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吉川明日論の半導体放談 第300回 戦艦「三笠」と日本海海戦

マイナビニュース / 2024年5月8日 7時13分

この海戦での大勝利はロシア相手の和平交渉のきっかけとなり、その5か月後のポーツマス条約で日露戦争は終結した。この海戦で連合艦隊を勝利に導いた東郷平八郎は、後に最高位の元帥となり、「軍神」と呼ばれるようになった。鎖国が解けてから50年ほどしか経たずに欧米からはアジアの小国と見なされていた日本の大国ロシアに対する勝利は、世界を驚かせた。

やはり大国ロシア相手に生き残りをかけ国境を挟む紛争を繰り返していた北欧の小国フィンランドにとって、このアジアの小国日本の勝利は余程好意的にとらえられたようだ。私は、AMDでの勤務の後、フィンランドの小規模な半導体ウェハ企業に5年ほど勤務したが、その間、日本人の私を「トーゴーの国のサムライだ」などと冗談交じりで呼ぶ人がいたのを思い出した。土産物屋に寄ったら、なんと「東郷ビール」が置いてあった。このようなビールがあるのは知っていたものの、実物を見るのは初めてで思わず衝動買いしてしまった。

このビールは最初はフィンランドの醸造所が作っていたが、その権利は現在では英国の会社が所有していて、日本では輸入ビールとして入手可能である。私好みのピルスナーで、いかにも正統派の味がする。
日本海海戦に参加した山本五十六の戦略と戦術

日本海海戦の大勝利をきっかけに大国ロシアを相手に勝利した日本は、その後軍事力を急激に増強させ列強に伍する国となったが、不安定な世界状況の中で、破滅的な先の大戦へと突き進んでいった。

その大戦時に連合艦隊司令長官となった山本五十六は、若き頃、日本海海戦で装甲巡洋艦「日進」に乗船していて、ロシア艦隊の砲弾の炸裂により負傷し、左手の二本の指を失った。艦船同士のでの対戦では10インチを超える大砲による撃ち合いになるのが通常で、10センチ以上もある装甲板を突き破る砲弾の炸裂には想像以上のものがある。戦艦 三笠の前には実際の砲弾と、その炸裂によってめくれ上がった装甲板の破片の実物が展示されている。見るだけでその衝撃のすごさが伝わってくる。山本五十六は先の大戦時には東郷元帥と同じように連合艦隊を率いる地位についたが、日本が大国アメリカを相手に開戦することには最初から反対だった。山本には海外留学の経験もあり、海軍力を大国間で話し合うワシントン軍縮会議にも日本を代表して出席した。アメリカを代表とする欧米の軍事力については充分な知識を持っていて、アメリカを相手に戦争を仕掛けることの無謀さを充分に理解していた。

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