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東芝、少量データで高精度なロボット制御が可能なオフライン機械学習手法を開発

マイナビニュース / 2024年5月10日 10時1分

画像提供:マイナビニュース

東芝は5月10日、少量データを用いたオフライン強化学習で高精度にロボットを制御するAIを開発したことを発表した。

製造・保守・物流といった業界は慢性的な人手不足であり、中でも製造業は2030年には需要に対して供給される人員が38万人不足するといった試算もなされており、人手不足の解消に向けたロボットを活用した自動化に対する期待が高まっている。

こうした市場ニーズの高まりは世界的な傾向で、産業オートメーション(FA)の市場規模は2022年の2059億ドルから2029年には3951億ドルまで年平均成長率(CAGR)9.8%で成長するという予測もある。製造業の中でも右から左に受け流すといったような単純作業はすでに自動化が進んでいるが、複数の流れている物体の中から、必要な物体だけを取り出すといった作業は、一部で自動化が進んでいるものの、その実現には対象とする物体の位置や姿勢に対し、それがどのように動くのかといった動作計画を専門家が設計・開発する必要があり、導入に対する負荷が高い取り組みとなっている。今回の研究は、そうした作業負荷を機械学習を活用して低減することを目指したものとなるが、従来の強化学習手法そのものにも課題があったという。

というのも、「オンライン強化学習」はロボットが自律的に実際に試行錯誤することにより状況に応じた制御を学習する手法だが、ロボットに実際に現場にて試行錯誤を行わせる必要があるため、安全上の懸念もあり、実際には現場に導入して試すということは難しいという課題があった。一方の「オフライン強化学習」については、先行してさまざまな状況におけるロボットの操作を入力したデータをもとに制御する手法であり、その数千パターンにもおよぶ膨大なデータを人の手を介して入力するには早くても数週間から数か月かかるという課題があったという。

今回同社が開発した手法は、少量のデータであっても効率よく学習することを可能としたもので、具体的にはオフラインデータを2段階で制御することを学習させることが特徴だという。

例えば、人は何かモノを取ろうと思った時、まず対象物を見てから手を動かすが、これと同じような行動をロボットにも行わせようというもの。まず、1段目の制御として、全体の画像を取得し、そこからロボットアームの移動先を決定させる。実際には作業の様子を録画した映像を学習させたとのことだが、ここまでは従来のオフライン強化学習と同じ手法となる。今回は、さらに2段目の制御として、1段目で決定した移動先周辺の画像を切り出し、補正を加えることで精度を高める学習を実施。この2段目の制御の精度が高くなると、効率の良い学習ができることとなる仕組みだという。

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