BMW X3:パワートレーンもハンドリングもドライバーが思う通りに忠実、駆け抜けるSAVの中核
MotorFan / 2018年12月5日 12時20分
旬なクルマの情報を網羅した「モーターファン別冊 統括シリーズ」。今回は「Vol.106 2018-2019年国産&輸入SUVのすべて」から「BMW X3」を抜粋してご紹介。 レポート=石井昌道[本文]/塚田勝弘[写真解説] フォト=中野幸次
シャシー刷新で機能性が向上 安全性や使い勝手も一級品
今では1から6まで隙間なくラインナップするBMW Xシリーズ。1/3/5の奇数はSAV(スポーツアクティビティビークル=一般的にはクロスオーバーSUV)、2/4/6の偶数はクーペバージョンのSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)となるが、その中でも中核をなすのがX3だ。
2017年10月のフルモデルチェンジで三代目となった現行モデルは、一見すると先代に近いキープコンセプトだが、キドニーグリルが大型化されて立体的になったフロントマスクやなだらかなルーフラインなどで洗練された雰囲気となっている。ボディは先代比で全長が55㎜伸び、全幅が10㎜広がって大きくなっているが、新世代のプラットフォームを採用したことによって重量は最大55㎏軽減。サスペンションにもアルミニウムが多用されており、シャシー性能向上が図られている。
そして先進安全装備がますます充実したのも新型X3の特徴だろう。ステレオカメラに前方3基、後方2基のミリ波レーダーを採用した運転支援システムは、機能もフィーリングも進化。BMWは走りが気持ち良いイメージが強いが、安全性や使い勝手でもトップレベルにある。
日本仕様に用意されているのは、2.0ℓ直噴ターボの「20i」系と2.0ℓディーゼルターボの「20d」系。それぞれ8速ATと組み合わされ、4WDの「xDrive」のみがラインナップされている。
パワートレーンはすでにお馴染みのものだが、「20d」に試乗してみてエンジン屋のBMWの実力を再認識することになった。1750rpmから40.8㎏mものトルクを発生するから、1890㎏の車両重量に対しても余裕は十二分。いつでもどこでもアクセルをちょっと踏みこむだけで力強い加速が堪能できる。特に100㎞ /h、1500rpm程度の高速巡航時、アクセルを徐々に踏み増していくとシフトダウンなしに速度をスーッと上げていくときなどにトルクの充実感がある。
一般的にディーゼルは高回転が苦手だが、BMWのそれは5000rpmまでシャープに伸びやかに回っていく。常用域のトルクに優れるディーゼルとしては異例にスポーティなのだ。それでいて音・振動も気にならないレベルに抑え込まれている。
8速ATも相変わらず秀逸。発進時はスムーズかつ力強く、ドライバーの右足の動きから意思を読み取って適宜にギヤを選択する。そのドライバビリティの良さは他のメーカーがベンチマークにしているほどだ。
新型となって大きく進化したのがシャシー性能だ。BMWらしく、ステアリングを切れば切っただけ正確に曲がっていく絶品のハンドリングは従来通りだが、それに加えて乗り心地が良くなった。ソフトタッチというわけではないが、しなやかで質の高い動きなのだ。
やはりX3の最大の魅力は走りということになる。それも、スポーティというだけではなく、パワートレーンもハンドリングもドライバーが思う通りに忠実に応え、快適性も高いという全方位的にハイレベル。最近はボルボやジャガーなどドイツ以外の勢力も力を付けたが、走りに関しては一日の長がある。
xDrive20d M Sport
全長×全幅×全高(㎜):4720×1890×1675
ホイールベース(㎜):2865
トレッド(㎜) 前/後:1600/1615
車両重量(㎏):1890
エンジン種類:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
総排気量(㏄):1995
最高出力(kW[㎰]/rpm):140[190]/4000
最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):400[40.8]/1750-2500
燃料タンク容量(ℓ):60(軽油)
トランスミッション形式:8速AT
駆動方式:4WD
タイヤ・サイズ:245/50R19
最小回転半径(m):5.7
JC08モード燃費(㎞/ℓ):17.0
車両本体価格:710万円
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