カレー沢薫の時流漂流 第298回 表現規制とひよこババア、笑えるけど笑えない自由との葛藤
マイナビニュース / 2024年5月6日 13時38分
私ほどのXカスになるとトレンドに挙がっているワードを見るだけで「今Xはこういう胸糞の悪い話題で盛り上がっているのか」と予測することができるし、わかった上で見に行って胸にクソをパンパンに詰めて帰ってきたりする。
Xではこういう胸にクソ詰め放題タイムセールが良く行われているので、安価でコスパよく気分が悪くなりたいという感情節約上手にとっては欠かせないツールなのだ。
先日トレンドに「ひよこババア」というワードが上がっていた。
○灰原哀の中身は18歳みたいな話ですかね?
一見、校門前に現れる怪老婆の一緒のように見えるが、そういう七不思議的話ではないし、私はすぐに意味がわかった。
私は少し前に、エロライトノベルのレビューの仕事をしていた。
一見楽し気な仕事だが、全くエロの気分でない時に仕事としてエロを鑑賞するというのは、時に時計仕掛けのオレンジ状態になる大変さだった。
ラノベなのでファンタジー作品も多く、エルフやサキュバスなどの人外キャラも多数登場し、現実ではまず不可能なエレクトリカルプレイも魔法や不思議なアイテムを使えばいともたやすい。
エロとファンタジーはナスと油のように相性がいいのだ。
その中に実年齢は800歳だが、見た目は完全な少女というキャラが登場した。こういう設定も異世界ではお茶の子さいさいなのである。
こういった、見た目は幼女、中身は老婆以上の何か、なキャラは界隈では「ロリババア」と呼ばれていたので、私も原稿内でその呼称を用いたところ、「ロリババア」という表現はやめてくださいと言われた。
まさか、スライム娘窒息プレイとかを出している編集部に、表現規制を食らうとは思わなかったが、正直このレビューの仕事はどこの媒体よりも表現規制が厳しく、特に年齢に関しては厳しかった。
極端な話、異世界なのだから「この世界では12歳成人です」と言い切ってしまっても良さそうなものだが、そこは頑なに現実基準遵守なのである。
その結果、下半身が蛇の美女や、口だけやってきて奉仕してくれるのっぺらぼう娘は登場しても、性対象として未成年が登場することはない、という不思議な世界観になっていた。
その他にも様々な表現規制を食らい、つくづく「フィクションならOK」という時代は終わったと痛感した。
特に子供に関しては、あの漫画ゴラクにすら「子供への過度な暴力表現はやめてください」と注意される時代なのだ、過剰な暴力を受けるのは大人になってからではいけない、ということである。
○表現規制は恐ろしい、価値観は多様だ、でも……
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