『虎に翼』子役時代や出産シーンなしの理由、制作統括が語る 伊藤沙莉の「はて?」も称賛
マイナビニュース / 2024年6月1日 8時15分
また、寅子の生理が重いという設定が描かれる一方で、出産シーンは登場しなかったが、それについて尾崎氏は「吉田さんの中での取捨選択だと思いますが、女性の人生やキャリアを描く上で、生理というものが描かれるのは自然なことだと思える脚本に。出産シーンについても、主人公の出産を描くことは、この物語の流れにおいて、必要なかったということ」と捉えている。
○玉音放送シーンもなし「戦争が個々人にどういう影響を与えたかを描く形に」
今週の放送回では、寅子が兄・猪爪直道(上川周作)や、父の猪爪直言(岡部たかし)、そして最愛の夫、優三(仲野太賀)を立て続けに亡くすという悲しい展開となったが、昨日のタイトル回収のシーンで、寅子が涙するシーンも視聴者から大いに反響があった。
同シーンについて尾崎氏は「寅子のモデルとなった三淵嘉子さんが、インタビューで、新しい日本国憲法が公布されたことが自身のターニングポイントだったと語っています。三淵さんが、その日本国憲法を読んだ時、『私の人生はここから変わるんだ』と思い、涙が出たとおっしゃっています。そこから裁判官になる道が開けたので、寅子の人生において最も重要なポイントとしてドラマを作っていきました。第9週では様々なことが起こったので、寅子が流した涙はそれらが混然一体になった上でのものでした」と解説。
第41回で終戦を迎えたが、朝ドラでよく描かれる玉音放送のシーンは一切なかった。尾崎氏によると「物語をどう描くかを検討する中で、結果的にこのドラマでは、戦争が個々人にどういう影響を与えたかを描く形になりました」と言う。
「寅子や花江(森田望智)、父の直言についても言えることですが、残された人たちのドラマを描いていこうと。だからラジオの玉音放送をみんなで聞くよりは、それぞれに知らせ(訃報)が届くところにフォーカスを当て、ああいう形になりました」
また、寅子と優三が、社会的信用を得るために結婚するという設定は史実と異なり、吉田脚本ならではのアレンジが効いている。その意図について尾崎氏に聞くと「史実として三淵さんには様々なエピソードが残っていますが、結婚が社会的にどういう意味を持つか、 当時はもちろん現代にも通ずる部分にフォーカスして登場人物の気持ちの流れに当てはめた設定になりました。史実をベースにしながら、この物語を生きてきたキャラクターたちをどう動いていくかということを考えました。寅子が優三を利用したかのように見えたかもしれませんが、それが本当に良かったのかどうかを考えさせられる物語になっています」と語った。
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