1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

新年のごあいさつを申し上げます

国境なき医師団 / 2025年1月1日 9時8分

2023年11月、パレスチナ・ガザ地区南部ナセル病院で手術後の乳児を抱くMSF日本会長の中嶋優子 © MSF

旧年中は国境なき医師団(MSF)の活動をご支援を賜り、誠にありがとうございました。

MSFは昨年も、命の危機にさらされた世界各地の数多くの人びとに、独立・中立・公平な立場で医療・人道援助を届けるべく、努めてまいりました。これらの活動の基盤となっているのが、団体に賛同してくださっている皆さまの、温かいお気持ちです。

多大なるご協力に、改めて感謝いたします。

2024年は世界各地で紛争が続き、医療への攻撃が顕著となった年でした。

パレスチナ・ガザ地区では2023年10月に紛争が激化して以降、医療施設が次々と攻撃を受け、医療体制は崩壊寸前です。世界保健機関によると、ガザでの医療関連スタッフの死者は1000人を超え、MSFも現地スタッフ計8人が殺害される事態となりました。ガザだけでなくヨルダン川西岸地区でも、イスラエル軍による病院への侵入、銃撃、救急車の運行妨害などが繰り返されています。

2023年4月に内戦が始まったスーダンでは、紛争当事者がお互いに前線を越えた物資や人員の移動を妨害したため、病院に医薬品などの必要物資が届かず、また、院内のスタッフが交代できないという深刻な問題が起きました。首都ハルツームでも妨害行為やスタッフへの脅迫などが相次ぎ、MSFはトルコ病院で活動の一時中止を余儀なくされました。

北ダルフール州のザムザムキャンプでは、キャンプの人びとが深刻な栄養状態となりました。必要な物資が届かないことから、MSFも急性栄養失調の子どもたちへの治療を一時、中断せざるを得ない状況に追い込まれました。市民の命を軽視するかのような行為が繰り返されています。

MSF日本事務局からは2024年、計4人のスタッフがミャンマーとその周辺国を訪問し、深刻な人道状況を目の当たりにしました。ミャンマーでは2021年の政変後、すべての市民の医療アクセスが悪化しています。さらに、西部ラカイン州など各地で武力衝突が起きており、その傾向に拍車がかかっています。こうした状況もあり、少数民族ロヒンギャの人びとを巡る問題は長期化、悪化しています。

ミャンマーを始め各地で、紛争下でも人道アクセスが確保されるよう、全ての紛争当事者や、日本政府を含め関係国やドナー国及び国際機関などに対し、働きかけを続けてきました。これからも引き続き、求めていきます。

感染症の脅威も続いています。アフリカ・コンゴ民主共和国などでエムポックス(旧称サル痘)が広がり、世界保健機関(WHO)は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。現地の人びとの命を救い、感染が各国に広がるのを防ぐためにも、ワクチンや医薬品の安定した供給は急務です。

2024年は元日に能登半島で地震が発生し、MSFも現地で被災者の方がたや自治体職員の心のケアなどの活動を行いました。今後は海外だけでなく日本国内でも、地震などの大規模な災害に対して迅速な対応ができるよう、準備を一層進めてまいります。

MSFは2024年、世界70カ国以上の人道危機の現場で活動を続けてきました。その中にはメディアの関心が集まりにくい、いわゆる「顧みられない危機」「顧みられない病気」と呼ばれるものもあります。私たちはこれからも「注目の有無」ではなく、医療・人道援助の「ニーズの高さ」を基準に、現場での地道な活動を続けていきたいと考えています。

2025年。世界で人道援助の輪をさらに広げ、日本から各地への支援をさらに届けられるように、命を繋ぎとめられる人がひとりでも増える年であるように、私たちは努力を続けます。

国境なき医師団日本を、本年もよろしくお願い申し上げます。

国境なき医師団日本
会長 中嶋優子
事務局長 村田慎二郎

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください