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【世界の首脳たちへのメッセージ】ガザでの「持続的な停戦」を実現するための行動を

国境なき医師団 / 2023年12月7日 18時28分

イスラエルとパレスチナにおける戦闘の激化から、12月7日で2カ月。ガザ地区では無差別攻撃が続き、これまでに1万5500人以上が犠牲になったとされる。国際人道法に反した医療への攻撃も後を絶たない。これ以上命が奪われることを止めるため、国境なき医師団は各国首脳に対し、持続的な停戦に向けて今すぐ行動を取ることを求める。

日本からも、私たちは声を上げる。

無差別攻撃の中止を。
医療の保護を。
封鎖の解除を。
今すぐ、停戦を!

ガザでの「持続的な停戦」を実現するための行動を

国境なき医師団日本

国境なき医師団は世界各国の首脳に対し、パレスチナ・ガザ地区における「即時かつ持続的な停戦」を確保するため、あらゆる手段を尽くすよう要請します。 パレスチナ市民への無差別攻撃を停止し、この危機に不可欠な人道援助をガザに届けることを認めるよう、イスラエル政府に要求してください。 およそ2カ月にわたって続いた容赦ない暴力の後の7日間の休戦は、ガザの人びとにとって歓迎すべきつかのまの休息でした。しかし、7日間という時間は、膨大なニーズを満たすために十分な援助や必要不可欠な物資を届けるには、到底足りませんでした。休戦が終わった今、再び無差別の暴力が繰り返されています。 国境なき医師団は、世界中の多くの人たちと同様に、ハマスによるイスラエル市民への攻撃に心を痛め、衝撃を受けました。そしておよそ2カ月が経った今、イスラエルによるガザでの絶え間ない無差別攻撃のために、パレスチナ市民が受けているとてつもない恐怖を表現する言葉は見つかりません。

無視された国際人道法

イスラエルは、国際人道法で定められた医療施設の保護を露骨にそして完全に無視しています。私たちは、病院が遺体安置室と化し、廃墟と化すのを目の当たりにしています。保護されるべき病院が爆撃され、戦車や銃で撃たれ、包囲され、襲撃され、患者や医療スタッフが殺されています。今回の紛争が始まって以来、世界保健機関(WHO)は、少なくとも医療従事者22人の死亡と59人の負傷をもたらした、203件の医療に対する攻撃を記録しています。 私たち国境なき医師団の医療スタッフを含め、現地の医療スタッフは疲労困憊し、絶望の淵に立たされています。麻酔も滅菌された手術器具もないまま、重度のやけどを負った子どもたちの手足を切断しなければならないのです。患者は痛みで死につつあります。イスラエル兵により避難の決断を強いられ、「自分の命か、それとも患者の命か」という想像を絶する選択を迫られ、患者を置き去りにせざるを得なかった医師もいます。医療に対する残虐な攻撃には、いかなる正当性もありません。 国境なき医師団は11月中旬、パレスチナ人スタッフと共に外科治療など医療援助を提供するために、国際緊急チームをガザに派遣しました。ただ残念なことに、負傷者の多さ、インフラの破壊、燃料などの物資の不足、そして現在も続く無差別攻撃により、彼らの活動は著しく制限されています。私たちはもっと多くのことを行いたいですし、できるはずです。しかし今日、イスラエルによる包囲と容赦ない無差別攻撃のために、これは不可能です。 私たちの同僚ら4人が殺され、さらに多くの同僚が自分の家族を失いました。その他にも多数のスタッフが負傷しました。他の人道援助組織からも、100人以上のスタッフが殺害されたことが報告されています。

住民全体への集団懲罰は戦争犯罪

2007年以来イスラエルが封鎖をしているガザは、まさに世界最大の「天井のない監獄」です。10月7日の軍事作戦開始以来、イスラエル政府はガザを完全に包囲し、ガザに閉じ込められている230万人の人びとが必要としている、水、食料、燃料、医療物資の搬入を禁止しました。それに加えて、人道上のアクセスにも制限が課せられ、援助が必要な人たちに届くのを妨げています。国際人道法上、住民全体を集団処罰の対象とすることは、戦争犯罪です。 私たちは、人道上の基本原則が公然とおとしめられるのを目の当たりにしているのです。 イスラエルの主張とは裏腹に、その全面的な攻撃は、ハマスだけに向けられているのではないことは明らかです。あらゆる主張と手をつくして、ガザ全域とその住民を攻撃しているのです。戦争にもルールがありますが、イスラエルは明らかに、戦争のルールである国際人道法を自ら軍事戦略に不均衡な形で置き換えています。攻撃開始当初、イスラエル国防軍の報道官は、この過剰なまでの報復の「大事な点」は「正確さではなく被害の大きさだ」と発表しました。イスラエルの行動は、その言葉を上回っていると言っていいでしょう。

安全な場所はどこにもない

ガザ北部は地図からかき消されつつあります。医療システムは崩壊しました。ガザの保健当局によれば、1万5500人以上が死亡し、その半数近くが子どもだといいます。ガザ住民の200人に1人の割合です。また、何万人もの人びとが負傷しています。多くの残された家族が、亡くなった愛する人を瓦礫の下から掘り出しています。国連によれば、少なくとも180万人が避難しています。これらの市民は、繰り返し強制的にさらに南へ移動するよう命じられていますが、イスラエルはガザ全体を爆撃しています。安全な場所がどこにもないのです。 ガザ南部のハン・ユニスにいる国境なき医師団の緊急対応チームからは、激しい爆撃と空爆の後、膨大な人数の負傷者が運ばれてきているという報告があります。先週の土曜日には、60人の死者と213人の負傷者がアル・アクサ病院の救急室に運ばれました。これらの空爆は、過密で衛生状態が悪化している難民キャンプに対しても行われ、人びとはわずかな人道援助でかろうじて命をつないでいます。このままだと、たとえ空爆の被害を免れたとしても、感染症や飢餓が彼らを襲うでしょう。

持続的な停戦を求める

持続的な停戦は、さらに何千人もの市民が殺されることを阻止し、切実に必要とされている人道援助を拡大して提供できるようにする唯一の方法です。また、国境なき医師団は、ガザへの人道物資の適切な搬入を管理する独立したメカニズムの確立を求めます。さらに、重傷で苦しむ患者のために、安全で長期的な第三国への医療避難ルートの設置を求めます。短期的には、これらの患者をラファ検問所を通じてエジプトに避難させることも選択肢の一つであり、国境なき医師団は必要な医療援助の拡充に貢献したいと考えています。 無差別かつ執拗な攻撃を今すぐ止めなくてはいけません。 強制移動を今すぐ止めなければなりません。 病院と医療スタッフへの攻撃を今すぐ止めなくてはいけません。 人道援助の制限と包囲を今すぐ止めなくてはいけません。 今すぐ、すべてを止めなければなりません。 国境なき医師団は、各国首脳が事態の解決のために行動し、さらなる殺戮を防ぐためにあらゆる手段を行使することを求めます。 ガザだけでなく、ヨルダン川西岸地区の国境なき医師団の医療チームも、暴力、迫害、脅迫の急増を伴う医療への攻撃を報告しています。国連によると10月7日以降、イスラエル国防軍またはイスラエル入植者によって、240人近いパレスチナ人が殺害されています。 これまでのところ、世界の一部の国の首脳たちは、イスラエルに資金を提供したり武器を提供したりして、暴力に加担しています。あるいは、ガザで行われている容赦ない流血と残虐的な行為を食い止めることができず、空虚な言葉を投げかけるだけで、事態を沈静化させる努力をしていません。 今こそ、イスラエルを無条件に支援し続けるのか、見て見ぬふりをするのか、「一般市民の保護を尊重せよ」という空虚な呼びかけを行うだけなのか、それとも外交で影響力を行使し、イスラエルがガザの人びとに下した死刑宣告が非人道的で弁解の余地のないものであることを突きつけるのかを選択するときです。 国境なき医師団は、世界の多くの人たちが共有している人道性を守るために、行動を起こすことを強く求めます。

私たちはできることをした。私たちを忘れないでください。

これは、病院への攻撃で亡くなった国境なき医師団のマフムード・アブ・ヌジャイラ医師が、病院のホワイトボードに書いた言葉です。 銃声が静まり、この紛争の本当の被害規模が明らかになったとき、あなたやあなたの政府は同じことを言えるでしょうか?

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