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窓辺の小石 第165回 ヴァルカンのグラフィックキャラクタ

マイナビニュース / 2024年5月10日 16時17分

画像提供:マイナビニュース

1970年台に発売されていた8 bit CPUを搭載したコンピュータは、国内では「マイコン」、米国では「ホームコンピュータ」などと呼ばれていた。これらは画面がコード指定で文字を表示させるキャラクタディスプレイを装備するものがほとんどだった。というのも8 bit プロセッサは、それほど性能が高くないため、文字をビットマップで表示するとスクロールなどが遅くなってしまうためだ。このときに使われる文字には、アプリケーションやゲームに利用できるように作られた「グラフィックキャラクタ」と呼ばれる文字があった。

いまで言うなら「絵文字」のようなものだ。1999年以降に携帯電話に絵文字が搭載されるが、当時の携帯電話メーカーのほとんどは、1970年台に「マイコン」を製品化したメーカーでもあった。コードで文字でないものを表示することにそれほど抵抗がなかったのかもしれない。1970年台にマイコンを使っていた学生が技術者として活躍し始める時期とも重なる。マイコンのグラフィックキャラクタと絵文字の関係を語る文書やエピソードは寡聞にして知らないが、筆者のような当時のマイコンユーザーにしてみれば絵文字に違和感を抱くことはなかった。

グラフィックキャラクタには、トランプのマーク、「年月日時分秒」などの漢字、人や乗り物などを表す画像、縦横、斜めの罫線キャラクタなどがあり、これらを文字として表示させることで、見かけ上、簡易なグラフィックスを表示することができた。また、機種によって、1文字分の領域を縦横に2分割するドットを表示する「簡易グラフィック」キャラクタを持っていた。

8 bitマイコンのほとんどがBASICを装備していたため、文字列表示で簡易なグラフィックスを表示することができた。また、機械語などを使うことで、高速なアニメーションを実現したソフトウェアもあった。

筆者が1970年台に使ったMZ-80Kもディスプレイはキャラクタ表示のみで、さまざまなグラフィックキャラクタを表示するためのディスプレイコード(ビデオメモリに書き込むコード)を持っていた(写真01)。BASICの文字列ではディスプレイコードの一部が利用でき、文字列中にカーソルコードを入れることで、キャラクタを2次元に配置することが可能だった。キャラクタになぜか「生」が入っている。「年月日」と合わせて「生年月日」と表示できる。これは、初期のデモプログラムでよく使われた「バイオリズム」に必須の表示項目だ。学園祭などで誕生日を聞いてプリンタ印字を配ると、当時は行列ができたものである。

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