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TSMCが2024年半導体業界全体の見通しを下方修正、自社の通年業績見通しは据え置き

マイナビニュース / 2024年4月22日 16時27分

海外の生産コスト高は補助金や価格転嫁で利益確保を推進

TSMCは、今後も世界のロジックIC業界で信頼されるテクノロジーと生産のプロバイダーとなることを目指しており、HPCおよびAI関連需要を踏まえると、米国顧客の成長をサポートすることは重要であり、そうした顧客の成長可能性を拡大させるために世界的な製造拠点の拡大は戦略的に重要としており、例えば米アリゾナ州の拠点は、米国顧客からの強いコミットメントとサポートを受けており、3つのファブが設置される。各ファブともに、⼀般的なロジックファブの約2倍のサイズのクリーンルームエリアが敷設されるという。すでに第1棟では、4nmプロセス(N4)を採用したエンジニアリングウェハの生産を2024年4月より開始、2025年上半期からの量産に向けて順調に進んでいることを強調する。

また、2棟目のファブは、3nmプロセスに加えて、AI関連の需要をサポートすることを目的に2nmにも対応させるように計画をアップグレード。2028年からの量産開始を予定しているほか、2nm以降の微細プロセスに向けた3棟目のファブの建設も決定。2020年代末までに生産を開始することを計画。量産が開始されれば、台湾の各工場と同レベルの品質と信頼性を提供できるようになるとしている。

一方、日本では熊本工場(JASM)の開所式を2月に実施。12/16nmおよび22/26nmプロセスを用いて2024年第4四半期の量産開始を予定している。また、パートナー各社と協力して、民生、自動車、産業およびHPC向けの顧客サポートを目的に、40nm、12/16nm、6/7nmのプロセス技術を採用した2番目の工場建設も決定しており、こちらは2024年後半より建設を開始し、2027年末からの生産開始を目標としている。

このほか、欧州ではパートナーと独ドレスデンにて自動車および産業向け特殊プロセスを採用した工場建設を2024年第4四半期に開始する計画としている。

TSMCでは、台湾域外での半導体製造について、顧客ニーズと必要なレベルの政府支援に基づいて行われるとしているが、背景として製造コストが高くなる課題があるとしている。そのため同社では、地理的な柔軟性を反映して戦略的に価格設定することで、コストギャップを管理し、台湾以外で生産する場合、それぞれの地域の状況に応じた割り増し料金とすることを示唆しているが、それを政府の補助金や税制優遇によって相殺されることも示唆しており、そうした取り組みを通じて、株主に約束している「53%以上の長期粗利率」と「25%を超える持続可能なROE(自己資本利益率)」の達成を進めるとしている。
2nmプロセスは当初計画通り2025年からの量産へ

TSMCが開発を進めている2nmプロセス(N2)について、同社はほぼすべてのAIイノベーターが製造委託を行うこととなるとの見通しを示しており、提供開始から最初の2年間のテープアウト数は3nmおよび5nmの時よりも多くなると予想している。

なお、同社では2nmプロセスより、従来のFinFETからナノシートトランジスタ(Gate-All-Around)へと構造を変更することで、密度とエネルギー効率の向上を図る予定。GAAを採用したN2の開発は順調とのことで、デバイスの性能と歩留まりは計画通りまたは計画を上回っているとしており、そのランププロファイル(習熟曲線に沿った歩留まり向上)は順調に立ち上がったN3と同様の動きを見せており、2025年の量産に向けて順調に進んでいるとしている。
(服部毅)



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