トヨタの電気自動車戦略はこんなに小さなものまで! 超小型モビリティ「トヨタ C+walkt(シーウォークティー)」が楽し過ぎる
MōTA / 2022年1月23日 16時0分
トヨタは2021年10月1日、歩行領域での超小型モビリティ「C+walkt(シーウォークティー)」の発売を開始した。価格は34万1000円から35万4200円(消費税込)。前回、トヨタの街乗り超小型BEV「トヨタ C+pod(シーポッド)」の試乗インプレッションを届けてくれたモータージャーナリストの今井 優杏さんがC+walktもテスト。その印象をレポートしてくれた。
空港やショッピングモール、工場などの大型施設での活躍が期待される超小型モビリティ
前回はトヨタの街乗り超小型BEV「C+pod(シーポッド)」をご紹介した。後編ではもうひとつの超小型BEVである「C+walkt(シーウォークティー)」についてもご紹介したい。こちらはさらに小さなモビリティで、一人乗りの立ち乗りタイプだ。現状、一般公道での走行は不可能となっている。
トヨタの販売店で購入可能! 大病院のドクターが回診用に購入したケースも
しかしこちらもトヨタの販売店で、個人でも購入が可能。現在、空港や大型ショッピングモールなど、広大な敷地を持つ商業施設の警備会社や巡回などの需要があるとのことだが、個人では病院のドクターが、回診のために購入したそう。思わず「C+walkt」に乗った老齢のドクターが他のドクターを従えて院長回診を行う的な…「白い巨塔」風シーンが脳裏をよぎる。
が、たしかに事実、仕事での歩数が2万歩を超えるようなタフなイベント現場、たとえばモータースポーツのチームマネージャーなんかにかなり喜ばれそうなモビリティである。
「C+walkt(シーウォークティー)」に試乗! 見た目から想像する以上に安定した走りだ
実際に乗ってみると、操作はかなりイージーだ。万が一の転倒の際に手やレバー類を守るようにバンパーがあしらわれたハンドルには、握ったときに親指が当たる位置にアクセルレバーが、それ以外の指が添えられる部分にブレーキレバーがある。左右に同じレバーが備えられているが、どちらも操作はシンクロしていて、どちらを押してもOKだ。万が一、アクセルレバーとブレーキレバーを一緒に操作してしまったときには、ブレーキが優先され、加速は止まることになっている。
ステップ部分は150mmと低く、すっと足を乗せられる。足を置くエリアにはゆとりがあり、乗っただけでフラフラするようなことはなく、安心して体重をかけられる設計になっている。ステップの下には前一輪、後ろ二輪の三輪が隠されていて、これが安定の理由。しかもノーパンクタイヤを採用しているから、この辺のチョイスも“さすがトヨタ!”な品質なのである。
推奨最高速度は、人が早歩きするのと同じくらいの時速6キロ
C+walktに乗り込んで(乗り込むという表現は適切ではないけど)加速を始めてみた。すると、さすがに最初はおっかなびっくりだけれど、このステップ部分の安定感のおかげで、速度や操作にはすぐ慣れてしまった。C+walktの最高速度は推奨が6km/h。実は10km/hにも設定は可能なのだが、これはあくまでも管理者(所有者)用の設定であって、あまり慣れていない人が乗る場合は6km/h以下を勧めている。これはパネル内の速度切替スイッチで設定が可能で、2~6km/hの5段階に加えて、最大10km/hの計6段階が用意されている。
この6km/hという数字に物足りなさを感じる人もいるかと思うが、実際に運転してみると意外と速い。時速6km/hは人の早足の速度だそうで、これなら巡回など、歩行者との共存を求められるシーンでも安全だろう。特筆すべきはハンドリングの楽しさ。クルンクルンとパイロンスラロームを攻略できる操作性の面白さは、まさに次世代のモビリティ。コーナリング時の安定感も高く、ヨロヨロしないからいくらでも乗りたくなってしまうくらいだ。ちなみにいくら楽しくても、一充電あたりの最高航続距離は約14kmだ。…ん? けっこう行けるな。
障害物検知や急坂の自動減速機能など運転支援機能まで備えたC+walkt
さて超小型モビリティC+walktの安全面だが、これこそが“さすがトヨタ”のクオリティ。走行時、前方の人や障害物との衝突回避のため、障害物検知機能が設定されている。障害物(人)を検知すると、警告音とパネル表示で警告し、自動的に約2km/hまで減速してくれるのだ。
さらに傾斜地では急斜面侵入を通知し、降坂時は速度によって自動減速するなどもしてくれるという。ちなみにハンドルを切ると自動減速してくれる通常機能もあり、これはブレーキレバーを使わずともほぼアクセルレバーのみで走行できる“ワンレバー走行”を叶えている。
超小型モビリティC+walktの充電は100Vで約2.5時間だ。
座り乗りや車いす連結タイプなどのバリエーション展開も検討中
扱いが容易なC+walktは、今後の高齢化社会においてもシニアの再雇用などにも活躍が見込めるのではないかと考えている。大きなBEVだけでなく、すでに社会貢献レベルで超小型モビリティを擁するトヨタ。2022年の動向にも目が離せない。
[筆者:今井 優杏/撮影:和田 清志・TOYOTA]
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