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目指すは電源分野におけるGaNソリューションの高性能化、高性能電源市場を狙うADI

マイナビニュース / 2024年6月3日 15時33分

画像提供:マイナビニュース

Analog Devices(ADI)の日本法人アナログ・デバイセズは5月31日、同社が提供するGaNソリューションに関する説明会を開催し、同社製品の特長やターゲット市場などの説明を行った。

現在の同社のパワーデバイスは、元よりあるADIのソリューションに加え、買収したMaxim IntegratedおよびLinear Technologyの系譜に連なるソリューションも提供している。その中でも今回、GaNソリューションとして同社が提示したのは、スマート・ブートストラップ・
スイッチ内蔵の100VハーフブリッジGaNドライバ「LT8418」、GaN FET向け低IQ、デュアル2相同期整流式降圧コントローラ「LTC7890」、100V、低IQのGaN FET用同期整流式降圧コントローラ「LTC7891」の3製品となるが、説明を行ったADIマルチマーケット・パワー製品事業部シニアディレクターのDavid Andeen氏は「買収後も開発投資は継続しており、今後も新製品を提供していく」と説明。詳細な開発ロードマップは明かせないとしながらも、200V対応製品については近い将来にアナウンスできる見通しであることを述べたほか、それよりも上の電圧領域についても視野に入れた取り組みを行っているとする。

同社のドライバやコントローラは、GaNパワー半導体(GaN FET)を制御するためのものだが、GaN FETそのものの製品化は現時点で同社は少なくとも表立っては公表していない。それよりも、ベンダーや素子ごとのバラつきが大きいGaN FETをより高精度に制御する側の製品を提供する方向性を志向している。「GaNパワー半導体をエンドアプリケーションで活用するためのいくつかの課題がある。例えば、さまざまなプレイヤーがGaNパワー半導体を提供しているが、それぞれがユニークなプロセスとレシピを用いて製造しており、ベンダーごとに変動性が生じやすいという点。また、制御という面や結晶構造におけるストレスの問題などもある」とし、そうした課題を高い性能でカバーできるのがADIの強みであるとする。

そのため、ターゲット市場としては、大きく「産業用モータ/BLDC」「データセンター」「宇宙」「ヘルスケア」の4つの領域を挙げている。いずれもミッションクリティカルな市場であり、電源にも高い性能と効率、信頼性が求められる。今回、紹介された3製品の型番の頭が“LT”とついていることからも分かるが、これらの製品群は旧Linearの流れを汲んだものである。そのLinearは、高性能・高機能・高精度といった特徴を武器に、マスマーケットのような価格勝負の領域よりも、複数の部品を組み合わせてシステムを構築する必要があるような技術課題を抱える分野に対し、1チップでそれを代替できるような領域に、システムに近い価格で製品を提供することでユーザーのシステムコストを減らしつつ、自社としては高い利益率を確保するという戦略を採用していた。そうして生まれたのが、現在も提供が続けられている半導体チップに加えてコンデンサやコイルといった受動部品を1パッケージに実装したモジュール「μModule」であったりする。今回、同社が示した4つの市場領域も、デバイス単体の安さよりもシステムとしての信頼性や耐久性、そして近年はそれらに高い電力効率という性能が求められる分野と言える。

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