「虎に翼」花岡が退場―岩田剛典による“彼の半生と最期”の解釈・寅子への思い「武士だった」【インタビューVol.3】
モデルプレス / 2024年6月10日 12時0分
岩田:ベースで言うと、学生役なので声のトーンや表情、姿勢などを意識しました。また男性社会の中だと、ヒエラルキーの中では上の位置にいる生徒だと思うので、その中で自分の立ち振る舞いに対して自己満足しているような人、言わば小心者だなという捉え方をしていました。でも寅子という異質な存在が率いる“魔女5”(寅子の明律大学女子部の同級生)から感化され、物事の捉え方が柔らかくなっていくことで、女性目線の気持ちも理解してきて、女性が夢を追う志に対しても寄り添えるような考え方を持っていきますし、花岡自身も崖から落ちた日から徐々に本音を話せるようになっていきます。なおかつ恋心なのか、純粋に応援したいという思いなのか…きっと両方あると思うのですが、寅子に対して様々な思いを馳せながら最終的には自ら身を引いていく。そして引くときにも1本芯は通っていて、自分の信念を曲げずに生きていくことを誓うと轟(戸塚純貴)に言うシーンがありますが、その通り信念を貫いた結果、自分の命を落としてしまうという…なかなか現代にはいないぐらいの武士っぷりですよね。こうした花岡という人の人生の流れは最初から脚本で読んでいたので、その思いを踏まえながらできたので演じやすかったです。
◆岩田剛典、伊藤沙莉を称賛「彼女自身のフランクな性格が作品の血として通っている部分がすごく大きい」
― 一足先の退場となりましたが、岩田さんから寅子こと伊藤沙莉さんに一言お願いします。
岩田:沙莉ちゃんは本当に立派な座長さんだと思いますし、心身ともに強くて度胸があって「なんなんだこの人は!?」と思ってしまうようなパワフルな女優さんです。今回共演できてすごく嬉しかったですし、機会があればぜひ別の作品でもご一緒できたら光栄です。また仕事面での魅力だけではなく、彼女自身のフランクな性格が作品の血として通っている部分がすごく大きいかなと思います。やっぱり彼女がこの作品を作ってくれていますし、包み込んでくれているような気がして僕にとっても大好きな作品の一つになりました。
― 花岡の思いを寅子に託した部分もあるのでしょうか?
岩田:いや、(花岡は)武士なので人に背負わせることなんてないですよ(笑)。もう“死人に口なし”ですね。それもきっと花岡の美学なのではないかと僕は勝手に解釈しています。もちろん、共に学生時代を過ごした思い出があるので、残された者の宿命というか、辛さというのは寅子も含めて同級生皆さんにあったかなと思いますが、そこで僕が何かを背負わせようという思いでは演じていませんでした。
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