岸田内閣終焉にどう備えるか -植草一秀
メディアゴン / 2022年10月4日 16時47分
植草一秀[経済評論家]
***
岸田内閣の支持率低下が止まらない。
内閣支持率が3割を切った内閣は10ヵ月以内に消滅する。2006年の第1次安倍内閣以降の8つの内閣において例外なくこの法則があてはまっている。
2020年の安倍内閣は内閣支持率が3割を切って4ヵ月で消滅した。2021年の菅内閣は内閣支持率が3割を切って2ヵ月で消滅した。内閣支持率が3割を切ってから内閣が消滅するまでの時間が短くなっている。
岸田内閣がいつ消滅するか。時間の問題に移行している。
岸田内閣の特徴は何もしないことにあった。「聞く力」を掲げて各種提案を聞くが「検討する」と答えるだけで実行しない。「検討使」と揶揄されてきた。政権発足時がコロナ感染縮小期に重なる幸運に恵まれたが、間もなく第6波に見舞われた。しかし、第6波では感染が拡大したがウイルスの毒性が低下し、重症者が減少する幸運に恵まれた。
第6波が収束したタイミングでコロナ感染症の指定区分を変更するべきだった。しかし、無為無策を貫き、第7波の大混乱を招いた。日本円が暴落し、インフレの嵐が日本に吹き荒れても何もしない。私は「何もしない閣」と呼んだ。何もしない岸田首相が初めて即断即決で行動したのが安倍国葬だった。慣れないことはするべきでない。初めて即断即決で決めた国葬で大失態を演じた。国葬に法的根拠がない。国権の最高機関である国会に諮ることもしない。安倍晋三氏は銃撃に斃れたが容疑者の犯行動機は統一協会への恨みだった。
安倍晋三氏は統一協会と極めて深い関係を有し、統一協会の広告塔として活動してきた。犯行自体は許されるものでないが、安倍氏銃殺事件は自民党と統一協会の癒着という重大な政治問題パンドラの蓋を開ける意味を有した。この問題を明らかにして責任処理を行うことなく安倍氏を国葬で遇することを国民全体が疑問視した。
岸田首相は「敬意と弔意を国全体として表明する国の公式行事」として国葬を実施するとしたが、この方針に賛同する国民は圧倒的少数になった。過ちに気付いて過ちを改めることは十分にできた。しかし、岸田首相は過ちを押し通した。その結果としての内閣支持率3割割れだ。いまなお、安倍晋三氏と統一協会の関係を調査しようともしない。圧倒的多数の国民が岸田首相の姿勢を疑問視している。
10月3日に召集される臨時国会では統一協会問題が集中的に議論されることになる。統一協会と不適切な関係を有してきた閣僚が辞任に追い込まれるだろう。自民党政調会長に就任した萩生田光一氏の責任も厳しく追及されるだろう。国葬での菅義偉氏の弔辞を一部メディアが礼賛しているが感覚を疑う。安倍礼賛、自画自賛のオンパレードで国民の心を打つような内容は皆無だった。
テレビ朝日の玉川徹氏が「電通の演出」と表現したのは勇み足だったが、スピーチライターが演出効果を考慮して原稿の原案を創作したことは想像に難くない。一部御用メディアが潮流変化を目論んで弔辞礼賛の世論を喚起するが、まともな感覚を有する国民には何の影響力も発揮しない。そもそも安倍氏の実績に対しては否定的な評価を下す国民が多数なのだから。菅弔辞はそのような多様な評価を無視して安倍氏が実行した行政を無批判に礼賛するものでしかなかった。
この状況下で問われるのは野党の対応。
統一協会に支配されてきた自民党政治を刷新し、国民本位の政治を確立するために主権者がどう行動するか。菅内閣が消滅しても主権者と野党が有効な打開策を提示できなければ政治の混迷は持続する。主権者と野党の体制立て直しが急務だ。
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