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「閉店」相次ぐ百貨店 生き残るカギは『脱百貨店』か...館内に図書館や水族館が!?新しいカタチが続々登場

MBSニュース / 2024年12月6日 12時26分

 かつては「小売りの王様」とも言われた百貨店。しかし今、ネット通販の広がりやコロナ禍などの影響によって全国で閉店が相次いでいます。そうした中、生き残りをかけて「変貌」を遂げる店舗も。百貨店の厳しい現状と新たな動きについて、百貨店の歴史に詳しい中部大学・末田智樹教授への取材などをもとにまとめました。

地方の百貨店が『急減』しているワケ

 2026年1月7日に閉店することが決まった高島屋堺店。1964年10月に南海堺東駅直結のビルで開業しました。しかし2020年度から4年連続で赤字が続き、黒字化のめどが立たなくなりました。

 跡地には新たな商業施設「HiViE(ヒビエ)堺東」が誕生する予定(時期未定)です。

 全国の百貨店数は、減少傾向にあります。日本百貨店協会の調べによりますと、2008年には280ありましたが、2024年には178にまで減っています。東京・大阪・神戸・名古屋など大都市圏は緩やかな減り方ですが、地方の百貨店では一気に減っているのが現状です。島根・山形・徳島・岐阜の4県は、県内に百貨店がない「百貨店空白県」となっています。

 こうした現状について、中部大学の末田智樹教授は、2010年代から百貨店は厳しい状況に置かれているといいます。その背景には郊外型の大規模ショッピングセンターの増加やインターネットショッピングの台頭があるということです。

 また、減り方に関して都市部と地方の差が大きい理由については、インバウンド客の獲得が関わっていると指摘します。都市部には多くのインバウンド客が訪れますが、地方にはあまり訪れません。実際に高島屋堺店も、閉店の理由として「インバウンドの恩恵が無かった」ことを挙げています。

 ほかにはコロナ禍による苦境もありました。さらに、百貨店は高度経済成長期に建てられた店舗(建物)が多いため老朽化していて、建て替えなどのコストがかかることも閉店が相次ぐ理由の一つだということです。

図書館、水族館、ホテル…生き残るには“脱百貨店”!?

 末田教授は「これからは百貨店変貌の時代」とした上で、そのカギは従来の百貨店の常識を破る「脱百貨店」だといいます。

 例えば、神戸市にある大丸須磨店では、4階に市立図書館を誘致しました。本が充実しているのはもちろん、若者向けの雑誌や新聞もそろっています。大丸須磨店の担当者によりますと、これまで百貨店に来なかった高校生や大学生が4階の図書館に訪れ、その帰りに店舗に立ち寄ることが期待できるということです。

 また、松坂屋静岡店では2022年、なんと7階をすべて水族館としてリニューアルしました。約150種の海の生き物が展示され、若いファミリー層に人気だということで、活気ある百貨店に変わりつつあります。

 愛媛県にある松山三越では、2021年に7階・8階を高級ホテルにしました。2フロアで11部屋あり、全部屋にフィンランド式サウナがあります。末田教授によりますと、松山三越と同じエリアには若者をターゲットにした高島屋(東急ハンズなどが出店)があるため、中高年の富裕層を狙ってすみわけを図っているということです。

 近鉄百貨店では、全11店舗にスーパー成城石井を入れました。「テナント」ではなく近鉄自らが営業しています。百貨店を“手土産を買う”など特別な日だけ利用してもらうのではなく、日々の買い物で訪れてもらえるよう客層を広げる狙いがあるということで、利益率は大きく上がっているようです。

 また、末田教授によりますと、若年層を狙って館内に充電スポットを設置する百貨店があるほか、空白県狙いとしてバスで移動販売を行っている百貨店もあるということです。

アプリ版「友の会」とは?若年層の割合がUP

 百貨店の「友の会」が再び脚光を浴びています。友の会とは、例えば毎月1万円を積み立てると1年後にはボーナスとして13万円分のお買い物券が得られるといったもので、各社が実施しています。

 高島屋では、入会などの手続きは店舗内にある「友の会サロン」で行い、入会すると「ローズサークル」というグループのメンバーになり、「会員証・お買い物カード」が発行されます。

 そんな友の会が今、進化していて、高島屋では2022年、ネット銀行と提携しオンラインで友の会に入れるアプリ「スゴ積み」を始めました。「ローズサークル」も「スゴ積み」も両方、友の会の会員です。

 それぞれの会員の平均年齢は、ローズサークルが64歳なのに対して、スゴ積みは48歳。アプリの登場によって若い会員が増えたことがわかります。男女比にも変化がありました。ローズサークルは男性1:女性9ですが、スゴ積みは男性4:女性6で男性の割合が高まっています。

 主な使い道は、ローズサークルでは食料品や化粧品など普段使いする人が多い傾向。それに対してスゴ積みでは高級ブランドや宝飾品など、目的意識を持った利用が多いようです。

 従来の魅力もキープしつつ、新たな展開もしている百貨店。今後の進化に注目です。

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