1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. パソコン

大河原克行のNewsInsight 第290回 パナソニックが直面した「危機」、車載電池と家電事業の行方

マイナビニュース / 2024年5月22日 16時45分

画像提供:マイナビニュース

パナソニックグループは、2024年度に、中期戦略の最終年度を迎えている。パナソニック ホールディングスの楠見雄規グループCEOは、「キャッシュフロー重視の経営が定着したものの、各事業においては、当初の想定通りの収益力がついていない」と課題を指摘。「危機的状況と認識している」という強い言葉で現状を表現した。

同社では、2022年度から2024年度までの累積営業キャッシュフローが2兆円、同じく累積営業利益が1兆5000億円、ROE10%以上という目標を掲げていたが、2024年度見通しから逆算すると、累積営業キャッシュフローは達成するものの、累積営業利益とROEは未達となる。3つの経営指標は、1勝2敗の負け越しだ。

成長領域と位置づけていた車載電池とA2W(Air to Water)において、想定外の市況変化があり、目標を大幅未達。さらに、収益を支えることを期待した事業でも、市況影響に加えて、一部の事業では目指していた競争力の獲得に至れなかったことを理由にあげた。
車載電池の市場環境激変も、将来の成長期待は変わらず

今回、グループ戦略に関して説明会を開き、「最終年度が終わるのを待って動くのではなく、いまから動き出す」として、実行する施策を明らかにした。

「投資領域の事業基盤強化」、「事業ポートフォリオマネジメント・財務戦略」、「グループの体質強化」の3点への取り組みを掲げ、収益を支えるべき事業は ROIC(投下資本利益率)による規律を徹底し、2026年度までに課題事業をゼロにする一方、車載電池事業では2027年度以降に2桁の ROICを維持できる体質に転換することなどを示した。

楠見グループCEOは、「資本市場からの厳しい評価を重く受け止めている。中長期の成長に向け、グループ全体で覚悟をもって、収益性改善を断行する」と決意を述べた。

ひとつめの「投資領域の事業基盤強化」では、成長投資領域とする「車載電池」、「A2W」、「SCMソフトウェア」の3つの事業の強化を進める。

楠見グループCEOは、「車載電池と空質空調は、市場成長の速度は想定より遅れるが、将来的に成長が見込めることに変わりない。投資時期や投資金額は、市場や顧客の動向に合わせて柔軟に判断するが、競争力強化の取り組みは加速することになる」とする。

車載電池の市場環境の変化については次のように見ている。

「この1年でバッテリーEV市場は大きく変化し、バッテリーEVに大きく舵を切った米国自動車メーカーも、お客様のニーズに基づいた車両の拡充戦略に転換し、HEVやPHEVの投入を発表している。長期的にはモビリティの電動化は進行するが、2030年ではバッテリーEVの比率は想定よりも下がり、バッテリーEV化への加速度は小さくなっていると理解している」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください