マツダ・ロードスターのメカニズムを徹底解説!

MotorFan / 2018年8月25日 9時15分

マツダ・ロードスターのメカニズムを徹底解説!

 ロードスター史上で最小排気量のエンジンと、最も短い全長。実に100㎏もの重量低減に成功した四代目ND型がライトウェイトスポーツの走りの魅力を、現代に蘇らせる。

重量配分を最適化したレイアウト

先代NC型と同等の居住空間を維持しつつ、ホイールベースを20㎜短縮し、オーバーハングも縮小。さらにヒップポイントやエンジン搭載位置を下げ、ヨー慣性モーメントの低減を実現した。

新開発の「S-fit」構造シート

ネット素材とウレタンパッドを組み合わせたシートバックとクッションにより、軽量化と薄肉化に成功。ネット素材の高い減衰特性により、適度なホールド性と良好な座り心地も得ている。

前方視界の拡大

Aピラーを先代から後退させ、乗員を横方向で中心に寄せることでドライバーの左右視界を拡大。またボンネット高を下げてワイパーも小型化し、上下の見開き角も広げている。

車両挙動の認知性向上

フェンダーに稜線を通してエッジ形状をつくり込み、走行時の車両の動きがボンネット越しに把握しやすいデザインを採用。前輪の位置も直感的にドライバーが認識できる。

ペダルレイアウトの最適化

ドライバーの身体が捩れることなく操作できるように、各ペダルを配置。さらに隣のペダルに足が引っかかることがないように、それぞれの間隔も見直している。

各ペダルの形状の違い

先代はパッドまわりの断面がラウンド形状だったが新型は鋭角化して、パッド幅を小さくしながらも必要な踏面を確保。クラッチは左足の拇指球が当たる部分を広くし、踏みやすくした。

車両との一体感を高める意匠

ドライバーを中心に、メーターやエアコンダクトなどのコンポーネンツを完全に左右対称に置き、前後方向に1本の軸を感じさせる空間を実現。正確な運転操作に集中できる。

脱着式カップホルダー

ひとりで乗る時は手が伸ばしやすくシフト操作も邪魔しない助手席の前側(左の図)、ふたりで乗るときにはコンソール後部(右の図)へ2個を並べてと、自在に設置できる。

構造革新によるマルチフレーム化

骨格をストレートかつ連続的に繋げるというSKYACTIV-BODYの考え方を元に、断面形状の最適化やサスクロスメンバーを活用したマルチロードパスを達成。強度と剛性を確保しつつ重量を低減した。

トランクルーム

リヤのオーバーハングを短縮したため、容量は先代の150ℓから130ℓへと小さくなったが、荷室底部の前後長や深さを増すことで、その使い勝手を高めている。

ヘッズアップコックピット

前方から視線をできるだけ外さず、センターディスプレイを認識できるように、その位置を検討。上位グレードには手元を目で見ることなく操作できるコマンダーコントロールも備える。

高張力鋼板の使用部位

フレーム形状の見直しで高張力鋼板がより使いやすくなり、440MPa級以下の鋼板を使う部位が大きく減少。ボディシェル重量は先代から約20㎏軽くなった。

主なアルミ材の使用部位

外板だけでなく、シャシー部品にも積極的に投入した。バンパーリインフォースの高強度7000系アルミ材は、先代のホットスタンプ材に対して前後の合計で3.6㎏も軽い。

フレームのトラス構造化

ボディの一部をリヤサスペンションクロスメンバーの構造として活用し、その部位をトラス形状で繋ぐことで軽量化しつつ、リ ヤまわりのダイアゴナル(対角線上)剛性を向上させた。

オープンカーのための強固なボディ

ルーフで強度や剛性を稼げないため、フロントフロアトンネル部周辺のフレームを大断面化し、強固なバックボーンを構築。サスペンション取り付け部は環状構造化し、変型を抑制している。

ソフトトップの内部構造

クローズ走行中の騒音低減のため、アルミ製ヘッダーパネルを採用しバタつきを低減。このパネルはクローズ時のソフトトップの凹凸を抑え、すっきりとしたルーフ形状も実現した。

パワー・プラント・フレーム(PPF)

ミッションとリヤデフを結合し、駆動力の応答遅れを減少させるPPFはND型も継承。断面形状を変更して剛性を確保しながら、先代NCからの約1㎏の軽量化も達成した。

溶接箇所の波型カット

すべての部品に対してわずかでも削減できる余地があれば実行するマツダ伝統の「グラム作戦」の一部。溶接に影響が出ないギリギリの部分まで、部材の端末部位をカットしている。

各部の重量軽減穴

こちらも「グラム作戦」の例。リヤサスのクロスメンバーなどには、強度上で影響のない部分に徹底的に穴を空けることで、その重量を減らしている。

シート周辺の風騒音対策

シートベルトの取り付け部分は、オープン走行時に風が当たることで騒音を発生させないように、その位置や形状を見直している。

P5−VPR型1.5ℓ直列4気筒エンジン

基本となるのはアクセラなどFF車に搭載される直噴ユニットだが、縦置き搭載やレスポンス向上のため、ほとんどの部分は専用設計。7500rpmを許容する高回転型のセッティングだ。


排気量(㏄):1496
種類・シリンダー数直列:4気筒・縦置き
弁機構:DOHC 16バルブ
ボア×ストローク(㎜):74.5×85.8
圧縮比:13.0
最高出力(kW[㎰]/rpm): 96[131]/7000
最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):150[15.3]/4800
使用燃料:プレミアム
燃料タンク容量(ℓ):40

キャビティ付きピストン

シリンダー内への燃料噴射を最適化しつつ、ピストンヘッドに凹み(キャビティ)を設けることで、プラグまわりに成層混合気を生成させて13.0という高圧縮比を実現した。

フライホイールの軽量化

外周部分の一部を削り軽量化することで慣性モーメントを低くした専用フライホイールを採用。軽快なレスポンスに貢献している。

鍛造クランクシャフト

高回転対応のために材質を鋳鉄からスチールに変更し、4気筒すべてにウェイトを備えたフルカウンター構造を採用した専用品だ。各部を鍛造の限界まで詰め軽量化しつつ、NVH性能や信頼性も向上させた。

4−2−1形式の排気マニホールド

エンジン縦置きと高出力/高回転化に対応させるため、システム全体の長さをチューニング。燃焼圧力波の干渉を均等にして、心地良いトルクカーブと軽快なエキゾーストサウンドを実現した。

エンジンヘッドカバー

肉厚1.7㎜という薄さのアルミダイキャストを素材として、樹脂製カバーに匹敵するほどの軽い重量を実現しつつ、オーナーが磨き上げたくなるような質感と造形を備えた。

後輪駆動用のSKYACTIV-MT

人馬一体の走りを更に進化させるために、すべての構成部品の機能配分までゼロから見直して新開発されたマニュアルミッションを搭載。シフトフィーリングに徹底的にこだわっている。

リンク機構のシンプル化

5速/6速のギヤ配置をチェンジロッドの作動と同方向にすることで、ロッド上の反転機構を廃止。またシンクロ機構をすべてメインシャフト側に配置して機構をシンプルにし、リンク系の摺動抵抗を低減している。

独自のギヤ比設定とした6速

一般的にはオーバードライブに設定される6速を、ND型ではギヤ比1.000の直結としてギヤの介在を減らし、伝達損失を低減。巡航時の実用燃費に貢献している。

シフトフィーリングのチューニング

初代から継承している40㎜のショートストロークに加え、リンク系の抵抗を節度感を損なわない限界まで低減することで、次の段に吸い込まれるようなレバーの感覚を得た。

クラッチミートの最適化

人間工学を駆使して足への負担が最小となるストローク領域を検証し、クラッチ締結をその範囲内に設定。また筋肉の特性を踏まえて、ペダル操作に合致した加速度が感じられるようにトルク伝達特性をチューニングした。

独自の表面形状を持つミッションケース

強度、剛性、NVH性能から最小限必要な各部の肉厚を設定し、アルミダイキャストの生産方法を工夫することで均一ではない薄肉厚のケースを実現。外部のリブを立てないことでスリム化が可能となった。

改良された6速オートマチック

トルクコンバーター式のATも「S」グレード以外には設定される。ユニット自体は先代から継承したものだが、従来は5速/6速のみだったロックアップを3速から行なうようになった。

ドライブセレクション

ATに新設定された機能で、「SPORT」モードにすると駆動力を高めるように低めのギヤ段を選択するようになり、同時にアクセルを踏み込んだ時のトルク出力を強め、力強い加速を実現する。

エンジンサウンドのつくり込み

ほんのわずかの重量の変化を与えてマウントの振動特性をチューニングし、2500rpm〜5000rpmまでの中回転域では、軽快さに加えて力強い鼓動感を得られるサウンドを得た。

人馬一体の走りを感じる各シーンごとのクルマの挙動

減速、旋回、加速という一連の操作に対して、自然で正確なフィードバックがドライバーに与えられるように車両の挙動特性を追求。ステアリングとアクセルワークで自在に操れる、コントロール性の良さも重視した。

制動時のピッチング姿勢

ピッチングセンターをドライバー位置まで後退させたので、ブレーキング時にドライバーの身体が沈み込み、制動時でも安定した視点のまま運転ができるようになっている。

マルチリンク式リヤサスペンション

リンク配置を大幅に見直し、旋回中のコントロール性を向上させるジオメトリーを新たに採用。またクロスメンバーはトラスを組み合わせた構造で、軽量化と高剛性化を両立した。

ダブルウイッシュボーン式フロントサスペンション

コストはかかるが、足まわりのセッティングの自由度が高く、スポーツカーに相応しいとして初代から使われてきた形式を継承。キャスター角の拡大やキャンバーのネガティブ化などの変更が実施された。

旋回中のコントロール性の向上

後輪に横力が入った場合の弾性軸を前傾させるジオメトリーを採用することで、横力が大きくなるに従い適切なトーインとなる。これによりコーナリング中の安定性がより向上している。

電動パワーステアリング

歴代ロードスターのこだわりであるステアリングシャフトのストレート配置を引き継ぎ、リニアなフィーリングを重視。操舵輪に近いラックを直接アシストするデュアルピニオン式は、スポーツ走行時にも剛性感の高い操舵特性が得られる。

リヤディファレンシャル

オイルの低粘度化とスムーズな流れを実現した新開発のデフユニットを採用。抵抗が大幅に低減され、走行時のこの部分での損失を先代から27%も少なくしている。

トルクセンシング式スーパーLSD

「S」以外のMT車に標準装備。コーナリング中にイン側の後輪がリフトしてもアウト側の後輪に駆動力が適切にかかるので、アクセルによるコントロール性がより高まる。

ブレーキシステム


前後ともディスクで、フロントはベンチレーテッドタイプ。ブースター特性を見直し、低G領域ではペダル操作によりリニアに反応させる特性とした。またブレーキ戻し時のコントロール性も高めている。

アルミホイール

車体の大幅な軽量化により、ハブボルトは5穴から4穴に変更された。ハブ自体も当然、軽量化に貢献することになる。全グレードが、冷却強化鋳造と呼ばれる工法で薄肉化されたリムを持つアルミホイールを標準装備する。

荷重移動をより楽しめる「S」

車重1tを切ったグレード「S」は、MT車で唯一、リヤスタビライザーとLSDを持たない。往年のライトウェイトスポーツのように、あえてロールを許容した走りを狙った味つけだ。

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