北大など、市販空間光変調器の約1500倍の超高速光パターン切り替えを実現
マイナビニュース / 2024年4月11日 6時14分
北海道大学(北大)、岡山大学、科学技術振興機構(JST)の3者は4月9日、最短でも50μs程度かかるプロジェクタ用の表示デバイスなど、複雑なパターンの照明を可能とする電子デバイスとして活用されている「空間光変調器」(SLM)のパターン切り替え速度を、その約1500倍となる0.03μsで切り替え可能な超高速光パターン照明手法を開発したことを共同で発表した。
同成果は、北大 電子科学研究所の渋川敦史准教授、同・三上秀治教授、岡山大 学術研究院医歯薬学域(薬)の須藤雄気教授らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。
SLMは、レーザーなどの入射光の波面形状を調整することで、入射光の分岐や歪みの補正など、レーザーの照射パターンを自在に制御できる装置で、複雑なパターンの照明を可能とすることから、プロジェクタ、三次元ディスプレイ、生体計測など、さまざまな分野で広く活用されている。同装置を使ってレーザー光の複雑な照明パターンを高速に切り替えることで、たとえば生体計測の高速化や大規模化、複雑な三次元造形が求められる金属プリンタにおける生産効率の向上などが期待されている。
しかし、SLMは電子デバイスとしての特性上、照明パターンの切り替えを高速に行えないことが課題だという。現行の市販SLMとして、液晶型SLMやデジタルミラーデバイスなどがあるが、それらは冒頭でも述べたように最短でも50μs程度であり、原理的にこれ以上の高速化は困難な状況である。そこで研究チームは今回、SLMの構成を根本的に見直すことでその壁を打ち破り、高速化の実現を目指すことにしたとする。
今回の研究では、まず一次元SLMの高速化が図られた。デジタルミラーデバイス上において、走査ミラーにより細長いレーザービームを走査(スキャン)するという独自の工夫により、照明パターンを単純な一次元形状(直線状のバーコードのようなパターン)に限定する代わりに、従来よりも圧倒的短時間で済む高速パターン切り替えが実現された。
そしてもう1つの工夫が、一次元照明パターンから三次元照明パターンを生み出す「すりガラス」を組み合わせた点。すりガラスを用いて一次元照明パターンのレーザー光を四方八方に散乱させ、散乱の結果生じるパターンから逆算して一次元照明パターンを決定することで、高速切り替えを実現するわりに一次元に制限されていた独自開発SLMの照明パターンの形状を、三次元空間に拡張できるようになったとした。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
大口径・高出力のレーザーを高精度に測定・分析・評価/広入射角対応ビームプロファイラ「LaseView-LHB-100-WA」を発売
PR TIMES / 2024年4月30日 16時15分
-
株式会社トヨコーに対する支援決定および出資について
PR TIMES / 2024年4月30日 11時15分
-
アゾポリマーへのスキルミオン構造のダイレクトインプリントに成功! -物質へのトポロジカルな準粒子の生成、消滅、操作への第一歩-
PR TIMES / 2024年4月12日 15時45分
-
超高速の光パターン照明手法を開発 ~次世代光産業、光科学の基盤的手法として期待~〔北海道大学、岡山大学、科学技術振興機構〕
PR TIMES / 2024年4月11日 4時53分
-
名城大、GaN面発光レーザーで20%を超す電力変換効率を実証
マイナビニュース / 2024年4月5日 14時53分
ランキング
-
1iPhoneの天気アプリ、文京区で「大雪」とウソつく 気象庁のサイトで“正しい情報”を確認する方法は?
ITmedia Mobile / 2024年5月2日 18時50分
-
2ジョージア大使、松屋にポーランド風ハンバーグ登場で心配「国際情勢に影響しかねない熾烈な戦いになりそう」
iza(イザ!) / 2024年5月1日 13時55分
-
3パイオニアの車載スマートデバイス「NP1」を試して感じたイイところ、ムムムなところ 音声操作前提のドラレコ&カーナビ
ITmedia Mobile / 2024年5月2日 6時5分
-
4「そっち使うの?!」「これは天才」 さびだらけの鉄くぎをぐつぐつ煮込むと……? DIYに役立つ“まさかの使い道”が200万再生
ねとらぼ / 2024年5月2日 12時15分
-
5「非常識過ぎ」「論外」 消防局が「救急車は映えスポットではありません!」と喚起 “信じられない実話再現”が話題に
ねとらぼ / 2024年5月2日 19時30分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください