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【日向灘で地震】去年8月は『巨大地震注意』発表...今回と何が違う?南海トラフ地震評価検討会の委員が解説「いつ起きても困らない対策を」【専門家解説】

MBSニュース / 2025年1月14日 21時29分

 1月13日夜、宮崎県の日向灘で発生した最大震度5弱の地震。昨夏に続き2度目となる南海トラフ地震臨時情報が発表されました。 去年8月、南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」が発表された日向灘の地震(最大震度6弱)とは何が違ったのか?そして、地震評価検討会の会議では一体どんなことが話し合われたのか?検討会の委員でもある京都大学防災研究所・西村卓也教授に聞きました。◎西村卓也:京都大学防災研究所・教授 地震発生のメカニズムや予知について研究 去年9月「南海トラフ地震評価検討会」の委員に就任

▼「南海トラフ地震臨時情報」が発表されるまでの流れ

 駿河湾から日向灘にかけてのプレート境界を震源域として発生してきた大規模な地震、南海トラフ地震。マグニチュード8~9クラスの地震が今後30年以内に発生する確率は70~80%とされています。最大震度は7、津波の予想される高さは最大30m超で、想定被害は30都府県で死者32万人以上です。

 13日に宮崎県で震度5弱を観測した地震は、震源の日向灘が南海トラフ地震の想定震源域内ということで、関連を調べる臨時情報が出されました。南海トラフ地震臨時情報が発表される流れは以下のとおりです。

 【1】南海トラフの想定震源域やその周辺でマグニチュード6.8以上の地震が発生した場合(※13日の地震はマグニチュードの速報値が6.9)、または「ゆっくりすべり」の異常が発生した場合など
 【2】南海トラフ地震臨時情報(調査中)を発表
 【3】地震評価検討会が調査

 検討会の調査を経て、「巨大地震警戒」か「巨大地震注意」、どちらにも該当しなければ「調査終了」が発表されます。13日の地震は、「巨大地震が起きる可能性が平常時より高まっていると考えられる現象ではない」として、約2時間後に「調査終了」が発表されました。

▼検討会ではどんなことが話し合われる?

―――西村教授は地震評価検討会の委員を務めていますが、会議では何を基準に判断が下されるのでしょうか?

(西村卓也教授)「13日は、地震の震源の位置と規模を示すマグニチュードを正確に判定して、それが基準を満たすかどうかということの議論がありました。マグニチュードは速報値が6.9だったのですが、マグニチュードは実は何種類かあり、『モーメントマグニチュード』という別の種類のマグニチュードが7.0以上で巨大地震注意、8.0以上で巨大地震警戒となります。13日の場合は、精査した結果、モーメントマグニチュードが6.7と判明したので、調査終了になりました」

―――モーメントマグニチュードの数値が大きいほど、南海トラフ地震につながりやすいと考えてよいのでしょうか?

「そうですね。地震の規模が大きくなればなるほどその周辺に対する影響力も大きいと考えられていますので、南海トラフ地震に対しても、より発生可能性が高まるということになります」

―――13日は臨時情報(調査中)の発表から約2時間で調査終了が発表されました。

「13日は午後10時半から検討会が開催されました。モーメントマグニチュードを計算するには地震後1時間~1時間半くらいの時間がかかります(※13日の地震は午後9時19分ごろ発生)。ですから検討会が始まった段階ではまだ精査中で、気象庁や地震に関係する機関などで解析しているわけです。その解析が終わったら検討会の中に持ち寄ります。観測の機関や観測点によってもマグニチュードが0.1程度変わることがありますが、13日に出てきた結果では、どの機関が決めても7を上回ることはないという結果になったので、最終的に調査終了となりました」

▼去年8月の日向灘の地震とは「規模が違う」

―――去年8月にも日向灘を震源とする地震があり、その時は南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」が発表されました。今回とは何が違ったのでしょうか?

「マグニチュードが違いました。精査した結果出てくるモーメントマグニチュードが、今回は6.7でしたが、去年8月の地震の時は7.0でしたので、巨大地震注意が出されました」

―――去年8月の地震のモーメントマグニチュードが7.0で、13日の地震は6.7。この差をどう捉えたらよいのでしょうか?

「実は、マグニチュードが1違うと地震のエネルギーは約30倍違うと言われています。0.2違うとエネルギーが約2倍違うことになります。数字としてはわずかな差であっても、エネルギー的には規模が違う地震と言えると思います」

―――日向灘では、過去にもマグニチュード7クラスの地震が繰り返し発生していて、人が揺れを感じない地震を含めて頻発しています。また、南海トラフと同じく、プレート同士が押し合い片方がずれ上がる「逆断層」の構造です。こうした日向灘での地震について、南海トラフへの影響はどう見ていますか?

「陸のプレートと海のプレートが押し合って陸側のプレートがのし上がるという、南海トラフと全く同じタイプの地震です。ただ、南海トラフと日向灘は、普段起こっている地震の大きさ・数がかなり違っていまして、日向灘は比較的小さい地震も含めて普段から地震が起こるところですが、南海トラフは、和歌山県や高知県の沖合のようなところでは逆に非常に大きい地震だけが起こるところです」

▼「地震がいつ起きても困らない対策を」

―――『30年以内の発生確率が70~80%』と言われていますが、精度が上がることは今後考えられますか?

「研究は日々進歩しているんですけれども、みなさんが期待するように『あす起こる』とか『1週間以内に起こる』というレベルまで発展するのは、まだ当分難しいと考えられています。『70~80%』というのが、もう少し幅が狭くなることは今後あるかもしれませんが、まだ予知・予測は難しいのが現状です」

―――では、改めて私たちは今、何を一番意識すべきでしょうか?

「確実に南海トラフ地震はいつかは来ますので、それに向けて地震がいつ起きても困らない対策を。住宅の耐震化、家具の固定、非常用の持ち出し袋の用意、避難経路の確認ですね。そうして防災意識を高めることが、我々にできることだと思っております」

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