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【「スロウトレイン」インタビュー前編】脚本家・野木亜紀子氏、オリジナル脚本描くきっかけになった土井裕泰監督の存在――再タッグで生まれた新ドラマとは

モデルプレス / 2025年1月2日 8時0分

土井:電車に乗っていた時に「小津安二郎生誕120年没後60年」の企画展の広告を見たんです。鎌倉を舞台にすることで、小津監督の映画で描かれていたような、あの頃の家族像や結婚観と現在との変化が自然に浮かび上がってくるのではないかと考えました。

韓国に関しては、2002年に「Friends」という日韓共同ドラマを制作し、日本と韓国には政治や過去の歴史など様々なわだかまりがあるけど、若い人たちが互いの文化を理解し合うことで乗り越えていけるのではないか、ということをテーマに描きました。今気が付けば、日本の若い世代が韓国のカルチャーやエンターテインメントに憧れて追いかけています。この20年間で起きた意識の変化を描きたいという思いがありました。

◆野木亜紀子オリジナル脚本のはじまり――土井裕泰が語る魅力

― 野木さんのnoteでは、土井さんのスピーチが「アンナチュラル」(2018年/TBS)を書くきっかけになったというお話がありました。

土井:ドラマ「重版出来!」の打ち上げの時ですね。その前に「空飛ぶ広報室」を一緒にやっていたのですが、ドラマでは有川ひろ先生の原作にないエピソードが多かったんです。特に新垣結衣さん演じたリカのテレビ局サイドの話はほとんどオリジナルでした。野木さんはちゃんと取材をして書く人で、最終話も震災の後の松島の話だったのですが、過酷なスケジュールの中でちゃんと自分の足で現地に行って書いていて、原作の元々のテーマをさらに深めるためにオリジナルのエピソードが機能していて素晴らしいなと思いました。「重版出来!」も、最終回はほぼオリジナルなのですが、一回完成して準備を進めかけていたものを『いや、やめる』と全部捨てて一晩で書き直したんですよ。何かを生み出す力がある人なんだと、この2つの作品で感じましたね。

野木:今はあの当時よりもオリジナルドラマが増えてきましたよね。「アンナチュラル」がそこそこヒットしたことで、“オリジナルでも面白いものが作れるんだ”とオリジナル作品を作る機序が戻ってきたんじゃないかと私は勝手に考えていますが、今後もその流れが続けばいいなと思います。やっぱりオリジナルを作らないと、プロデューサーも作る力がどんどん失われていくと思うんです。もちろん原作ものが悪いということではなく、業界全体が両方上手く織り交ぜながらやっていければいいんじゃないかなと思います。

◆ホームドラマは「この先もなくなることはない」

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