理科大、米ぬか由来のナノ粒子が優れた抗がん活性を有することを確認
マイナビニュース / 2024年4月23日 17時50分
次に、マウス結腸がん「Colon26細胞」に対する細胞増殖抑制作用が調べられた。まずブドウ、ショウガ、レモンの植物由来ナノ粒子との比較が行われ、rbNPsはすべての濃度でcolon26細胞の数を最も減少させることが確認された。さらに、抗がん剤「ドキシル」との粒子数ベースでの比較では、rbNPsは1×108(1億)粒子/mLという低濃度でも有意な細胞増殖抑制作用が確認された(ドキシルでは、0.1~10×109(1億~100億)粒子/mLでは減少がほぼ見られなかったとした)。
続いて、rbNPs添加による細胞増殖および細胞周期への影響を調べるため、細胞増殖を制御する「β-カテニン」、細胞周期を調節する「サイクリンD1」のmRNA発現量の変化、および細胞周期解析が行われた。その結果、rbNPsの添加により、β-カテニンとサイクリンD1のmRNA発現量は有意に減少し、colon26細胞周期のうちのG1期(最初の準備期)とS期(核のDNA複製期)の割合が有意に減少し、G2(2番目の準備期)/M期(有糸分裂期)の割合が有意に増加したとする。これは、rbNPs添加により細胞周期が停止し、細胞増殖が食い止められていることを示唆する結果だという。また、rbNPsはDNA断片化とクロマチン凝縮を誘導したことから、colon26細胞のアポトーシスを誘導することも示されたとした。
最後に、Colon26細胞が移植された腹膜播種モデルマウスに対し、rbNPsの腹腔内投与が行われた。すると、体重減少もなくcolon26細胞の腹膜播種に対する顕著な抑制が示されたという。この抗腫瘍効果は、colon26細胞に対するrbNPsの直接的な細胞傷害活性に加え、マクロファージを活性化することによる「腫瘍壊死因子α」などのサイトカイン産生によることが考えられるとする。
以上の結果から研究チームは、rbNPsはがん細胞選択的で強力な細胞増殖抑制作用を示し、抗がん剤の効果が限定的で予後不良な腹膜播種に対しても、がん細胞増殖を有意に抑制することが確認された。研究を主導した理科大の西川教授は、「rbNPsの安定した製造方法を確立し、ヒト細胞を用いた検討において安全性と有効性を確認できれば、安価かつ有用ながん治療用ナノ粒子製剤の開発につながるだろう」とコメントしている。
(波留久泉)
-
- 1
- 2
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
抗炎症・抗肥満作用を有するメントール誘導体を開発 ~脂質代謝制御因子に作用、メントールとは異なる機序で炎症を抑制~
PR TIMES / 2024年5月15日 12時15分
-
再発卵管がんでリムパーザ服用はいつまで? 副作用を勘案して術後5年で区切りを がん電話相談から
産経ニュース / 2024年5月14日 9時0分
-
理科大、腸内細菌の代謝産物「エノン脂肪酸」が抗炎症作用を持つことを発見
マイナビニュース / 2024年5月8日 18時4分
-
腸内乳酸菌による脂肪酸代謝産物が抗炎症作用を示し炎症性腸疾患を緩和することを明らかに ~食用油に由来する成分の効能を遺伝子、細胞、個体レベルで解析~
PR TIMES / 2024年5月7日 11時45分
-
米ぬか由来ナノ粒子の抗がん作用を確認 ~未利用資源を原料とした安価で安全なナノ粒子製剤開発に期待~
PR TIMES / 2024年4月22日 11時45分
ランキング
-
1JR東日本の「JRE BANK」 太っ腹すぎる特典と、漏らさず手に入れる方法
マイナビニュース / 2024年5月17日 17時30分
-
2レッツノート FV5レビュー - 日常使いで役立ちそうなCore Ultraの性能と3:2のディスプレイ
マイナビニュース / 2024年5月18日 6時0分
-
3「ペット投票」に反応しないで LINE公式がアカウント乗っ取りの注意喚起
おたくま経済新聞 / 2024年5月17日 16時0分
-
4小室哲哉も視聴済み 「Get Wildだと思ったらにんげんていいなだった」が約20万再生の人気で「このセンスほんと好き」「最高www」
ねとらぼ / 2024年5月16日 20時30分
-
5NHKネット配信、改正放送法成立で必須業務化 - TVなくてもスマホ/PCで見るなら受信料必要に
マイナビニュース / 2024年5月17日 18時20分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください