどうやってできるの?」と書かれたカードを開いてみると、妊娠についての科学的な知識がイラストを交えて分かりやすくまとめられています。ほかにも男女の体の違いや性感染症など、各年代ごとに知っておきたいテーマが用意されています。考案したのは小学生の子どもを育てる赤松麻衣さん。子どもが正しい知識を学び身を守れるようになってほしいと開発しました。

 (フェリシモ 赤松麻衣さん)「家庭内で(性についての)話をしていいという環境を作ることが大事なので、そのきっかけ作りのカードです」

カードを使うときの“大事なポイント”は?

 実際に、このカードをどうやって家庭で使うのか、赤松さんの自宅で見せてもらいました。

 (8歳の娘に話す赤松さん)「どれ見たい?どれならよくわかる?」

 まずは子どもが興味を持ったカードを選ぶこと。関心を示さないカードを無理に読む必要はありません。そして、カードを選んだら親が声に出して読んでみます。

 (赤松さん)「赤ちゃんができるには女の人の体の中にある卵子と男の人の体から出る精子の中からそれぞれ1つずつが出会わなければなりません」

 この時、「卵子」や「精子」などドキッとするようなワードが出てきても、親がとまどったり恥ずかしがったりせずに読むことが大事です。

 (赤松さん)「事実を事実のままに伝えたら、割としっくり子どもの中には入ってくる」
 (娘)「(Qどうしたら親は恥ずかしがらずに読める?)ママが最初に読んだりしたからとか?」
 (赤松さん)「先にひとりで読んでるから恥ずかしくないのかな」

 そして一番大切なのが親子で会話すること。

 (赤松さん)「赤ちゃんはどこから来るの?って思ったことある?」
 (娘)「ある!」
 (赤松さん)「どこから来ると思ってた?」
 (娘)「そら!」

 カードをきっかけに親子で楽しく会話することで、性について相談がしやすい家庭になるといいます。

 (娘)「(Qお母さんとこういう話できるのはどう?)たのしい!なんだろう、なんか知れてうれしい」

 カードを監修したのは性教育について積極的に発信を行う産婦人科医の宋美玄さん。学校だけでなく家庭でも性について教えるべきだといいます。

 (産婦人科医 宋美玄さん)「自宅で性教育的なことをするにあたって最大の強みは、普段からお子さんと接している方が、そのタイミングや内容を自分たちで調節しながら知識を与えていける」

性や生殖に関する話題を『タブー視』しないことが大切

 では、おうちでの性教育、どう始めたらいいのでしょうか?宋さんに聞きました。

―――まず、家庭での性教育にハードルを感じる保護者は多いと思うのですが?
 (宋美玄さん)「日本では学校での性教育が不十分。親世代も自分たちが教えるほどの知識がないという方も多いと思いますが、一番良いのはお子さんが『赤ちゃんってどこから来るの?』とか素朴な質問をしてきたタイミングで、ツールなどを用いて性教育を行うのがいいかなと思います。大事なのは家庭で性や生殖に関する話題について『うちの家はタブーじゃない』『将来困ったことや重大なことが起こったら家庭で話していいんだよ』っていうメッセージも送ることができます」

保護者の悩み① 子どもが人前でも下ネタを連呼して困る

―――実際に性に関してどう伝えたらいいのか迷っている保護者の悩みです。「子どもが人前でも『うんち』『おしっこ』『おちんちん』など下ネタを連呼して困っています」これについて宋先生によりますと、幼児期のおしっこやうんちを出す体験は、気持ちいい感覚・うまくできたと褒められた経験・大人の反応が面白いなどで、言葉にするのも大好きになるということです。子どもへの対応としては拒否反応や強い口調で注意するのではなく、優しく説明することが必要だということですね?
 (宋美玄さん)「そうですね。3~4歳はいいけど小学生なら…など、年齢やお子さんに応じて伝えるメッセージも多少変える必要はあると思います」

保護者の悩み② 子どもが性器を触る行為をどう注意したらいいか

―――保護者の悩みにはこういったものもありました。「子どもが服の上からおちんちんを触っているのをよく目撃します。どのように注意してやめさせたらいいでしょうか?」これについてはどうでしょうか?
 (宋美玄さん)「まず大切なのは、自分の体を自分で触っているだけなので自由なんです。ただ、人前や公共の場ではやめた方がいいと年齢ごとに教える必要はあります。『マスターベーションしている、恥ずかしい、やめなさい』というような反応はやめて、自分の体なのでどこを触ってもOKだけど、プライベートゾーンだし『今ここでやるべきことなんかな』と。子どもでもマスターベーションをする子はいますので、自分のプライバシーが保たれた場所でやってねと伝えていくのがいいと思います」

―――プライベートゾーンがあることについては、子どもに早い時期に伝えた方がいいのでしょうか?
 (宋美玄さん)「そうですね。3歳ぐらいから『人に触らせない』『人のものも触らない』『見せない』、非常にプライバシーがある部分だよっていうのは繰り返し伝える必要があります。その中で自分の体っていうのは自分で決めていいんだよ、もちろん触るのはOKと。その両方を教えていく必要がありますね」

―――最後に、宋さんが自宅で実践していることはありますか?
 (宋美玄さん)「うちの家庭では私から子どもに直接伝えることもありますが、子どもが興味を持った段階で誰からも隠れて知識を得られるよう『トイレ文庫』というのを作っています。お金のことや社会問題も含めて学べる本を置いているんですけど、大事なことは何かの興味を持った段階でトイレで学べるようにしています」

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