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阪大、混紡繊維を分別しリサイクルする技術を開発しアパレル界に貢献

マイナビニュース / 2024年4月1日 19時0分

画像提供:マイナビニュース

大阪大学(阪大)は3月26日、綿/ポリエステル混紡繊維を分別・リサイクルする技術を開発し、綿はマテリアルリサイクルされ、ポリエステルはケミカルリサイクルにより「ポリエチレンテレフタレート」(PET)の前駆体である「テレフタル酸ビスヒドロキシエチル」(BHET)を高純度で回収したことを発表した。

同成果は、阪大大学院 工学研究科の宇山浩教授らの研究チームによるもの。

アパレル・ファッション産業は、大量消費・大量廃棄のビジネスモデルが広がったこともあり、環境負荷が大きいことが指摘されている。世界では毎年、9200万トンほど衣料品が廃棄されており、焼却により多くのCO2が放出されてしまっている(人間活動のおよそ10%に相当)。また、繊維・衣料品の製造時には大量の水が消費されており(930億m3、500万人分の生活水)、さらに衣料品から50万トンのマイクロプラスチックが海洋に流出しているという(海洋に流出するプラスチックのおよそ5~6%)。

日本では、2022年に年間70万トンの衣料品が使用後に手放され、その34%がリユース(19%)や産業資材としての利用(15%)がなされているが、残りの66%は廃棄されている。世界の衣料品リユース市場は、2027年には2022年の約2倍になると推定されており、急速に拡大しているが、それらは古着売買やシェアリングサービスによるものだ。そのため、使用後の衣料品を原料とする繊維to繊維リサイクルを推進して、廃棄量や原材料調達・廃棄で発生するCO2排出量を削減し、環境負荷を低減することがアパレル産業に対して社会的に求められているとする。

課題は、衣料品の半分近くは綿/ポリエステル混紡繊維となっていることだという。綿は肌触りが良く、吸水性や保湿性に優れ、通気性がある。一方のポリエステルはシワになりにくく、型崩れしづらく、加工もしやすく、さらに速乾性に優れる。要は、綿/ポリエステル混紡繊維は両者の長所を兼ね備えるため、数多くの衣類に採用されているとする。しかし、プラスチックでもお馴染みだが、リサイクルには同一素材であることが必要だ。そこで研究チームは今回、マイクロ波照射に着目し、綿には作用せず、ポリエステルを選択的に分解する技術の開発を試みることにしたという。

ペットボトルやポリエステル繊維の原料であるPETはテレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、前駆体であるBHETを経て、BHETの重合により製造される。今回開発された技術では、適切な触媒を用いることで、エチレングリコール中でポリエステル繊維を選択的に分解(解重合)することで、BHETに変換するというものだ。

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