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ガザ:人道援助活動への攻撃続く──最低限の物資提供や救急医療も不可能に近い状態に

国境なき医師団 / 2024年3月12日 17時13分

ガザ南部ラファで給水支援を行うMSFスタッフ=2024年1月20日 © MSF

パレスチナ・ガザ地区の人道的状況は、今も壊滅的だ。現地の保健当局によると、ガザでの死者数は3万人を超えた。国際司法裁判所(ICJ)は1月26日、ジェノサイド行為を防止・処罰し、ガザ地区の人びとに基本的なサービスや援助が行き届くようにすることをイスラエルに求める暫定措置を出している。しかし、イスラエル軍が民間人の犠牲を抑えようとしたり、人びとの苦しみを和らげようとしたりする気配は、全くみられない。

イスラエルによるガザ封鎖は、ガザへの物資流入を妨げている。同時に、イスラエルが医療・人道援助組織とそのスタッフの安全と保護を完全に無視しているため、援助の提供は不可能に近く、市民は救急救命を受けられない。こうした現実から、ガザでの人道援助は、もはや幻想といっていい状態になっている。

「ガザに人道が守られる安全な場所はなく、物資不足は深刻。本当に恐るべき状況です」。ガザで国境なき医師団(MSF)のプロジェクト・コーディネーターを務めるリサ・マヘイナーは言う。

人々が命を落とす原因は、爆弾だけではありません。食料や水の欠乏に苦しみ、医療が行き届かないために命を落としている現実があるのです。

医療・人道スタッフに命の危険が

市民にとっても、必要な援助を提供しようとする人びとにとっても、ガザに安全な場所はない。 イスラエルは、ガザの医療施設や人道支援スタッフの保護を完全にないがしろにしているため、医療や救命支援の提供はほとんど不可能となっている。

過去5カ月間、医療施設は退避要求を突き付けられ、繰り返し包囲され、攻撃されてきた。医療スタッフや患者は拘束され、虐待され、患者の看護中に殺された。その中には、国境なき医師団(MSF)のスタッフも5人、含まれている。MSFスタッフの家族も数人、殺害された。

医療施設に対する容赦ない攻撃が続く。その最新例は、ガザ南部最大のナセル病院だ。イスラエル軍に数週間にわたり包囲された。砲弾が整形外科を直撃し、数人が死傷。MSFスタッフは患者を置いて逃げることを余儀なくされた。MSFスタッフのうち1人は、施設から出ようとしたところ、イスラエル軍の検問で拘束された。私たちはイスラエル当局に対し、このスタッフの居場所に関する情報を共有し、彼の健康と尊厳を守るよう、改めて要請する。

病院内に残っている医療スタッフらは、患者たちが電気も水道もなく閉じ込められているという、恐ろしい状況を口にする。

「毎晩仕事を終えてパレスチナ人の同僚に別れを告げる時。次の日の朝礼で彼らに会えなくなることを恐れるようになった」とマヘイナーは言う。

負傷者の治療、医療品の調達、人びとが切実に必要としている水の供給など、選択肢が毎日、どんどん狭まっているように感じます。

2月20日深夜、イスラエル軍の戦車がマワシ地区にあるMSFの避難所を砲撃し、MSFスタッフの家族2人が死亡、7人が負傷した。イスラエル軍には、避難所の正確な位置を明確に通知していた。ガザに安全な場所はどこにもなく、危険回避の仕組みも信頼できないことを浮き彫りにした。

援助の制限と保護の欠如

ガザでは北部でも南部でも、人道援助スタッフの安全は保証されていない。現場に向かおうにも車列は検問所で何度も足止めされ、緊急に援助が必要な人びとのところにたどり着くことができない。

ガザ北部では数カ月にわたって支援がほとんど途絶えている。人々は閉じ込められ、わずかな食料、水、医薬品で生き延びるしかない。地域全体が爆撃を受け、破壊されている。MSFスタッフの何人かは北部にとどまっているものの、北部の人道・医療状況の全容を把握することはできない。

「ガザ北部の状況は壊滅的で、悪化の一途をたどっている。基本的な治療を受けられる病院はなく、薬局には薬がない。清潔な水も適切な食料もないため、私の子どもたちは何週間も病気がちで、さらに悪化している」。北部にとどまる、あるMSFの看護師は言う。

国連によると、1月1日から2月12日の間に、ワディ・ガザ以北の地域で援助物資の搬入や評価を行うために計画した人道支援パートナーの活動の半数が、イスラエル当局によってアクセスを拒否された。世界食糧計画(WFP)は、ガザ北部で人命を支える活動の中止を余儀なくされた組織の一つだ。食料の安全な配給が不可能な状況になったからだとしている。

「これ以上の苦しみに耐えられない」

イスラエルによる完全かつ非人道的なガザ包囲の一環として援助物資の供給が絶たれたことで、ガザの約200万人は絶望の淵に立たされている。ガザに入るトラックの数は、紛争激化前、毎日平均300~500台あったのが、10月21日から2月23日にかけては平均100台にまで減った。2月17日には、わずか4台のトラックしかガザに入ることができなかった。

ガザへの援助物資搬入手続きが長期化し、先行きを予測できないことが、医療施設の医療機器や物資へのアクセ スを妨げている。荷物の審査に1カ月かかることもある。審査の過程で、トラックに満載された箱の1つでもイスラエル当局が拒否すれば、全ての貨物をエジプトに戻さなければならない。公式な制限品目のリストは発表されていない。MSFは発電機、浄水器、太陽光発電パネル、さらに各種の医療機器の搬入を一貫して拒否されてきた。

「物資が遅れるたびに、そして品目が阻止されるたびに、より受け入れがたい苦しみが引き起こされている」とマヘイナーは言う。「これらの物資は、多くの人びとの生死を分けるものなのです」

ラファでは、強制的に自宅を追い出された約150万人が、恐ろしい状況で命をつないでいる。生きるために最低限、必要なものが足りない。女性は生理用品として衣服の切れ端を使うことを余儀なくされ、人びとはマットレスも防寒着もない泥だらけのテントで暮らしている。

「がん、糖尿病、てんかんといった慢性疾患を持つ人たちは、薬や医薬品をほとんど手に入れることができません。皆絶望しており、薬を手に入れるためならどんな代償を払っても構わないと思っています」。アル・シャボウラ診療所で働くMSFのホッサム・アルタルマ医師は指摘する。

MSFは、手術、術後ケア、出産ケア、心のケア、清潔な水の配給など可能な限り、ガザで人道援助と医療を提供し続けている。しかし、膨大な需要に比べれば、大海の一滴にすぎない。人びとが援助を確実に受けられるよう、即時かつ持続的な停戦、人道援助スタッフの安全確保、非人道的な封鎖の解除を、MSFは改めて求める。

「ガザの人びとは、これ以上の苦しみには耐えられない」とマヘイナーは語る。

夜中に爆弾で殺されるかもしれないという絶え間ない恐怖や、次の食事や飲み水を見つけることができるかどうかもわからないという不安から、彼らは安全の感覚を失っているのです。

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