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【立憲代表選】締め切り30分前の攻防ドキュメント 4人目は江田氏か吉田氏か...告示日ギリギリですべり込み 候補者「1本化」の瞬間

MBSニュース / 2024年9月7日 20時57分

まさにギリギリの決着だった。9月23日に投開票される立憲民主党の代表選挙。その構図が決まる瞬間に立ち会った。告示日当日の9月7日、時刻は午前10時半すぎ。立候補者受付が終了する午前11時まであとわずかというタイミングだった。

議員会館の廊下に漂った“独特な空気”

土曜朝の永田町。国会も開会されておらず、外は人の姿もまばらで穏やかな休日の朝を迎えていた。しかし、そんな中、衆議院第二議員会館の6階は違った。

MBS東京報道部ポッドキャスト『ナニワ記者永田町に猫パンチ!』では、記者たちが本記事の内容をさらに詳しく深掘り!

このフロアには出馬を目指す吉田晴美議員と江田憲司議員双方の事務所がある。それぞれの事務所の距離は別の議員の2つの事務所をはさんで40mほどしか離れていない。

部屋の前の廊下には番記者ら約20人に、各局のカメラマンがスタンバイし、2人の出馬の可否が出るのを待ち受けている。会館内は土曜日ということもあって廊下の照明は消されていて薄暗く、空調も効いておらず、とにかく蒸し暑い。そこに昨晩から続く取材による記者たちの疲労感と両陣営の焦燥感がない混ぜとなった独特の空気が漂っている。

分刻みの攻防と水面下の交渉

【午前9時】
陣営や選対の関係者がトイレへ行くために部屋を出入りするたびに記者が後を追う。みな一様に表情は固い。

吉田晴美議員もトイレへ。緊張した面持ちで頭を下げるだけで、また自室へと入る。

【午前9時45分】
江田憲司議員が別の議員の部屋へ。表情は険しい。また足早に戻っていく。

どちらが出馬にいたるのか、それともどちらも出馬できないのか?部屋の中では推薦人集めと、両者の一本化に向けた水面下の交渉が大詰めを迎えているようだ。

【午前10時6分】
江田氏が部屋から出てきた。「だいぶ見えてきた」と口にする。続いて江田陣営の議員も「どっちかが出るところに一歩、半歩近づいた感じですね」と話す。

決着の時が近づいてきた。各陣営、関係者の部屋の出入りが激しくなる。さすがに立候補受付の締め切りが近づいてきたため、記者に交じって立憲民主党の職員も廊下にスタンバイし、心配そうに様子をうかがっている。

立憲民主党職員から「あと1人来た時にどうするか、書類のチェックや用意もあるし」と本音が漏れる。

【午前10時20分】
江田議員の部屋から5、6人の議員がぞろそろと出てきた。「はー」と大きなため息を吐く議員もいる。そして、いまから江田、吉田陣営両方がそろってぶら下がり取材を受けるという。

江田氏が取材を受けるという場所となった議員の部屋へと入った。表情は明るくはない。時刻はすでに午前10時半を回っていた。

立候補締め切り30分前を切ってようやく一本化で決着

【午前10時33分】
報道陣に合意文書が撒かれた。立憲民主党代表選立候補にあたっての合意事項というタイトルだ。

中身は物価高に苦しむ国民生活を守るため消費税の時限的な5%減税、特に食料品の消費税非課税と、富裕層に応分の税負担を求め、中間層や低所得層に再分配するという大きく2点が書かれている。江田氏、吉田氏の2人のサインも入っている。

【午前10時35分】
吉田氏、江田氏双方のぶら下がりが始まった。

(江田憲司議員)
「このジェンダー平等を訴える立憲民主党代表選に女性候補が1人もいないという選択肢はあり得ないという強い思いからですね、昨夜来、吉田晴美さんへの一本化に向けてですね、努力を重ねて参りました」
「今回、吉田晴美さんとは、消費税の時限的な5%減税、特に食料品の非課税、さらにはこうした分配なくして成長なし、こういった点についてですね、合意をされましたので、私も喜んで吉田晴美さんに交渉を一本化して、これからはですね、吉田晴美さんが代表選に勝ち抜くためにですね、私と私の陣営にいたきょう並んでおられる議員の皆さんと力を合わせてですね、当選に向けて頑張ってまいりたいと思います」

吉田晴美議員に一本化が決まったことが発表された。吉田議員は…

(吉田晴美議員)
「この間、正直もう駄目なんじゃないかと思う瞬間もありました。それでも、今回この一本化で立憲民主党が自由闊達で、そして多様性に満ちた意見を尊重し、そして、自民党ではきっとありえないと思うのですが、一期生がこの代表選のステージに立たせていただく、言行一致で立憲民主党はまとまっていく、その本当に私は希望をいただいたと思います。江田憲司議員はじめ陣営の皆様、本当にありがとうございました」

吉田議員の目にはうっすら涙が浮かんでいた。

「最後までやり切ろうという意見もあったが…」

ぶら下がり取材終了後、江田陣営の議員に話を聞いた。

「朝からなんとか一本化できるならばという動きがさらに加速した」
「江田さんがみんなの意見を聞いてから決めたいというので、午前8時くらいかな、みんな意見を言い合った」
「最後までやり切ろうという意見もあったが、政策で最低限一致できるところとして江田さんが提示する形で引き取った。一本化って簡単なものではないですよ、だってベタ折れですから降りる方は」

と悔しさをにじませた。

現代表の泉健太議員でさえ推薦人集めに苦労した立憲民主党の代表選。女性候補を含む4人で争われることになった。さまざまな党内力学の中で時間ぎりぎりでようやく選挙戦の構図が固まった。

出馬をめぐる攻防だけでなく自民党総裁選に負けない激しい論戦を期待したい。


(MBS東京報道部長兼解説委員 大八木友之)

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