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大河原克行のNewsInsight 第291回 パナソニックは危機的状況、テレビ事業も「聖域ではない」 - 楠見CEOインタビュー

マイナビニュース / 2024年5月22日 22時42分

画像提供:マイナビニュース

パナソニック ホールディングスの楠見雄規グループCEOは、現在のパナソニックグループの状況を「危機的状況にある」と表現する。

2024年度を最終年度とする中期戦略の見通しは、目標とした3つの経営指標のうち、2つが未達という状況。合同インタビューに応じた楠見グループCEOは、「根本的な課題は、グループ内の危機感のなさである。一人ひとりが経営者という意識が浸透していない点が問題であり、2024年度は、グループ内に危機感を醸成していく必要がある」などと厳しい口調で語った。

パナソニックグループが掲げた中期戦略では、2022年度から2024年度までの3年間の累積営業キャッシュフローで2兆円、同じく累積営業利益で1兆5000億円、ROEでは10%以上を経営指標として掲げた。

だが、2024年度の業績見通しによると、累積営業キャッシュフローは達成するが、累積営業利益とROEは未達が見込まれている。

この状況を楠見グループCEOは、「危機的状況」と表現。強い危機感を募らせた。

各事業において想定した収益力がついていないこと、とくに、車載電池、空質空調、SCMソフトウェアの3つの成長領域において結果を出せていないこと、PBR1倍割れの状況が続いていることなど、危機的状況と表現する要因を複数あげる。

もともと2023年度は、パナソニックグループにとって、成長フェーズに向けたギアチェンジの1年としていた。

2022年度までの2年間を。競争力強化の時期と位置づけ、事業会社主導での構造改革に取り組んだ成果をもとに、2023年度はギアチェンジを図り、成長戦略の実行に向けて、持ち株会社であるパナソニックホールディングスが主導権を握り、構造改革を推進するというシナリオを描いていた。

「ギアチェンジするものに対してはギアチェンジができた。競争力を高めてきた事業は、その競争力を使い、成長に舵を切っている。だが、舵を切れていない事業もある。違うギアを用意して、二輪駆動で走っていたものを、四輪駆動で走らせ、トルクを等分にかけて、財務バランスを利かせるものもある。バックギアに入れたわけではない」と比喩する。

楠見グループCEOは、これまでの3年間の取り組みによって、構造的に見て、他社の劣後にある事業は減っていると語る。だが、競合に比べて、利益確保の面などで劣っている事業が残っていることも明かす。

「競合に対してシェアで勝っていても、利益で負けていたら、それはお客様に正しく価値が理解されず、受け入れられていないということであり、いずれシェアは落ちることになる。それぞれの事業で収益があがらないと、グループ全体の収益もあがらない。競合のROICやWACCに対して、自分たちの立ち位置はどうなのかといったことを捉え、改革をスピーディーにやっていく。2024年度は、もう一度ネジを巻いてやっていかなくてはならない」と語る。
危機感が足りない、上意下達の文化の文化が生んだ悪循環

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