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改めて知っておきたいiDeCoとNISAの違い、活用法をFPが指南

MONEYPLUS / 2024年5月9日 11時30分

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改めて知っておきたいiDeCoとNISAの違い、活用法をFPが指南

老後2,000万円問題もあり、老後への備えについて気になっている方も多いのではないでしょうか。老後への備えに欠かせないのがiDeCo(個人型確定拠出年金)です。iDeCoとは、国民年金や厚生年金などの公的年金とは別に、ご自身で準備できる私的年金のことを言います。

本記事では、NISAとの比較や制度改革の話を含め、iDeCoの魅力や注意点などをわかりやすく解説していきます。


iDeCoとは

iDeCoは国民が生活の安定や福祉の向上を図るために、老後資産を自助努力で準備することを後押しする国の制度として、2001年に始まりました。税制面で非常に有利な制度となっています。

加入は強制ではなく任意で、掛金の金額や運用先はご自身で選択することになります。拠出できる限度額は被保険者の種類(自営業者、会社員、公務員、専業主婦(夫)など)によって異なりますので、下記の図に簡単にまとめてみました。

画像:筆者作成

iDeCoとNISAはどう違う?

税金の優遇と聞くとNISAを思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。NISAも運用で出た配当や運用益が非課税になる制度で、その点においてはiDeCoと類似しています。ではどういった点でNISAとiDeCoは違うのでしょうか? NISAとiDeCoの相違点は主に2点あります。

iDeCoの掛金は全額所得控除

iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となります。一方、NISAの掛金は所得控除の対象にはなりません。所得がある方にとっては、iDeCoは運用時だけでなく拠出時の税金面でも非常に有利に働きます。

iDeCoは原則60歳まで引き出せない

iDeCoは年金ということもあり、原則60歳まで引き出すことができません。この点は、いつでも出し入れができるNISAとは大きく異なります。老後生活を目的とした資産形成にはiDeCoの強制力をぜひ活用していただきたいです。

iDeCoのメリットは3つの税優遇

iDeCoの最大のメリットは3つのタイミングで税金の優遇があることです。

1つ目が拠出時。前述した通り、拠出した金額は全額が所得控除の対象になります。年末調整や確定申告をすれば、その年の所得税や翌年の住民税の負担が減ります。年齢や年収によって異なりますが、iDeCoの加入年数が長ければ長いほど、また拠出する金額が大きければ大きいほど節税メリットは大きくなります。

2つ目は運用時。iDeCoもNISAと同様、運用益が非課税になります。通常、預貯金の利息をはじめ金融商品から生じた利益には申告分離課税により20.315%の税金がかかります。それに対してiDeCoやNISAでは、運用で出た利益は非課税となります。iDeCoは老後の資産形成を目的としているため、運用期間も長期に渡ることが多いです。そのため、利益に対する非課税のメリットは大きくなることが予想されます。

3つ目は受取時。iDeCoは受取時、一括受取か年金受取のいずれか、もしくは併用を選択することができます。その際、退職所得控除や公的年金等控除の対象となるので、年金を受け取る時にも税制上のメリットを享受することができます。

画像:筆者作成

例として2パターンの節税シミュレーションを挙げています。いずれも掛金に対する所得税控除の額を示しています。利益が出た場合の運用益及び受取時の税優遇を含めるとさらに税制上のメリットは大きくなります。

具体的にどれくらいの節税効果があるのかは、年齢、年収、掛金等によって異なりますが、ご自身の場合はどうなるのか、iDeCo公式サイトや証券会社各社が準備しているiDeCoのシミュレーションサイトで一度確認してみましょう。

iDeCo利用における3つのデメリットや注意点

税優遇のメリットがある一方で、デメリットや注意点もあります。

原則60歳まで引き出せない

計画的に掛金を決めないと、現役時代の生活が苦しくなる可能性があります。老後の生活と同じくらい今の生活も大切です。計画的に拠出金額を決める必要があります。ただし、掛金については年1回ではありますが金額の変更や停止が可能です。途中でライフスタイルが変わった際は、随時掛金の変更を検討しながら継続していきましょう。

元本割れのリスクがある

iDeCoでは主に2種類の運用商品があります。「元本確保型」と「元本変動型」です。元本確保型では定期預金など元本が確保される商品を選択できます。一方で、元本変動型では、様々な投資信託から投資先を選択することができます。そのため、場合によっては相場状況により元本割れのリスクも生じます。

また、元本が確保されている商品だと元本が減りはしないものの、現在の金利下ではほとんど資産は増えません。運用期間が10年以上に及ぶなど長期に渡り資産運用が可能な方は、少しリスクをとって元本変動型を選択するのもいいでしょう。一方で、現在50代の方や運用期間が短期間しか取れない方、節税メリットだけを享受したい方については元本確保型を選択肢に加えるのも良いでしょう。

手数料がかかる

iDeCoでは加入・移管時、運用時、給付・還付時などに手数料が発生する場合があります。金融機関によって手数料の金額が変わるので、iDeCo加入時には必ず確認するようにしましょう。特に、運用時のコストは長期に及ぶほど負担も大きくなります。金融機関を選ぶ際はコストにもしっかりと気を配って選択するようにしましょう。

iDeCoとNISA、どちらを選べばいい?

すでにNISAをされている方やこれからNISAを検討されている方は、iDeCoとNISAをどう使い分ければ良いかを悩まれるかもしれません。

NISAとiDeCoは国の用意した制度であることや税制上のメリットがあるなど、似ている部分はあります。しかし、利用する目的は大きく異なることを理解しておきましょう。

現役時代の生活のための資金や、子どもの教育資金等はすぐに引き出せる預貯金や、いつでも売却できるNISAを中心とした資産作りをしていきたいところです。その上で、iDeCoでは老後資金の準備として活用していきましょう。どのような割合で資金を振り分けていくかは1人1人のライフプランで異なってきます。

現役時代の収支、今後の予定、老後のプランなどライフプランを作った上でご自身にあった資産形成計画を立てていきましょう。iDeCoは最低月額5,000円から始めることができます。まずは少額から始めてみて、様子を見て金額を増やしていくこともおすすめします。

注目されているiDeCo制度改革の3つのポイント

2024年は以下の3点においてiDeCoの制度改革が検討されています。

  1. iDeCoの加入可能年齢の引上げ
  2. iDeCoの拠出限度額の引き上げ及び受給開始年齢の上限の引上げ
  3. iDeCoの手続きの簡素化

これらの制度改正により、さらにiDeCo加入の動きが広まることも考えられます。

制度は利用しないことには何の意味も持ちません。「よくわからない」で済まさず、「自分にはどんな影響があるのか?」を意識して、今後の制度改正についてもアンテナを張るようにしましょう。

iDeCo利用時はライフプラン作成とセットで

iDeCoの利用者は年々増加しており、令和5年12月時点で約317万人が加入しています。しかし、人口比でみると加入者は5%程度で、普及率にはまだまだ課題が残ります。

制度開始から20年以上経った現在でも普及率が低いのは、国民一人一人が自分のライフプランを考えられていないからだと筆者は考えます。

収支を把握し、今後のライフプランをしっかりと考えれば、自ずとiDeCo加入の選択肢も出てくるのではないかと思います。iDeCoはうまく活用すれば老後の資産形成において、力強いサポーターになります。ライフプランを考え、しっかりと老後に向けて資産形成をしていきましょう。

【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)

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(内田優帆)

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