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東京医科歯科大など、分散型大規模量子コンピュータ実現のための技術を開発

マイナビニュース / 2024年5月27日 17時5分

画像提供:マイナビニュース

東京医科歯科大学(TMDU)と産業技術総合研究所(産総研)は5月24日、複数の量子プロセッサを光子によって接続し、量子ビット数を飛躍的に増やす「分散型」量子コンピュータの実現に応用が可能な技術として、「マイクロ波光子」(以下「MW光子」と略)を「超伝導人工原子」(以下「SA原子」と略)に1回反射させるだけで両者の持つ量子ビットを交換できることを実証したと共同で発表した。

同成果は、TMDU 教養部の越野和樹准教授、産総研 量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター 量子デバイス計測チームの猪股邦宏チーム長らの共同研究チームによるもの。詳細は、米国物理学会が刊行する応用物理学全般を扱う学術誌「Physical Review Applied」に掲載された。

量子ビットの物理的実装には複数の種類があるが、超伝導回路を用いるものが最も開発が進んでいるうちの1つで、現在では数百個の超伝導量子ビットを内包した量子プロセッサが作製されている。しかし、真に有用な量子コンピュータの実現には、さらに桁違いに多くの量子ビットが必要。ところが、配線や発熱などの技術的問題のため、1つの量子プロセッサに集積できる量子ビット数には上限があり、現状からの劇的な改善は期待できないという。そこで、光子のように動く粒子を量子ビットとして用いて、複数の量子プロセッサを接続することにより、量子ビット数を飛躍的に増大させる分散型量子コンピュータが有力な解決策として期待されている。

SA原子は、超伝導状態にある「非線形LC回路」(通常のLC回路のコイルを、非線形インダクタであるジョセフソン接合によって置き換えた電気回路のこと)によって実現される。一方、MW光子としては2種類のキャリア周波数を持つ単一光子が用いられる。今回の研究で用いられたデバイスでは、SA原子が共振器を介して導波路に結合されている。SA原子を適切な周波数および強度を持つマイクロ波でドライブし、それに合わせてMW光子を導波路から入射すると、反射後に両者の量子情報が交換される(「二量子ビットの交換(SWAP)ゲート」)。

これまでに、SA原子からMW光子へ、あるいはMW光子からSA原子へと、一量子ビットを一方向へと転送する報告はされていた。そこで研究チームは今回、SA原子とMW光子の間で二量子ビットの交換が実際に起こっていることを実験的に確認することにしたという。

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