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【全国高校ラグビー】「盛岡工」対「飯田」は大熱戦!壮絶な攻防の末に"劇的な幕切れ" 「近大和歌山」はうれしい花園初勝利

MBSニュース / 2024年12月29日 16時41分

 全国高校ラグビー大会2日目。12月28日は1回戦の残り10試合が行われました。

<近大和歌山vs坂出第一>花園初勝利を目指す高校同士の対決

 第2グラウンドの第1試合では、6回目の出場で花園初勝利を目指す近大和歌山(和歌山)が、こちらも5回目の出場で全国大会での初の1勝を狙う坂出第一(香川)と対戦しました。

 勝てば、どちらのチームにとっても記念すべき花園での初めての勝ち星になる注目の対決。前半は近大和歌山がペースを握ります。前半9分、スクラムからの素早い展開で1年生のWTB伊藤吏雄選手が左隅に飛び込むと、17分にもBK陣の巧みなパスワークから伊藤選手が狭いサイドを走り切ってトライ。SO森悠真選手が、ともに難しい角度のゴールを決めて14対0とリードを奪います。父の真一さんがこの花園ラグビー場を本拠地とする近鉄(現・花園近鉄ライナーズ)で活躍していたという伊藤選手。初勝利を目指すチームに勢いをもたらしました。

 BK陣の活躍で主導権を手にした近大和歌山。20分すぎからはFW陣が奮起します。21分に敵陣ゴール前5mのラインアウトからモールを一気に押し込んで追加点となるトライを奪うと、24分には鮮やかなサインプレーからNO8高尾瑛光選手が縦への力強い突破をみせてトライ。24対0とリードをひろげて前半を折り返します。

 一方の坂出第一も後半に入ると反撃。部員17人、マネジャーを含めて21人という環境の中でも一人一人がしっかりとフィジカルを強化してきたというFW陣が、愚直に体をあててじわりじわりと前進。フェイズを重ねながら近大和歌山のゴールラインに迫ります。しかし、あと一歩のところで近大和歌山のしつこいディフェンスを突破できず、なかなか得点に結びつけることができません。それでも後半19分、FW陣が奮起して敵陣で相手ラインアウトからボールを奪うと、ボールを受けたCTB中田雅也選手が絶妙のコース取りで20m以上を走り切って中央にトライ。ついに近大和歌山の固い扉をこじ開けます。

 しかし、反撃もここまで。試合終了間際の29分に高尾選手が自陣から次々とディフェンスをかわしてダメ押しのトライをうばった近大和歌山が、29対7で坂出第一を下してうれしい花園初勝利を飾りました。初出場から11年、6度目の出場でついに悲願を成し遂げた近大和歌山・田中大仁監督は「長かった。(生徒たちが)今まで止まっていたものを動かしてくれた」と感激に浸っていました。

<飯田vs盛岡工業>両校が持ち味を発揮して大接戦

 同じ第2グラウンドで行われた第2試合、飯田(長野)と盛岡工業(岩手)の激突は、最後の最後まで目が離せない壮絶な展開となりました。

 FW陣を中心としたモール攻撃が武器の飯田と、ディフェンスからの切り返しとBK陣の決定力が自慢の盛岡工業。試合は両チームが持ち味を発揮して予想どおりの接戦となります。前半、先にペースをつかんだのは飯田。ハーフウェイライン付近からでもモールを組んで押し込んでいく徹底した攻撃で盛岡工業のディフェンスを引き寄せると、モールを押し込んだ後の展開から、6分、20分、26分と3つのトライで19対7とリードを奪います。一方の盛岡工業も少ないチャンスを生かして反撃。前半終了間際には敵陣10m付近のスクラムからBK陣がスピードある攻撃をみせてFB伊澤樹選手がトライ。19対12と、7点差に詰め寄って前半を終了します。

 後半も先にスコアを動かしたのは飯田。またしても敵陣中央付近からモールを組んで盛岡工業のゴールラインにせまると、最後は左に大きく展開してWTB牛山健太選手がトライ。後半12分で24対12と、再び点差を12点にひろげます。しかし、ここから盛岡工業が一気の反撃。16分にBK陣が鮮やかなライン攻撃をみせて追撃のトライ。NO8でキャプテンの吉田勇玖選手がゴールも決めて5点差に詰め寄ると、23分には自陣10m付近のラインアウトからの攻撃で飯田ディフェンスの裏にうまく抜け出した吉田選手が、そのまま50m以上を走り切って中央にトライ。ゴールも決めて26対24とついに逆転します。

 しかし、飯田もあきらめません。残り時間が刻々と少なくなりロスタイムに突入する中、自陣の深い位置からでも自分たちが1年間こだわって築き上げてきたモールからの攻撃で反撃を試みます。5分以上攻め続けてじわりじわりと前進、ついに盛岡工業のゴールライン近くまで攻め込みます。ここで飯田のモールの圧力の前に盛岡工業がたまらず反則。飯田に再逆転のチャンスが訪れます。

 そのままモールで攻め続けてトライを狙うのか、PGでの逆転を狙うのか、飯田のキャプテン・北原慎一朗選手の選択は、PGでした。「チームのみんなが粘ってつないでくれたチャンス。みんなからは自分を信じて頑張ってくれと託された」と自らがキッカーとして逆転のPGを試みます。しかし、キックは無情にも右にそれてそのままノーサイド。両チームが存分に持ち味を出し合った大熱戦は、劇的な幕切れで盛岡工業が飯田に勝利しました。

【12月28日 1回戦の結果】

 28日に行われた1回戦10試合の結果は以下のとおり。部員21人の山形中央(山形)は、鍛え上げられたフィジカルと菊池駿主将を中心とした規律のとれたすばらしい戦いぶりで大健闘をみせるも、東海大静岡翔洋(静岡)の前にあと一歩及ばず、1回戦で姿を消しました。近畿勢では、光泉カトリック(滋賀)が朝明(三重)に快勝し、27日の試合も含めて1回戦に登場した4校すべてが初戦を突破しています。

・第1グラウンド
 長崎北陽台(長崎)56-19 城東(徳島)
 朝明(三重)7-62 光泉カトリック(滋賀)
 開志国際(新潟)15-43 昌平(埼玉)
 尾道(広島)57-0 名護(沖縄)

・第2グラウンド
 近大和歌山(和歌山)29-7 坂出第一(香川)
 飯田(長野)24-26 盛岡工(岩手)
 山形中央(山形)17-21 東海大静岡翔洋(静岡)

・第3グラウンド
 倉敷(岡山)29-12 九州学院(熊本)
 高知中央(高知)32-7 若狭東(福井)
 関商工(岐阜)88-0 倉吉東(鳥取) 

【12月30日 2回戦の組み合わせ】

 30日は、シード校が登場して、2回戦16試合が行われます。

・第1グラウンド
 桐蔭学園(神奈川) 対 流通経大柏(千葉)
 高鍋(宮崎) 対 大分東明(大分)
 東海大大阪仰星(大阪) 対 佐賀工(佐賀)
 大阪桐蔭(大阪) 対 長崎北陽台(長崎)
 常翔学園(大阪) 対 高知中央(高知)
 尾道(広島) 対 石見智翠館(島根)

・第2グラウンド
 山梨学院(山梨) 対 秋田工(秋田)
 明和県央(群馬) 対 国学院栃木(栃木)
 倉敷(岡山) 対 近大和歌山(和歌山)
 盛岡工(岩手) 対 茗渓学園(茨城)
 東海大静岡翔洋(静岡) 対 関商工(岐阜)

・第3グラウンド
 国学院久我山(東京) 対 日本航空石川(石川)
 中部大春日丘(愛知) 対 京都工学院(京都)
 報徳学園(兵庫) 対 目黒学院(東京)
 東福岡(福岡) 対 光泉カトリック(滋賀)
 昌平(埼玉) 対 天理(奈良)

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