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緊張高まるレバノン南部のイスラエル国境地帯——国境なき医師団、避難した人びとに医療チームを派遣

国境なき医師団 / 2024年1月11日 11時46分

レバノン南部ナバティエで国境地帯から避難した人びとを診察するMSFの移動診療チーム © MSF/Tracy Makhlouf

レバノン南部の国境沿いでイスラエル軍とレバノンの組織ヒズボラの軍事行動が激しくなり、国境周辺の地域に暮らす多くの人びとが、避難を余儀なくされている。避難した人びとの多くは生活必需品などを必要としており、常用する薬を切らしている人もいる。国境なき医師団(MSF)は、人びとに医療を提供するため、移動診療チームを派遣した。

イスラエル軍とヒズボラは、2023年10月7日にイスラエルとガザでの紛争が激しくなって以来、イスラエル・レバノン国境を挟んで交戦を続けてきた。ここ数週間は、イスラエル軍がレバノン南部の国境地帯に激しい砲撃を加えるなど、暴力がエスカレートしている。国際移住機関(IOM)によると、国内避難民の数は1月2日現在で7万6000人を超えた。

人道危機に重なる危機

イスラエル国境と接するレバノン南部の村クファルキラから避難したアッバス・シートさんは言う。

「マットレスや衣服、薬が必要です。砲撃が激しくなったので、私たちはすべてを置いて逃げてきました。処方箋や衣類を取りに戻ることもできません」

武力対立の激化は、レバノンで進んでいる人道危機をさらに悪化させている。レバノンは深刻な経済危機に陥って4年目。国民の3人に2人が貧困状態に追い込まれ、食料や医療などの基本的な商品やサービスの購買能力が大きな影響を受けている。

アッバスさんは建設業界で働いていたが、今は仕事がなく、家族を養うことができないという。「経済危機が始まって以来、建設業という自分の仕事を含め、すべてが止まってしまいました」

MSFの移動医療チームは、南部ナバティエにある2カ所の診療所を支援し、慢性疾患の患者のケアや応急的な心のケアを行っている。レバノンの医療システムは、国内の他のセクターと同様、経済危機によってすでに過重な負担を強いられている。増える避難民の医療ニーズへの対応で地元の保健センターはすでに手いっぱいになっており、ますます大きな圧力に直面する可能性がある。

MSF移動診療チームのアイーダ・ハスーニ医師は「避難民は、突然家を離れることを余儀なくされるため、特に慢性疾患を抱える人びとの治療が中断されることになります。いつ戻れるかわからない中、私たちは慢性疾患の治療を提供することで、そのギャップを埋めるためにここにいます。そうすることで、人びとは普段の生活に戻るまで治療を受け続けることができるのです」と語る。

MSFのチームは2023年10月から、レバノンのさまざまな医療施設に、計10トンの医薬品を事前に配備してきた。チームはまた、保健省の緊急時対応計画に基づき、他の保健パートナーとの協力のもと、レバノン全土の病院スタッフに対し、緊急外傷ケアと大量死傷者発生時のマネージメントに関する研修を実施した。3週間にわたり、9カ所の病院で計100人以上の医療関係者が訓練を受けた。

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