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NIMSなど、軽量かつ柔軟な運動センサにも利用可能な発電するゲル材料を開発

マイナビニュース / 2024年4月19日 18時7分

今回の手法は、微量の低分子ゲル化剤をアルキル-π液体に混合する簡便さに加えて、比較的粘度の低いアルキル-ナフタレン液体(粘度:46mPa・s)だけでなく、粘度17Pa・sまでの3桁に渡って粘度の異なるさまざまなアルキル-π液体をゲル化でき、汎用性の高い弾性率の制御技術といえるとした。

また、揮発しやすい水や有機溶媒などを利用した従来のゲルと箱となり、アルキル-π液体は、常圧で195℃以上まで揮発せず液体として安定しており、大気中で10か月以上にわたってゲル状態を維持できるとした。

さらに、母材であるアルキル-π液体自体が高濃度で機能性色素部位を含有し、同時に優れた柔軟性・変形性を有することから、ゲル化した後も柔らかさを損なうことなく、かつ超高濃度(最大59重量%)に機能性色素部位を含有する、これまでにない機能性πゲルを実現したとする。

そうした中で、π共役色素の一種である「ピレン」を分岐アルキル鎖によって液体化した「アルキル-ピレン液体」は、比較的大きなπ共役色素部位や、絶縁性の分岐アルキル鎖を多く有しており、静電荷の安定的な貯蔵において有利な液体。今回は同液体をゲル化し、コロナ帯電処理によってゲル-エレクトレットが創成された。さらに、柔軟な電極で挟んで封止することで、振動センサ素子が作製された。

正極コロナ帯電処理では、N2+、O2+、H3O+などの大気中の帯電した化学種がアルキル-π液体またはゲル中に注入される。この素子に圧力、振動や歪みが加わると、電極間距離の変化に応じて電圧が生じることから、振動や歪みのセンシングに利用できるとした。今回作製された振動センサでは、エレクトレットの電荷保持量が大きいほど、大きい出力電圧が生じる。ゲル化によって、電極素子作製の際の封止や固定化が容易になったことに加え、帯電量は液体より24%増加したとする。これは、ゲル化で流動性が低下したことで、帯電した化学種がゲル内部により効果的に閉じ込められたためと考えられるという。なお、ゲル-エレクトレットを組み込んだ柔軟な電極素子では、17Hzの振動に対し出力600mV(液体素子より83%増大)の振動センサ機能が示されたとした。

さらに、一度エレクトレットとして使用したアルキル-πゲルを回収し、振動センサ素子に再利用することが可能なことも確認済みだという。サーキュラーエコノミーの観点でも有益な材料であることが実証されたとした。

研究チームは今後、帯電特性(帯電量、帯電寿命)とゲル強度をさらに高めて素子性能を向上させることで、微弱な振動やさまざまな歪み変形に追従可能なウェアラブルセンサとしての実用化(主にヘルスケアやロボティクス分野)を目指すという。

また今回開発されたゲル材料は、超高濃度にπ共役色素部位を含有することから、高性能な光電子機能性材料としても期待されるとする。エレクトレット応用以外にも、今後の研究開発によって新たなエレクトロニクス応用を開拓していくとしている。
(波留久泉)



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