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理研、全塗布プロセスの有機光電子デバイスで「超薄型光脈波センサ」を実現

マイナビニュース / 2024年4月13日 8時15分

画像提供:マイナビニュース

理化学研究所(理研)は4月11日、全塗布プロセスによって、有機太陽電池(OPV)、有機発光ダイオード(OLED)、有機光検出器(OPD)に新しい3層デバイス構造を適用することで、3種類の有機光電子デバイスを集積することに成功し、ウェアラブルな自己給電式の「超薄型光脈波センサ」を実現したことを発表した。

同成果は、理研 開拓研究本部 染谷薄膜素子研究室の福田憲二郎専任研究員(理研 創発物性科学研究センター(CEMS) 創発ソフトシステム研究チーム 専任研究員兼任)、同・染谷隆夫主任研究員(CEMS 創発ソフトシステム研究チーム チームリーダー兼任)らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、米国科学振興協会が刊行する「Science」系のオープンアクセスジャーナル「Science Advances」に掲載された。

有機半導体材料を使って、OPV、OLED、OPDの3種類を同じ超薄型基板上に作製できれば、発電・発光・光検出を統合した超薄型の自己給電式光脈波センサを実現することが可能。また有機半導体材料は、塗布プロセスを使用できるため、生産効率を向上させやすい点も優れた点である。

しかし、上述の3種類のデバイスの発光層・受光層・発電層(以下機能層)は、それぞれ異なる有機半導体材料から成り、デバイスの種類によって電極と有機半導体層の間の正孔輸送層や電子輸送層も異なることから、同一基板上にそれらを塗布プロセスだけで作製することは困難だったという。また、塗布プロセスで作製された電極・輸送層・機能層に用いられる材料や界面は、水や酸素に対して不安定であるため、長期安定性にも課題を抱えていたとのこと。

研究チームではこれまで、OPVを超薄型の基板に作製することで人体への装着負荷を極限まで減らした自己給電型のセンサデバイスを開発してきた。そのOPVが、OPDやOLEDと素子の構造が似ていることに着目し、今回の研究では、これまで培ってきたそのプロセスをOPDやOLEDの作製にも適用し、さらに同一の超薄型基板上にそれら3種類の作製を試みることにしたとする。

そして、正孔輸送層・電子輸送層を含む従来の多層積層構造から、透明電極・不透明電極・機能層のみから成る3層構造へと構造を簡略化させることに成功。この3層構造はOPVやOPD、OLEDのすべてに適応でき、機能層を変えるだけで3種類のデバイスを同一基板上に作製可能となるという。また、全塗布プロセスでの作製手法も確立された。

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