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窓辺の小石 第160回 特捜隊ADM-3A

マイナビニュース / 2024年4月5日 15時8分

画像提供:マイナビニュース

今では、テキストエディタは数多あり、画面にテキストを表示しながら、入力編集が行える。これを「ビジュアルエディタ」と呼ぶ。これ以前には、コマンドで行を編集する「ラインエディタ」が主流だった。1980年台、Unix系OSでは、Emacs(イーマックス)とvi(ブイアイ)がビジュアルエディタの2大巨頭として広く使われていた。しかし、それぞれ開発されたのは1976年(Emacs)、1977年(vi)とUnixが登場した1971年からすると、かなり遅くの登場だ。

すでに8 bitマイクロプロセッサの8080や6800(共に1974年)が出荷されており、現在のパソコンに近い製品であるTRS-80、Apple II、PET 2001(3機種とも1977年)も出荷されていた頃だ。これらはホームコンピュータと呼ばれていた。また、CP/Mの上で動くエディタWord Masterや、Electric Pencil(ホームコンピュータ用の最初のワープロ)なども1976年に作られている。このため、PCでEmacsやviを動かそうとしたが、仮想記憶のないMS-DOSでは、MicroEmacsのような縮小版しか動作せず、Windowsでもシェル実行が困難などの理由で単体での移植が困難(Unix環境に似せるためのCygwinなどが必要だった)だったことなどで、当時、PC上では主流になることはなかった。とはいえ、後年、Windowsの機能が向上すると、Emacsやvi互換のvimが普通に動作するようになった。

ビジュアルエディタでマイクロプロセッサが先行したのは表示にCRTモニタや家庭用テレビを使っていたからだ。最初のマイクロプロセッサを使った一般消費者向けの製品であるAltair 8800(1974年)は端末を必要としたが、1976年に発売されたホームコンピューター、Sol-20はビデオ出力回路を内蔵していた。PET 2001のMicrosoft BASICでは、キーでカーソルを移動させ画面上のBASICリストを直接、書き直してプログラムを修正することができた。1画面のみではあるが、ビジュアルエディタが組み込まれていた。

Emacsやviの登場は、早くもなければ、せいぜい同時ぐらいでしかなかった。これには、当時のミニコンなどのマイクロプロセッサを使っていない「高性能」なコンピュータの構成に原因がある。当時の高性能なコンピュータは、端末を接続して使っていたのである。そして、その端末の多くは、表示に機械式プリンターを使っており、ビジュアルエディタが実現できなかった。

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